トゲトゲのワルいヤツ/棘/ばたこ

 皆さんはワルナスビという植物をご存じだろうか。元はアメリカ合衆国東南部原産の外来種であり、日本も含めて世界各地に帰化しているずいぶんメジャーな植物だ。とは言うものの実際僕がこの植物の存在を知ったのは丁度一年ほど前の事であり、東大に進学した高校の同期との他愛もない会話の中で聞かされたのがその初めてだった。

 このワルナスビ、漢字にしてみると悪茄子と書き、英語ではApple of Sodom(和訳して悪魔のトマト)となる。原産地でも我が国日本でもそのような扱いを受けるこの植物は、果たしてどれほどの悪事を働くやつなのか。今回はこいつについて語っていきたいと思う。

 まずこの植物の外見について述べよう。ワルナスビはナスやジャガイモに似た白や淡い青の花を咲かし、その花は春から秋までの長い間咲き続ける。また、球形で黄色く熟す綺麗なプチトマトに似た果実を実らせることも特徴である。ここまでを読んでみて、皆さんはどのような印象を抱いただろうか。長きにわたって美しい花を咲かせ、季節になればその身に美味しそうな果実を実らせる。なんて素敵な植物なのだろうか。しかしこれはワルナスビに残されたほんの一握りの良識なのだ。むしろこいつの作戦・罠と言っても差し支えない。以下で述べるヤツの悪行の数々を知れば、そのサイコキラーっぷりに青ざめることとなるだろう。

 こいつの一つ目の悪行はその茎や葉にある。ワルナスビは自身の身を家畜から守るために、茎や葉に多数の固く鋭い棘を有している。これをただの棘だと思って油断してはならない。その棘の鋭さは我々の想像をはるかに絶する。もし家の庭に生えてしまったら最後、我々は手の肉が削げ落ちるまでこいつを駆除することができないのだ。

 次は先述した果実だ。つい先ほど「美味しそう」などと表現したが、ゆめゆめ忘れないでほしい。こいつは猛毒を持っている。しかもその毒はソラニン、ジャガイモで有名な熱でも分解されない神経毒であるソラニンをこの果実は大量に含んでいるのだ。わらわれ人間は勿論、体の大きい家畜でさえ大量に摂取してしまうと死の危険がある。この果実を物もわからぬペットや幼児が口に含んだと考えたら…。やはりこいつを見かけたら、自分の手の肉を犠牲にしてでも引っこ抜こうと考えるだろう。しかしここでさらなる問題・こいつの最大の悪行が立ちはだかることになる。

 ワルナスビの最大の恐怖、それはその根にある。この根、なんとほんの1cm程度の破片が地面に残っているだけで、もものの一か月程度で完全に再生する。つまり我々が一つのワルナスビを命を懸けて抜いたとしても、それは奴らにとっては逆効果。地面に残された大量の根っこのかけらがそれぞれ完全体として成長し、その数を増やすだけなのだ。その上除草剤もあいつらにはほとんど効き目を持たない。これがワルナスビの全容だ。

 これまで長々とワルナスビのワルさについて述べてきたが、理解していただけただろうか。ボクが先述の通り友人から聞かされた際にも驚かされたものだ。しかしそれはワルナスビについてではない。なんとそいつは非公認サークル「東大園芸部」を作りこのワルナスビを東大キャンパス内に群生させようと策略していたのだ。他にも成長速度の圧倒的な竹を校舎地下に植えることで講義棟の破壊も目論んでいる。よく肝に銘じておいてほしい。東大に今後近づいてはならない、次にあなたがそこに足を踏み入れた時そこは既に地獄と化しているかもしれないのだから。

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「トゲトゲのワルいヤツ/棘/ばたこ」への4件のフィードバック

  1. ワルナスビ。そもそもこのネーミングがすごい。ここまで羅列されていると分かんなくなってくるけど、悪茄子、ひどいなこの名前。
    悪行の羅列から東大まで、豆知識的にさくさく読めるおいしい文章でした。肝心の棘がどのくらい強いのか、余計なことまで気になってしまうくらいに。
    竹についても、筍時代はてっぺんになかなかロックな、モヒカンっぽくみえる3~4本の棘が生えるので、ぜひ筍の悪行についても書いてみてほしい。

  2. プレゼンの見本みたいな文章で読みやすかったです。人がワルナスビを抜こうとする過程の順に並んでいたのはいいアイデアだなと思いました。
    面白さという意味であれば、せっかく「某エリート大学」ではなく「東大」という名前を出したのだから、もっと「東大」という要素を絡めるといいかもしれません。実際の友達の話であれば躊躇してしまう部分はどうしてもありますが。

  3. 面白かった。知識を面白く進めていく感じがよかった。プレゼン見たいというのもわかる。わるなすびとかかわいいし興味わく。東大wwって感じも面白い。
    もうちょい短くてもよかった気がする、なんだろう勢いあるプレゼンが最後の方疲れた感じはある。

  4. 確か地下茎で繁殖する系の植物はトラクターを使っちゃいけない(粉々になった地下茎がそれぞれ別個体に成長する)から手で抜くのはむしろ正解だったんじゃ……てクソっ、ググるぐらいにはのめり込まされた。楽しめるものであれば、多少の間違いなんて取るに足らないものですし。
    東大で栽培しようとしている彼もなかなかのワルですが、もともと外来種だった植物を帰化させた人物はその上を行きますね。まあ何かの土か種かに混ざってきてしまったのかもですが、文字通り遠い土地に根付く植物のパワーには驚かされます。

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