そんなのすぐに/夏/やきさば

梅雨が終わり太陽も本気を出してきた。
じりじりとわたしの生活するありとあらゆるところを照らして、わたしはだらだら汗をかかずにはいられない。体のいたるところを蚊に噛まれて、かいて、夏が終わる頃には跡になっているだろう。唯一の自慢の色白肌もどんどん焼けて、無様な小麦色になるだろう。少しでも膝を曲げてれば裏に汗がたまるし、人と寄り添えばベタベタする。わたしの寝床であるロフトも、この季節はもう暑くて寝られない。

でも、わたしは夏が嫌いなわけじゃない。

太陽に照らされてるのが嫌であれば、すぐ室内に入ればいいし、汗をかいたらタオルで拭けばいい。焼けるのが嫌なら日焼け止めを塗ればいいし、蚊に噛まれるのが嫌なら、虫除けスプレーを使えばいい。
ベタベタするのが嫌なら、クーラーきいた部屋で寄り添えばいいし、ロフトでねれないなら、いつものリビングで寝ればいい。
疲れて家に帰るとむわっとした空気が襲ってきて嫌になるけれど、それだってエアコンの除湿ボタンを押せば1発で華麗な勝利をおさめられる。

そう、夏は煩わしいことがいっぱいあるけれど、そんなのすぐに解消できるのだ。だからわたしは夏が嫌いなわけじゃない。

嫌い、ツライとか、悲しいとか恋しいとか、したいとか、その時に自分全部を投げ出すほど自分全部をいっぱいにした感情も、時間が経てばすぐに解消される。

こないだバイト先がもう潰れるからと解散会なる飲み会があったけど、その時の、悲しい、寂しい、ありがとうございましたは全部翌日になれば消えていた。むしろあの時のあの感情は嘘だったんじゃないかと思うくらい。

昨日、みんなで初めての挑戦をして、何度も何度も頑張って、徹夜で作業して、やっとそれを達成して、とびあがるほど嬉しかったけど、今日になれば全部消えていた。昨日のあの喜びは嘘だったんじゃないかと思うくらい。

今朝、授業に向かう時、暑すぎて死にたい、帰りたいと思ったけど、クーラーのガンガン効いた教室に入れば全部消えていた。さっきのあの感情は嘘だったんじゃないかと思うくらい。

全部消えてしまうたび、嘘だったんじゃないかとわたしはわたしを疑ってしまっていたけれど、人間そんなもんかと最近は開きなおってきた。
毎日感情をリセットしていくわたしにわたしは悲しさを感じていたけれど、人間そうじゃないと生活できないわけで、実際は、明日また朝が来るように、1年後には夏がまた来るように、あの時のあの感情は完全には消えていない。
それは記憶になって思い出になってきっとわたしの中に眠っているのだろう。その時その時に自分全部をいっぱいにした同じような感情を繰り返して日々生きていくのだろう。

だからかかってこい!夏!

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