サボテンとリボン/棘/ちきん

最初の恋 最初のキス 最初のデートをきみと

最後の恋 最後のキス 最後の笑顔もきみに

恋愛

映画の

 

 

ようには生きられない。初恋の人とは結婚できないし、自分はこの人でなければ生きていけない!というのも思い込み。人を好きでいることは苦しい、嫌いでいることも苦しい、永遠の恋はない、自分の人生の歴史はそんなに美しく編まれない。そこにはただ、寂しさや支配欲に基づいたいのちのやり取りしか存在しない。

 

 

私は、5人組アイドルももいろクローバーZが好きで、どのくらい好きかというと、ライブには行かないが、1人で2時間カラオケをしたりするくらいには好きだ。そんな彼女らが私の誕生日に(偶然)出してくれた3枚目のアルバムの中に、この「サボテンとリボン」という曲は入っている。アルバムのレコーディングの様子をドキュメンタリーにしたDVDを観ると、このアルバムのテーマは主に「死生観」と「恋愛」の2つで、後者に位置づけるためにこの曲が書かれたことが分かる。しかし、プロデューサーが、メンバーとの間でイメージを膨らますために、「『恋愛』について語って!」と投げかけても、みんなふざけたり茶化したりするだけで、誰もきちんと自分のエピソードを持ってはいない。その結果、リアルで切ない恋愛の曲になるのではと期待されていたものが、謎のマーチング調(?)の恋愛映画の歌になってしまったのだ。

ももいろクローバーZが、アイドルの中でも特に女性ファンを多く獲得しているポイントは、ここにある気がする。スキャンダルの有無などとは関係なく、女性らしさで男性の欲望に応える売り出し方をしていないから、同年代であるにも関わらず、そして自分なんかよりはるかに可愛くて輝いている存在であるにも関わらず、嫉妬の対象にはならなくて、特別好きでなくても、あの子たちは頑張っているよね、という感じで適当に認められてしまうのだ。特にリーダーであり、私と同い年の百田夏菜子は、「恋愛」のイメージがなさすぎて、1人だけ「キス」という言葉が入ったフレーズを当てられなかったそうだから、顕著だ。そして、多くの女性が彼女の魅力を認めてしまうそれは、ある種のマウンティングでもあるだろう。

しかし、いつまでも天真爛漫でみんなに元気を与えるだけの存在では居続けられない。あと数日でメンバー全員が20歳を越え、これからもこのままの方向性で活動を続けていくのでは、すぐに限界が訪れる。より多くの感情を経験し大人の表現をすることを目指すか、私は、限界が訪れたときに、そのまま終わってしまってもいいと思う。人々の欲望に縛られ、いつまでも少女のままで居続けようとする様子を見ると、自分もその眼差しを向ける1人であるのに、なんだかつらくなってきてしまうから。高校生のとき、ある先生に「人は失恋によって成長するんだ」と言われ、いやいや、失恋するよりはしない方がいいだろうと思った。でもやっぱり、人は経験を絶対に越えられなかった。彼女たちは私の知らないことをたくさん知ってはいるが、同い年の少女たちが、頭の中でしか大人になることをを知らないという事実は、私にはまったく関係ないはずなのに、どうしても、つらい。

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「サボテンとリボン/棘/ちきん」への4件のフィードバック

  1. 失恋も、ひとつの経験として十分条件って感じはしますけどね。人間、成功体験だけでは調子に乗ってしまうから、そうして突き放されることで身の程を知ったほうがいい、と。

    アイドルって自分自身が商品ですからね… 商品として生きることを決意したからには、自ら商品価値を高めることは経営努力であり、それを怠るのは工具の手入れをしない工夫のようなものだ、とどこかで小耳に挟んだ記憶があります。アイドルを選んだ段階で、普通の女の子には戻れない。残酷な運命を背負いながらも、線香花火のような生涯を一生懸命生きるのも魅力的な生き方なのかもしれませんね。

  2. 人の好きなものを聞くのがたまらなく好きなので、今回の文章は個人的にとても愛しくなりました。最初は歌詞なんですね、調べてみました。歌詞から自分の文章に引っ張っていくのはとてもいいと思うのですが、行数の書き方でしょうか、少し浮いてしまっている感が否めません。
    私はAKBをはじめとする女アイドルが好きではないのですが、ももクロだけは好意的に思えます。その理由が、今回の文章で少しわかった気がします。女性はやはり、どこまでいっても女性が敵なのでしょう。それを逆手にとった(のかは知りませんが)ももクロのキャラクター性は成功だと個人的には思っております。

  3. 最後の、経験なしに頭の中だけで大人になってしまうことを見ているのがつらい、と言うフレーズ。わたしも中高時代に、ちょっぴり背伸びをして頑張っている子に対してそんな思いを抱いたことがあります。俗な言い方をすれば彼女らに対しての思いは、イタい、なのかもしれないんですけどそんな言い方では済ませられないちくちくした痛さを感じます。

    でもそうやって感じている自分だって、彼女らの経験をしてないのにそんな評価できないよなぁ、過剰だなぁともよく思います。

  4. ももクロのことはよく知らないですけれども、もっとポジティブに行きましょう。きっとももクロも私達の期待をいい意味で裏切ってくれるのではないでしょうか?彼女らなりの新たなゴールを見つけるのではないでしょうか?

    という他人事めいたことをいいましたが、ネガティブな文ばかりでは前に進めませんよということで。

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