孤独のグルメ(仮)/明るい話

ああ、おなかがすいた。
バイト終わりの午後9時半。行く手を阻む飲み会終わりのウェイ系大学生や仕事終わりのサラリーマンを華麗にかわしながら横浜駅をその一心で歩く。今日の晩御飯は何にしよう、家に何があったかな。家で作るのも面倒くさいな。もう今すぐ何か食べたいよ。

もんもんとしながら赴くままに歩を進めていると、わたしはいつの間にかある場所に立っていた。

 

赤い下地に黄色い「M」の文字。そう、マクドナルド。
関東ではマックだけど、関西ではマクドって呼ばれるマクドナルド。ってそんなことはどうでもいいんだけど。
あーそうか。わたしはマックが食べたかったのか。確かに最近食べてなかったな、久しぶりじゃん。なんか体に不健康そうなものが食べたいと思ってたんだ、それならマックは最適じゃないか。
よし食べよう、と意気揚々と店内に入ろうとすると、ピタッとまだかろうじて残っていた私の理性がそれを阻んだ。

待てよ、今何時だ?

スマホをみると21:46の文字。
この時間にたべるマックは最高にうまいけど、だけど、最高に太ることもよく知っている。なぜかって?それは今まで19年生きてきて作り上げたこの体だよ。そういうことを繰り返してきたからこうなったんだよ。わたしが証明だよ。あーどうしよう。どうしようどうしよう。食べたいよ、でも食べたら太るよ。

 

………ええい、ままよ!今日はそういう日だ。もうオッケーオッケー!!
こちらを怪訝な目で伺う店員さんにも耐えられなくてわたしはついにマックに足を踏みいれた。

入った瞬間心地よい匂いがわたしを包む。あ~いい匂い。そうそうわたしはこの匂いを求めてたんだよ。
このマック特有のカロリーの高そうな匂い。おなかを極限にすかしたわたしにはもう耐えられない。

 

注文するとすぐ来るのがマックのいいところだよね。
上機嫌で席に着く。周りを見ると案外おひとりさまが多くて驚いた。仕事帰りのサラリーマンや、学校終わりの女子高生、なんかよくわかんないじいちゃんばあちゃんなど。この人達はもしかして早朝勤務なのか?

三人席のが空いていたので、その1番壁際に腰掛ける。トレーを置いて、上着を脱いで、リュックを下ろして、心の中でいただきますを唱えてから、赤い箱に包まれた美味しそうなポテトに手を伸ばした。

 

ん〜〜〜まい!そうだよ、これが食べたかったんだよ〜〜!!!出来立てのホカホカポテト最高!!!!ちょうどいい塩加減!!はあ〜〜幸せだ〜〜。

今度はダブルチーズバーガーに狙いを定める。ずっと会いたかったよ………口とバーガーの距離をちょっとずつ縮めて……ぱくっ!

んまい!!わかってたけどうまい!!やっぱマックはダブルチーズバーガーだよね!!とろけるチーズとジューシーなお肉!!今日のコンディションは最高だな!!はあ〜〜今日バイト頑張ってよかった〜〜思い切って入ってよかった〜〜わたしはこの一瞬のために生きてたんだなあ〜〜。

 

これ以上ない幸せに浸り続けて、ごちそうさまをした。帰りのバスではうとうとしながら岡沢町で降りて、やっとお家に着く。今日もわたしおつかれさま、と暗い家を見渡すと炊飯器のあたりが明るいのに気がついた。

ん?と近寄って見てみると、その正体は保温ボタン……………

 

あ、そういや今日、ご飯炊いといたんだった…………。

 

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