巻きついて締めつける/棘/ふとん

やめとけばいいのに、女だけの空間に飛び込んでしまった。

 

ヒップホップみたいなのはともかく、女子だけで踊るセクシーなダンスをやる人って自分のこと可愛いと思ってるに決まっている。そうじゃなきゃ踊れない。

 

私もそのひとりだ。

 

中学のときからニコニコで踊ってみてる人とかAKBにものすごく憧れて、夢中で振り付けを覚えた。

 

別に体を動かすのが楽しいわけじゃなかった。踊ってる自分が可愛いと思ってたから楽しかったのだ。アイドルになって男から声援を受けてるのを妄想するのが好きだった。

 

まあそんな感じの気持ちでサークルに入ったのだ。踊ったら目立てるかなと思ったから。
そしたらそこは当たり前だけど女子しかいない空間で、考えてみればずっと共学の私はそんな空間に長時間いるのはこれまでの人生で無かったことだった。

 
女子しかいないって、まず自分の立ち位置がわからない。仲良くなった女子ならいいけどそうじゃない女子ばっかりのなかでどうすればいいのか。

 

男子にこう思われたい、を中心に生きてきたのだ。べつに女子にどう思われようとかわりとどうでもいいはずで、それなら素を出せばいいんだけど、自分の素は女子の中で立ち位置がわからなくて困っていることくらいしかなかった。

 

練習きついしやめちゃおうと思いながら、でも公演に出て目立つのも悪くないと思いながら、一年間経った。

 

最初ぎこちなくなりまくりだった同期とだいぶ話せるようになって、そのせいで、女子しかいないし面倒だから行かないつもりだった清陵祭の打ち上げに、なんとなく行こうかなって思ってしまった。

 

自分をなめていた。練習中とかそのあとの雑談をやっとふつうに同期と出来るくらいのレベルなのに、打ち上げは先輩も後輩もいるし、しかもお話をするための時間を過ごさないといけないのだ。

 

基本みんな自分が1番可愛いと思ってる異様な空間。実際外から見ればこのサークルは可愛い子ばっかだ。バラの密集地帯。中にいるとちくちくする。

 

ビッチな先輩が何人かいて、ビッチな自分が好きでしょうがない。他の子に「この子ほんと男関係やばいんだよー」とか言われると嬉しくてしょうがなさそうにしながら「今は改心して清純だもんー」とか言う。

 

下品な話がぱっと通じない本当に純粋な後輩とかがいると、「ずっと純粋でいたほうがいいよー」とか言う。内心そう思ってるはずがない。むしろばかにしている。

 

これを批判すると思ったらそうじゃない。
いやめっちゃわかる。モテる自分をほかの女子の前で誇示できるのって嬉しいの、すごいわかる。

 

こう客観的なのが本心になってしまうと、反応にすごい困る。本当は純粋じゃないからなんにも驚かないのに、「えー先輩そんなことするんですか!?」なんて白々しく驚けないし、だからって「私もビッチなんですー」なんて言う意味がわからない。

 

いや、ビッチです、という単純な言葉で片付くなら言うのもありかもしれないけど、私は男好きで変態だけど処女だからビッチじゃないのだ。説明がめんどくさい。中途半端にさらけ出したら説明しないといけなくなるのが本当にめんどくさい。心を開いてもない先輩に自己開示する利益がない。

 
結局私は少し驚くふりをしてみたりうなずいてみたり1番当たり障りのない反応をするふりをしながらほとんど口を開かなかった。
時間と飲み代を無駄にしたと思った。
踊るのまあまあ楽しかったけど、もういいや。このサークルやめよ、とも思った。

華やかで目立つけど身動きがとれない場所に、無理していることはないのだ。

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