(怒涛の)花火記念日/夏/峠野颯太

花火が見たいと君が言ったから、8月14日は花火記念日。
なんて、言ったことも言われたこともありません。ただ、8月13.14.15日近辺、お盆のとある1日、地元の大きな花火大会が開催されて、学生を始め家族連れまで皆がそこに集まるという感じなのです。
私も勿論何度も足を運びました。友人とも、家族とも行きました。あとは彼氏とさえ行けばミッションコンプリートなのですが。まあそれは置いといて。

去年の夏、帰省をこの花火大会と被せた(正しくは偶然にも被った)ので、高校の時の友人と一緒に行きました。人が多いので、場所取りをするのがテッパンなのですが、なんせ類は友を呼ぶ。我らは行き当たりばったり軍団だったので、場所取りなど一切せず、夕方に現地集合。携帯がない時代だったら絶対会えませんでした。人が揉みくちゃなところにもかかわらず、「じゃあ現地集合で!」というメッセージだけで会おうとする馬鹿がどこにいましょうか。ここです。ここにいます。
普通だったら橋の下で、とか、皆がわかる目印の近くを指定すべきなのでしょう。そこまで頭が回りませんでした。テレパシーを出せるエスパー軍団ならまだしも、行き当たりばったりアホ軍団です。LINEと電話という文明の利器を駆使し、結局1時間近くかかって全員落ち合いました。
さて、ここで終わりではありません。次は場所探しです。この時点で開始まであと1時間切ってます。 お腹も空いてます。屋台は長蛇の列です。お分かりですね、絶望です。

一応ない頭を使った私たちは、屋台にいって焼きそばを買ってくるチームと、花火を見る場所を探すチームに分かれました。
私は見る場所を探すチームでしたが、正直どこでもええやろ精神だったので、後ろの方とか、場所取りのブルーシートとブルーシートの狭い隙間とかを見つけては「ここは?」と提案してました。でも、見事に全部却下。
場所取りソムリエがこちらのチームに紛れ込んでいたせいです。「そこは人が多そうだから絶対くつろげない」「そこは見にくい」注文の多いソムリエは、どんどん人の提案にケチをつけては、歩みを進めて行きました。もうソムリエに全部任せることにして、ソムリエが「ここはどうかな?」と提案してくるごとに、私は「ええな」とだけ言う絶対肯定マシーンに変身しました。そんなことより早く座りたくてたまらなかったのです。
結局、ソムリエは最前列の結構広い隙間を確保し、満足そうでした。褒めろ、と言わんばかりだったので絶対肯定マシーンは「ようやった」とお前は誰なんだ、と思わずセルフ突っ込みをかましたくなるほどの上から目線で褒め称えました。

私たちが座った頃に、焼きそばチームがやってきました。学習した私たちは、今回はきちんと目印を伝えたので、すんなりと落ち合う事ができました。
よし、落ち着いたし焼きそばを食べようではありませんか。ですが、焼きそばチームは1人一パックではなく3人で一パックをレッツシェア!という、少食なのかケチなのか判別しにくい買い方をしてきたのです。しかも焼きそば2パックに対し箸は一膳。どうやら途中で箸を一膳落としてきたらしいです。仕方がないので、6人で一膳で2パックを回し食べ。ゆっくりと食べると申し訳ない気がしているのでしょう、みんなフードファイターかな?と疑いたくなるレベルで食べるのが早い。じゃんけんで負けた私は最後に食べたのですが、冷めてるわみんなが急いでいて逆に申し訳ないわで、なんか食べたんだか食べてないんだかよく分かりませんでした。

私が焼きそばを食べおわって数分後、花火が打ち上がりました。なんだかんだあったけど、綺麗だったし結果オーライ!
…となるはずだったのです。甘い。行き当たりばったりアホ軍団は、ここでさらに己の馬鹿さ加減に気付かされます。

この花火大会、県境である大きな川を挟んで2箇所に打ち上げ場所があるのですが、私たちはそのうちの一つの打ち上げ場所に非常に近かったのです。しかも、その日はほどよい風が吹いていました。最初の頃は、反対側から打ち上がっていたので、綺麗だなー、で済んだのですが、こちら側から打ち上がり始めると、それはもう地獄の始まりでした。
まず、煙がもろに全部こちら側に流れてくるのです。みんな涙目かつ咳連発で「臭い!煙い!ゲホゴホ!」と阿鼻叫喚。私はもう目が痛すぎて涙が止まりませんでした。そして、比較的大きな花火が上がると、火花が流星の如く落ちてくるのです。「熱い!危ない!死ぬ!!!!」もう正直花火どころではありません。自分の身の安全の確保が第一でした。ソムリエが何これ何これ!連発してたので、「いやお前が最前列にこだわった結果やろ!自分の罪を噛み締めてくれ」ととりあえず責任を押し付けておきました。

色々苦労してようやくたどり着いた花火だったので、皆「危ない」とは言いつつも、誰1人として「帰ろう」とは言わなかったので、結局最後まで叫びながらも花火を見終えることとなりました。
一番多かった感想は、綺麗だったでも、楽しかったでもなく
「死ぬかと思った」「散々だった」でした。

おそらく数年分寿命が縮んだ去年の花火大会。今年も開催が決定していますが、私が、そして私たち行き当たりばったりアホ軍団が行くかどうかは、未定です。次行ったら本当に死ぬかもしれないので。

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「(怒涛の)花火記念日/夏/峠野颯太」への2件のフィードバック

  1. しつこくなくてさらっと読めました。内容てんこ盛りなのに。おそらくこれって経験者同士で話したほうが楽しいことで、他人にとってあまり興味のわかない思い出話をここまでひきこませるのはスゴイです。

  2. 場所取りソムリエに絶対肯定マシーンなど、造語が秀逸でした。
    最前列のいいところがそんなに簡単に空いているわけない。なんとなく予感はしていたが、ハプニングも記念日としてはいい思い出になったのだろうなと思います。

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