ばあちゃんの雑煮/食べたい/印度

 

正月、ばあちゃんの家に行くと決まってコンロの上にでかい鍋がある。
その鍋の澄んだ黄色の汁の中には里芋、人参、鶏肉、ごぼう、こんにゃくなどなど、具が所狭しと入っている。
それをお椀に注ぎ、正月の代名詞のような熱々にふくれあがったおもちを入れる。
ばあちゃんはいつも食べたいおもちの数を聞いてくるけれど、そこで正確に食べたい数を言ってはいけない。
絶対に1つや2つ多く入っているので食べたい数を少なめに言っておかないとそれこそおもちのようにおなかがふくれあがってしまうのだ。
刻んだネギ、細かくちぎった海苔とかつお節をのせたらばあちゃんの雑煮の完成である。
初詣の帰りで凍えた身体には、香ばしくそれでいて優しい味のスープが熱々のおもちと絡みあって、身体の芯から温めてくれる。ばあちゃん家では二年参りから帰ってきて雑煮を食べながらテレビで箱根駅伝を観るのが毎年恒例となっている。

一回だけばあちゃんが雑煮を作るところを見せてくれたことがある。まず最初に鶏ガラでスープを取るのだ。僕はこの行程がばあちゃんの雑煮作りにおいて1番重要だと思っている。
でかい鍋にバラした鶏ガラと水を入れて火にかける。灰汁が出てきたらすくっておく。水が入れた量の半分になるまで延々と煮込むのだ。
たったこれだけだが、鶏がらスープをとるだけで2時間もかかる。
2時間もかけて鶏がらスープをとるより、鶏がらスープの素を使ったほうが楽だし、おせちだって作るのにそのほうが効率的なんじゃないのかとばあちゃんに聞いてみた。
スープの素を使っても作れるけれどやはりしっかり時間をかけて作った鶏がらスープには敵わないそうだ。
ばあちゃんの雑煮が美味しいのは時間と労力、そしてばあちゃんのスープへのこだわりが関係してるのだろう。

今年の冬は帰省できないかもしれないけれど、ばあちゃんの見よう見まねで雑煮を作ってみよう。
ばあちゃんのように美味しくは作れないかもしれないけれど鶏がらスープだけはしっかりとってみるつもりだ。
いつかはばあちゃんの雑煮が作れるように。

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「ばあちゃんの雑煮/食べたい/印度」への4件のフィードバック

  1. おばあちゃんちの雑煮、温かみのあって良いですね。丁寧に雑煮の手順を追っていくところに愛情を感じます。
    おばあちゃんが一切登場しないのに、おばあちゃんの丁寧な人柄が伝わるようで素敵です。
    その代わり話にオチというか、山場がないので読んでいると締まりがないようにも感じられてしまいました。

  2. すごく読んでいて温かみがありますね。自分は実家暮らしなんですけど、一人暮らしのそうしたノスタルジーとでもいうのでしょうか、伝わってきました。
    山場というコメントがありましたが、これで山場を作るのはかなり難しそうですね。こういう話にする時は、あえて現実から少し盛ってもいいかもしれません。

  3. ばあちゃんの雑煮、良いですね。食べたくなりました。文章の流れにやや違和感のある部分があるので、投稿前に丁寧に読み返すと良いかと思います。

  4. おばあちゃんちの雑煮の温かさ、そしておばあちゃんの温かな人柄が文章からにじみ出ていますね。
    おばあちゃんの味って何にも変えられないものがありますよね。
    比較的丁寧に描かれていたので、読みやすかったです。

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