夏の哲学/夏/フチ子

彼と一緒にお風呂に入っていたら、突然「手を絡めて繋いでくるところが嫌だ」とかいうわりと理不尽な理由で別れたいと言われて、わたしがパニックになって、「お祭りに行くって言ったじゃん!嘘だったの!?」と問い詰めたら、さぞ面倒くさそうにされて、彼がお風呂から出てしまった。

パッと目が覚めた。これこそ一夏の恋か、と思い知って、そういや関ジャニ∞のニューシングル『罪と夏』でも「一夜限りの過ちでも…ほら夏だしさ?」という無責任な歌詞があるな、仕方がないのか、こんなでも生きていかなきゃ、そういや暑いよと思って寝返りを打ったら、彼がグースカ寝ていて、少し白目が見えてて間抜けだった。そこで初めて夢だと気づいて、こっそり冷房をつけた。

夏はどうしてこんなにもけだるいんだろう。ここまで暑いのに歩かないといけない理由はなんだろう。500メートルくらい歩くと、ふと夏の哲学が始まって、夏のいいところと悪いところを頭の中で浮かべてみる。『波乗りジョニー』や『TSUNAMI』が生まれたことが夏の最大の遺産である。反対に、日焼け止めと汗がまじってがベタベタして、汗疹に悩むことや、キンキンに冷えた麦茶を一気に飲むとお腹を壊すこと、冷房で冷えた部屋にいると肘が痛くなること、食欲がなくなってごはんを作ってくれた母親をガッカリさせること、夏の悪いところなんていくらでも出てきて、どれを最大悪としていいかわからない。

その過程を経て、夏のろくでもなさを再確認する。目的地まで死にそうになりながらも歩く理由が、死にそうながらに歩いている苦しむわたしがひたむきで切ないから、とかいうマゾになりきることでしか得られないなんて、夏はつらい。蚊を殺すのが得意という点は彼のいいところだとどうでもいい雑念も入った。

まだ、夏は始まったばかりで、これからもっともっと過激に暑くなる。こんなものじゃない、もっともっと耐えないと、いやだいやだもう既に死にそうだ、と思ってるうちに9月になって、10月になっていく。この頃になると今年の夏は意外にも思ってるほどだったな、室内に篭ってたから暑さをあまり感じなかったのかな、と夏の総括をして、冬の準備をする。毎年そうだからきっと今の暑さはピークの一つであって、これからどんどんどんどんレベルが上がって歩けなくなるまでにはいかないことはわかってる。でもやっぱりまだ7月だし、3合目くらいしか登ってないように感じる。ああ、夏はいやだ。

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「夏の哲学/夏/フチ子」への2件のフィードバック

  1. 冒頭のゆめうつつが思わず二度見するくらい臨場感があって驚きました。
    けだるい夏の感覚は、確かに覚えがあって、文にされるとますますそう納得できました。
    たぶん求めてないのかもしれませんが、もう少し例えが全般的だとわかりやすかったかもしれません。が、全般的ってなんだろう。

  2. 毎年息ができないぐらい暑くて、それでもそう簡単に死ねなくて、文句も言えなくなってひたすら耐えているうちに涼しくなる。すっかり秋になった時に思い出したら何となく楽しいこともあったなと夏は楽しいという結論に至る我々は本当に学習しないバカだなと思いました。

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