青い夏/夏/仄塵

夏って、なんかピュアな感じだね、とあなたが空を見上げて囁く。

ばあちゃんちの青いペイントの塗った扇風機、風量を調整する固めのスイッチを押すのが好きだった。そして「壊れるで!」と大人に怒られた。回り始めると羽根が見えなくなるからとても不思議に思い、それに加え絶対に指を入れちゃいけないと警告されてたから異世界の入り口にも見えた。

夏バテに効くという緑豆のドリンクはいつも巨大なステンレスボウルに入ってたのはなぜだろうか。そして飲み干した後よーく煮た緑豆に大量な砂糖を混ぜて食べるのは子供の特権だった。どのアイスよりもうまかった。多分それはあんまり美味しくない緑豆ドリンクを飲まないと食べられないから、より一層幸せを感じたのかな。

なぜ夏を考えていたら、頭の中昔のことばかりになってしまうのだろう。熱中症になりながらも全力で楽しめたあの野外ライブのアンコール曲も、家に辿り着く5分前に降りかかった俄雨の事も、思い出せないのはなぜだろう。

だって、夏の味は甘酸っぱい。とあなたがくしゃって笑ってこっちに振り向いた。

もしかしたら夏自身が子供なのかも知れない。可憐なところもあれば憎い一面もある。汗をかいてTシャツにふく塩の結晶と、スイカの上にふる塩は同じ物質だよ。キラキラした海の波にも、屋台で作るお好み焼きのソースにも、全部夏という名の添加物が入ってる。

わがままだから、未熟だから、未だにあの季節と分かれることが出来ない。車道に座り込み見上げた花火も、強気で買ってしまった派手めの水着も、暑かったから、頭おかしくなって、しょーがないや。夏がこのように慰めてくれる。

僕の人生には、あと何回分の夏休みが残っているのだ?

蝉の鳴く鬱陶しい声も、胸を圧迫する水蒸気も、汗で濡れた前髪も勝手に加熱されるペットボトルも、僕から離れるわけでもないのに、寂しくなるのは不思議だ。これから夏はどんどん大人っぽくなるのだろう。カルピスがビールになるのはまだいいが、制汗剤と冷感スプレーばかり増えるのはずるいよね。

最高気温23度。日中は晴れ時々曇り。湿度は40%と非常に過ごしやすい一日になりそうです。それなら満足か?授業をサボるチャンスも、カロリーを気にせずアイスを買う理由もなくなるのよ。

1 vote, average: 1.00 out of 51 vote, average: 1.00 out of 51 vote, average: 1.00 out of 51 vote, average: 1.00 out of 51 vote, average: 1.00 out of 5 (1 投票, 平均点: 1.00,  総合点:1  |  
投票する為にはユーザ登録する必要があります。
Loading...

「青い夏/夏/仄塵」への2件のフィードバック

  1. たしかに、夏は記憶で構成されているような気がする。端的にいえばめっちゃ夏っぽい文章だと思いました。
    めずらしく少し詩的な文に感じたので、新鮮でおもしろかったです。一方で夏は結局性質が子供なのか、それとも記憶の積み重ねに付随するのか、論的に考えてしまうものでもありました。
    一文のみの『あなた』文は、やはり統一してあなたをだしたほうがよいのかもと。

  2. 詩のような、力強さと冷静の中にある熱さ、堅さのようなものがありました。夏の重たさというかギラギラした感じと自分勝手な感じがよくマッチしていたような気がする。

    最後のアイスをカロリー気にしないで食べれるのが夏でしょうというフレーズが良かった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。