とりあえずは挨拶を/妄想/やきさば

例えば、星がきれいだとか、晩御飯何作ろうとか、この映画面白いだとか。そういうとき、僕は泣きそうになる。

 

疲れた。もうなんのやる気のない足をゆらゆらと動かしながら岐路につく。特に今日も疲れること何もやってないけれど、なんだか大学に行くだけで、どっと体力が奪われるんだよなあ。やっぱり知らない人がいっぱい集まる空間そのものが苦手なのか。

家に入って時計を見れば、もう夜の10時を回っていた。もうそんな時間か。この時間から一から料理を作る気力なんてわかなくて、そういやおととい買ったであろうカップラーメンをすする。

ずるずる。ずるずるずる。別に特に美味しいわけでも、特にまずいものでもない。無心になって箸を進めているといつの間にかカップの中は空っぽになっていた。

 

はあ、疲れた。今日も特に大した事やってないけど。これから、洗濯して、風呂入って、課題やらなきゃ…。

ああ、もうやる気が出ない、こうしてベッドの上に転がってしまったらもう起きれるわけがない。今日はもうこれにて終了だ、お疲れ自分、おやすみ自分。

 

「あのー、これあなたの?」

突然誰かに話しかけられた。誰だ、大学で僕に話しかけてくる奴なんていないのに。顔を上げるとそこには知らない顔。手には僕のシャープペン。

「っっあ!僕のです僕の!すみません拾ってもらっちゃって」

「いえいえ」

 

にこっと僕に笑いかけてくる。優しい人だな。そんな笑顔を向けられたのなんて久しぶりだ。きっと周りのいろんな人から好かれていて、課題もサークルもバイトもいい感じにやれてて、人生楽しい!!みたいな、羨ましい。前世でどんな徳をつんだらそうなれるんだろう。僕とは正反対だ。

 

「何学部?」

 

はっとして話しかけられ続けていたことやっと気づいた。すぐさま思考の旅から戻って答える。まさかまだ続いていたとは。

 

「え!?俺と一緒じゃん!!」

まじかよ、もっと聞けば学科も一緒だっていうじゃないか。まじかよ。なんで僕この人のこと知らなかったんだ?誰とも話さないのはともかく、同じ学科の人の顔くらいほとんど把握していると思ってたのに。

 

「まじかよーっ!俺、話したことなくても同じ学科の人の顔くらいだいたい把握してると思ったのに、知らなかったよ、うわーなんか悔しいな」

いや、そりゃそうだろうね…、こっちは誰とも話すことなくひっそり生きてるんだから。そんな僕と正反対のあなたが僕のこと知ってるわけないじゃないか。というか僕と同じような思考しないでくれ。

 

「っていうのは冗談で」

 

は?

「俺、知ってるよ、あなたのこと。いつも泣きそうな顔して授業うけてるでしょ。なんでだろうなってずっと思ってた。お昼食べるときも、キャンパス内を歩いているときも。そんな泣きそうな顔してたら誰だって気になるよ。

ねえ、なんでそんな顔してるの?」

 

 

びくっとしてベッドから飛び起きた。なんだ、夢か……。にしても妙にリアルだったな。変なこと聞いていきやがったし。でも誰だあの人、見たことない。なんであの人が出てきたんだ。誰だあの人。

 

「あのー、これあなたの?」

 

びくっとした。起きた時と同じ感覚だ。どこかで聞いたことある言葉、どこかで聞いたことある声。顔を上げると、どこかで見たことがある顔。

なんだこれ、夢か?さっき見たのと同じ夢をまた見てるのか?え、どうなってんのこれ。

 

「お、おはよう」

 

でも、また会えたことが嬉しくて。もう夢でも何でもいいからとりあえずは挨拶を。多分これ、返事としては間違えてるけど。

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「とりあえずは挨拶を/妄想/やきさば」への2件のフィードバック

  1. 行間が空いていたりして読みにくかった部分がある。もしかしたら縦書きのほうがいいかもしれないと思った。

  2. 60秒ぐらいのアニメCMみたいな印象です。大学生はスレているイメージがあり、単純にキラキラが足りないので、いっそのこと舞台を高校に移してしまえば雰囲気を活かせるかもしれません。
    また、ショートショートでのデジャヴは必然的にスパンが短くなってしまうので、詳細に描写しすぎると同じことの繰り返しになってしまい、寒くなりがちです。もう少し妄想の方を抽象化したほうが、現実の方の描写に興味が持てるのかもと感じました。

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