駆ける場所/曲/Gioru

先日、誕生日を迎えた私は二十歳になった。

 

二十歳。子供から成人への区切りとする年齢。そのためなのか、色々なところで制約が解除されていく。

飲酒や煙草が可能に。パスポートが10年分作成可能。書類などでの保護者欄への記入不要。今まで許されていなかったものが次々と許可されていく。

その分、自分の行動は全て自己責任になるため、肩代わりされることがない。ノーリスクでのリターンなんてあり得ないから、そこは当然なのだけれども。

 

自分の住む世界が変わる、そんな気がして、誕生日前夜はどんな過ごし方をしようかと妙にそわそわしていた。

でも、実際に前夜になっても、結局はそれだけだった。

 

目の前にある期末レポートやら課題たちが消えることはないし、何か特別なことが起こるわけでもない。時間がたてばたつほど拍子抜けしていく。

 

最近の変わらない日常を続けて、気が付けば日付変更の一時間前。もう特別なことは望んでいなかった。それでも、せめて日付をまたぐ瞬間には何かしていたい。寝ているのは癪だと思ってとにかく頭を動かした。

そこでふと頭をよぎったのは、何日か前に友達と昼食を食べていた時の会話。

その友達は、アニメ『時をかける少女』を見直したらしく、主人公の女の子とそこに関わっていく男の子の振る舞いがとても眩しいものに思えたらしい。こんな高校生活を送ってみたかった、とどこか遠い目をしながら話していた。

もしかしたら今までを多少でも振り替えられるかも、そう思って、日付の変わる直前にこの曲を流した。

(奥華子/ガーネット)

歌詞自体は、まさに青春と形容してもいいような内容。とある人と出会って、関わっていくうちに特別になる。でも、その変化が怖くて目を背けようとした。いつまでも居心地の良い世界にいようとした。私自身が変化してきていたのに。じゃあ今すべきことは?

 

今までを思い返すつもりで聞き始めたのに、いつの間にか今の自分について考えさせられていた。自分にとって居心地の良い場所は手放したくなくて、なんとかしてそんな世界を作ろうとする。それでも変化は私にやってきて、一人暮らしをするようになったり新しい団体に所属したり。都合の世界を作ろうとしても、思い通りにいかないことも多くて、取り返しのつかないことも何度も起きた。

この曲では、そこを受け入れようとしているのか、それとも傷つき続ける決意なのか。いずれにせよ、あまりにも真っすぐな気持ちが込められているような気がして、その透き通った歌声も拍車をかけるように私に迫ってきて。

 

あぁ、私には眩しすぎるよ。羨ましい。

 

日付は私の誕生日になっていた。

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「駆ける場所/曲/Gioru」への2件のフィードバック

  1. この人は本当に声がきれいで聴き入ってしまった。素直な歌詞を素直に歌われても、すっと入ってくる。
    女の人が歌ってる曲だけど、文章は静かで男性的(作者を知ってるからそう思うのかもしれないが)。でも、たぶんそのミスマッチがしっくりくる。これが女子高生的な「チョーやばい♡」の口調で綴られてたら、なんか違う。実際に共感して聴いてそうなのは間違いなく中高生あたりなのだろうけど。やさしいノスタルジーが、この文章とマッチしてるのだろう。
    まあ私なんてこの曲を聴いても思い返せるものはないんですけど…。

  2. あっダメ、再生してたら泣いてしまった(安い涙)。この人の曲みんな好きですよね、みんな好きだったからなんとなく避けてたんですけど、いい曲だし、これ部活の最後の日後輩がBGMで流してくれてた曲だった気がして、ボロ泣きしました。こういう切ない曲は、勝手にノスタルジックスイッチがオンになるので夜に聞くと多分ろくなことになりませんよ!
    お誕生日おめでとうございました。

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