魔の言葉/棘/やきさば

「ごめん…熱出た…」

 

一番苦手な言葉である。わたしは友だちからのこの言葉が最強に苦手だ。特に遊ぶ約束をしていた日に突然こういう連絡が来たとき。

なぜかって?なんて答えればいいか全く見当がつかないからだ。

 

候補その1「まじか…大丈夫?」

→熱が出てるのに大丈夫なわけがない。聞いたところで無駄。しかもテンションが重くて相手が逆にやりずらそう。

 

候補その2「まじで!!??え!!なんで!どうしたの!?」

→驚きが過ぎて逆にうざい。なんで熱が出たかなんて本人が一番知りたいだろうし、それをわたしが知ったところで逆にどうすんだって話。だいたい発熱原因なんて今はどうでもよい。

 

候補その3「ひえ~どんまい」

→軽い、軽すぎる。絶対心配してない感じになってしまう。友情が軽い。どんまい以外にもっということあるやろ、わたし。あと相手も返事しずらい。

 

候補その4「大丈夫?何かできることある?」

→おせっかい。だいたい熱が出た直後にそんなこと考えられないだろう。それにそう聞いて本当に頼まれたら正直だるいと思ってしまう。本当に何かお世話したいなら何も聞かずにすべき。

 

候補その5「熱どんくらい?微熱?」

→一言めに体温を聞くのか。大丈夫?まじで?とか、何かワンクッション置くべき。しかも熱がどれくらいか聞いたところでなんだ、微熱って返事が返ってきたら、なんて答える?「ああ~そんくらいか、じゃあ一日寝てたら治るね」とか言える?言えない。じゃあ逆に38度とか、めっちゃ高温だったらどうする?「まじか…!辛いね、今日はゆっくり治してね、できることがあったら言ってね、お大事に」長い。言われなくてもゆっくり治すだろうし、できること言われてもやれる自信がない。せいぜい症状きいてその対処方法をぐぐるくらいか。家に訪問なんて絶対できない。

 

と、ここまで長々話したが、お読みのとおり、ベストな返答が全く思いつかないのだ。相手は病気の身、どんな精神状態になっているかわからないし、その分わたしの無神経な言葉で傷つけたくない、いや、こいつ全然心配してくれねーな…と悪いイメージを持たれたくないといった方が正しいか。

結局、自分が相手に(体調を崩した時でさえも)どう思われているのか気になって仕方がないのだ。だから、「ごめん、熱出た…」なんて言葉をかけられると「さあ、お前はこんな時どうする?」と試されているような気になる。「お前は友だちとして合格ラインに立てているかな…?クククッ…」とよくわからない神様か何かに問われているような。ばかばかしいんだけど。

 

優しさを繕う言葉はいつだって棘に変わる。

前から見れば丸い突起なのか、針のようなものなのか、本当に危ないのかどうかなんいてわからないけど、横から見てしまえば正体は一瞬でわかる。どれくらい長さでどれくらいの太さなのか、どれほどの凶器なのか。

わたしの言葉だってそうだ。真正面からから言葉の意味をとらえずに、違った方向から見られてしまえば、なんて返せばいいのかわからなくて戸惑いながら、結局本心から相手を心配できていないわたしの姿がばれてしまう。

 

こないだ、友だちからその魔の言葉が飛んできた。

「ごめん、熱出た…」

「ひえ~大丈夫?お大事にね…!」

「大丈夫、微熱くらいだからなんとかなりそう、今日は一日寝てるね…!家におかゆとか買いだめしといてよかった~(笑)今日はごめんね、心配してくれてありがとう!」

 

………今まで私が書いてきたことは全部考えすぎだったのかもしれない。

 

 

 

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