そらの☆プリンスさまっ♪-prologue-/夕方/峠野颯太

こんにちは、私は何の変哲もない、普通の空です。いつも皆さんを上から見ている、あの空です。
私はいつも一人ぼっちです。皆さんを見ていたら優越感から楽しい気分にはなれるのですが、やはり私も1人の乙女。たまには誰かと一緒に過ごしたいとも思うのです。

そんな私を見かねてなのか、私の親である神様が誕生日プレゼントをくれるというのです!
そして今日がまさに私の誕生日!
あまりに楽しみでお父様の横にずっと張り付いていたら、部屋で待つよう言われてしまったので、大人しく部屋で待ちます。
一体どんなプレゼントなのでしょう…!

「よう!入ってもいいか?」
どれくらい経ったのか、いつの間にか眠ってしまっていたようで、突然ドアの向こうから聞こえてきた明るい声で目が覚めました。

「誰ですか?」
自己紹介も無しに乙女の部屋に入ろうなんて図々しいにも程があります。私はちょっと苛立ちが伝わるように、わざと強めに言いました。

「あ、ごめんな!オレは空ちゃんのお父様からのプレゼントだ!ここ開け…」
プレゼント、の単語に反応した私は、答える間もなくすぐにドアを開けました。すると、とても元気そうな男の人がいました。

「はじめまして、そして誕生日おめでとう!オレは昼山陽太!これからよろしくな!」
彼は歯を見せながら笑い、右手を差し出していたので、何となく私も右手を伸ばすと、なんと彼はそのまま手を握ったのです!

「えっ、陽太くん…!?」
突然の出来事に私が戸惑っていると、彼は私の耳元に顔を近づけ、

「空、これが握手だぜ」

と囁きました。
ドキドキで壊れそうです。こんなこと初めてで、生意気にも私をいきなり呼び捨てしてきたことに構う余裕がありません。

陽太くんはそのまま部屋に入ってきて、ドアを閉めようとしました。が、しかし…

「待て!貴様!空様から離れろ!」

また見たことのない男の人がやってきたのです。

「チッ…見つかっちまった…」
陽太くんはぼそっと呟き、そのまま私の手を離します。

「どけ!…空様、大変失礼致しました。彼には厳しく言っておきますから、どうかお許しください」
陽太くんを突き放した彼は、私の目の前に跪き、頭を下げながらそう言いました。正直いつも人を見下して…見ていた私にとっては、とても心地のよい景色でした。

「大丈夫ですから、顔を上げてください」
と言うと彼は顔を上げ、
「ああ空様はお優しい…今後は十分に配慮いたしますので…あ、自己紹介が遅れましたね。私は雨野白夜と申します。私もこの昼山と同じく、空様の誕生日の贈り物でございます。ご生誕、おめでとうございます。今後ともよろしくお願い致します」
と述べてから、再び深々と頭を下げました。

「はい、よろしくお願いします…」
彼の眼鏡の向こうから注がれる柔らかい眼差しに、
顔が火照っているのが自分でもわかるくらいに私は照れていました。

「あっれー。お取り込み中的な感じ?俺入ったら空気読めない感じ?」
雨野さんの背後から、突然剽軽な声が降ってきました。

「貴様はまた遅刻か…!」
その声にすぐに反応した雨野さんは振り返り、まるでお母さんのようにその人を叱ります。
「アハハ、ごめんって、そんなに怒ったら空ちんに嫌われちゃうぞー?」
しかし、彼は全くと言っていいほど気にすることなく、ヘラヘラと笑い続けているのです。

「空ちん、遅くなってごめんねー。俺は霧谷旭。俺も勿論空ちんへのプレゼントだよー。ハッピーバースデー、これからよろしくねー☆」
雨野さんの説教をかわし、馴れ馴れしく私を抱きしめてきました。

「霧谷!」
雨野さんはそれを見逃すはずもなく、より一層声を張り上げて怒りました。
「わ、白夜ホントコワーイ。ねー?空ちん」
この人は図々しくもあだ名で呼んでくるのですが、何故か私はそれに無性に安心してしまうのです。

「おい旭、アイツはまだ来ねえのか?」
存在をすっかり忘れていましたが、陽太くんが旭さんに質問を投げかけました。
「んー、来ないんじゃない?あんなのどうでもいいいっていうか、別に関係ないしねー」
「本当に奴には困ったものだな…」

ところで、アイツとは誰なのでしょう。この私だけがその正体を知らずに過ごすのはプライドが許さないので、尋ねてみることにしました。
「そのアイツとは誰なのですか?」
「雲宮夕」

そう答えたのは、陽太くんでも雨野さんでも旭さんでもなく、全く知らない人。どうでもいいけど、皆さん突然現れるのが好きですね。もう驚きませんよ。

「あ、ちゃんと来たんだー。夕のことだからまたすっぽかすと思ったんだけど」
彼は旭さんのイライラする挑発に乗ることもなく、そのまま冷静にというか冷酷に続けます。
「僕の勝手だろ。そんなことより、この女にちゃんと説明したのか」
この女とはなんと失礼な…

「まだだ。貴様が来るのを待っていたのだからな」
「そうそう。でもこれでやっと言えるぜ」
一体何のことなのでしょうか…?

「空様、私たちは貴方を私たち色に染めるためにやってきたのです。まだ何色にも染まっていない貴方を、大人にするために」

「オレら4人の中で、誰の色に染まりたいのか、空自身が決めていいんだ」

「そうやって染まった空ちんは、立派な空ちんになれるんだよー。空ちんのパパも楽しみだってさー」

「おいそこの女。僕だけは選ぶなよ」
なぜこんなに偉そうな態度を取れるのかさっぱり分かりませんし、とても腹が立つのですが、それでも何故か、彼が気になって仕方ありません。どうしてなのでしょう、雲宮夕ルートを選ぼうとしている私がいるような…

「私か」
「オレか」
「俺か」
「…」
「誰の色に染まりたい?」

お父様、一体これはどういうことなのですか…!?
そして私は一体どうなるのでしょうか…!?

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「そらの☆プリンスさまっ♪-prologue-/夕方/峠野颯太」への4件のフィードバック

  1. 「らしさ」がすごくて、本当にこういう文章に関しては天才的だなと思う。テンポがよくて読みやすいし、乙女ゲームのキャラクターの割り振りも忠実に再現されている。
    ただ、「普通の空です。」という衝撃の冒頭から入ったのに、主人公を「空」にした意味が、「染める」という単語でしか回収されていないので、最終的に普通の乙女ゲームの宣伝みたいな感じで終わってしまっているのは、もったいなく感じた。天気が空に壁ドンとか、もっとわけの分からない、ぶっ飛んだ状況を織り込めば、よりオリジナリティのあるものになるかも知れない。

  2. キャラが大雑把にしか掴めない中で、次々と人物が登場する様子はタイトルのもとであろう作品のアニメの1話を思い出しまた。
    出てくる人を追っていたら結構大人数いるように感じたのですが、4人だったのですね…濃い。

  3. 「これなんて何て乙女ゲー?」と突っ込もうと思ったらこのタイトル。ああ、既視感。
    夕方というテーマの回収が一キャラの登場だけで終わってしまったので、プロローグ以降が見てみたいですね。

  4. アニメの第一話みたいな展開でしたね。とにかく登場人物が出てきて好きにいっていく感じとかまさにそれでした。

    キャラわけもしっかりしていてわかりやすかったのですが、乙女ゲームの性なのかなんというのか、楽しいけれど見たことのある感じがします。やはりどこかぶっ飛んだ何かがないと、度肝は抜けないかもしれません。

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