季節の変わり目/身体/θn

最近髪が抜けやすい気がする。

多分健康的な人間の範囲内だとは思うけど、ふと身の回りを見渡してみるとこんなに抜けるかってぐらい髪が抜けている。もちろんちゃんと掃除はするけど、毎日のことだから結構面倒だ。

髪が死んだ細胞だっていう話を聞いた時はそこそこショックを受けたような気がする。あれはいつの事だっただろうか。

幼いころ、私は親の趣味趣向の影響もあって髪を伸ばしたことがなかった。
特にそんな自覚はなかったけれど、無意識下で長い髪に憧れていたのかもしれない。

だからこそテレビのCMでまるで女性の美そのものであるように取り扱われている髪の毛が、あくまで自分から延々と生成される死骸に過ぎないのだと思うとなんだか悲しかったのである。その話を聞いて以来、少し髪の毛、特に抜け落ちた髪の毛というものに多少のエグみというかグロテスクさを感じるようになった。

私にとって髪の毛というものは自分の一部でありながら、自分の意志から離れているものである。生きた自分から生成された死んだものが、自分から完全に離れてもう一度死になおす。

二度死ぬなんてこと、あって良いはずないけれど。

死んだものってとっても未知で好きじゃない。

髪の毛に限らず。虫とか魚とかは特にそう。
魚の何が気持ち悪いって、死んでるかどうかがわかりづらいってとこだ。
お祭りで掬ってから大事に飼っていた金魚がお腹を向けて浮いていたとき、可哀想より先に気持ち悪いって思って泣いた。

虫も。生きていても好きじゃないけど、殺してしまったりしてからのほうが気持ち悪い。ティッシュの中の感覚は何回経験しても吐き気がする。

人のに関しては、好きじゃないっていうかわからないなと思った。
よくわからないものだと思った。接したことは二回くらいしかないけど、やっぱりもう二度と味わいたくはない。

この感情には未知だってこと以外も関わってるだろうけど。

生きている中で何回も死んでしまいたいと考えて、それと同じだけの数死にたくないとも考えた。いろんな死に会って、最近はちゃんと死ぬってやだなって思う。自分がわからないものになるのはちょっと怖い。

親に抜け毛が多いと言ったら髪が伸びて目立つようになっただけじゃないのと言われた。それだ。

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「季節の変わり目/身体/θn」への3件のフィードバック

  1. 髪の毛の気持ち悪さ、よくわかります。気持ちが悪いですよね。枝毛を見つけた時のゾッとするあの感じ、本当にエグい。あー死んでるんだなーと思う。でもどうしても、髪の毛がある女の人は可愛い、から、その事実と向き合いたくない。
    「死」について考えるところが、面白かった。虫が死んでるのとかの怖さはわからなかったけど、金魚のぞわっと感は思い浮かぶ。

  2. 髪の毛の気持ち悪さというものから漫画「寄生獣」を思い出しました。
    いずれ私たちも死んだ細胞の集まりになる、髪の毛と変わらない存在になるというのは怖いというのと同時に面白さも感じます。
    そういえば髪の毛から作られる醤油というものがあるそうですね。

  3. 細胞が「死んだ」という言葉が比喩のような比喩じゃないような不思議な感覚になりました。抜け毛に関しては将来的にあまり笑えないので辛いです。
    死というものへの忌避は腐敗と未知からきているように思います。死骸を食べることに嫌悪感がないのはそれを信頼しているから。髪について勉強してはいかがでしょうか。

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