「夏の風物死」今年もシーズン到来/夏/さくら

7月に突入し、2番目に遅い年とも言われながらついに台風1号が誕生。台風の誕生とともに、今年もあのシーズンがやってくるのである。

そう。

夏の風物死のシーズンの到来である。

「風物死」という言葉、いつ誰が使い始めた表現かわからないが、夏に限らずオールシーズン何かしらの死に様があり、自然そのものとは違った方向性から季節を感じさせてくれる。

例えば、正月の風物死といえば、「餅をのどに詰まらせて死亡」だし、5月の風物死といえば、「五月病特有の鬱からの線路ダイブ」が有名である。

「夏の風物死」とは、みなさんご存知、

「田んぼの様子が心配で嵐の夜に外出して死ぬ爺さん」

のことになる。多分多くの人が、毎年のようにこのニュースを耳にして「やめときゃいいのに」って思うんじゃなかろうか。なのに毎年、学習していないのか必ず何例もこういったニュースが報道される。いつしか一種の風物詩になり、冗談の上手い人が「風物死」と命名した次第である。

 

さあ、ここからが本題。どうしたら無謀な嵐との闘いを思いとどまらせることができるだろうか。まあ無謀な死を防げればそれ以上無謀なことでもいいことにしましょう。

 

【1】 田んぼをリアルタイム中継して見せてあげる

見に行くと死んでしまうわけだから、見に行かなくても済むように家から田んぼの様子を確認できるようにすればいいのでは?天才!

調べてみた。田んぼに設置するように特化したものは見つからなかったものの、家庭用防犯カメラは多数ヒットした。セコム的なのとかね。近くに小屋でも置いて、そこに入り口用のカメラを設置して、田んぼが映るようにしておけばよさそう。予算は10~15万といったところか。

ただこの案、絶望的な欠点が!

カ   メ   ラ   は   水   に   弱   い

あっ。

 

【2】 台風が来たら爺さんを家の中に監禁する

田んぼがダメなら爺さんを止めておくほかない。人権?知らない。死なれるよりマシだ。

3人家族くらいの家を想定しておく。台風が接近し、空の色や音が不穏になってきたな、というタイミングで妻と息子が倉庫からおもむろに麻縄を取り出し、爺さんを連行。柱に括り付けて、身動きが取れないよう拘束。こうすれば、田んぼを見に行って死ぬことは避けられる。おそらく10万もしないので、1つ目の案よりリーズナブルだ。

ただ、この案にも欠点がある。

まず1つ。1回これやったら爺さんは学習すると思うんですよね。「あっ、これ麻縄で縛られるパターンだ」って。そうなると確実に2回目以降は抵抗するだろうし、人というのは、無理やり抑圧されたら余計にやりたくなるもの。逃げ出してそのまま田んぼの様子を確認。帰らぬ人に…というルートが構築されかねない。

2つ目の欠点。家が浸水した時多分真っ先に死ぬんですよね、爺さん。それに避難勧告が出ても、すぐには逃げられないでしょ。妻と息子は真っ先に逃げ出して、徐々に部屋の水位が上昇する中身動きが取れない爺さんとかいうものすごい拷問じみた死に方になるくらいなら、死ぬ前に田んぼの様子を拝みたかった、ってことになりかねないので却下。

 

【3】 台風の進路をずらす

「田んぼの様子」「爺さん」をどうにかしても限界があるみたいなので、こうしちゃいましょう。

台風の進路を人工的に変更させてやろうという試みは、割と俎上に上る話題らしく、そこそこ話が出てきた。台風の周辺を急激に冷却する、とか、人工的に上昇気流を起こす、とか。

ただ、動いた台風が突っ込んだ先の爺さんが同じことを考えて死ぬかもしれないという致命的な欠点が。

 

「夏の風物死」は、これからもしばらくは夏のニュースを賑わわせるだろう。

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「「夏の風物死」今年もシーズン到来/夏/さくら」への3件のフィードバック

  1. こういうとんでもネタ大好きです。ありがとうございました。
    風物死はあまりきかない単語で、検索かけたら面白そうだったのでシリーズ化してほしい。
    コラムみたいな軽い書き方もあっているように思いました。章もフォントも読みやすくてよかったです。

  2. 面白いコンセプトだけど、どうも解決策の三つが弱い気がする。面白みがあまりない。こういうおもしろ系で行くなら是非もっとギャグ線を高めてほしいというか。

  3. 最初のところに夏にはもっと死ねる要素があるんじゃない、と思いました。
    対策も、もっともっとあるなと思った。畑ごと売却してやるとか、避難用地下通路を掘ってあげるとか。
    このように読者の想像を膨らませてくれるところも醍醐味の一つだね!

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