肉じゃが/食べたい/ピエロ

   死ぬ前最後に食べたいものはコンペイトウ。コンペイトウって、甘くておいしくて、カラフルで可愛くて、宇宙に広がる星屑みたいで。死ぬ前最後に食べたら、わたし、天国行けそうだよね。

   ……。さっき私自身が言った言葉に吐きそうになる。いい加減にしろ、こんな文章、嘘で塗り固められた文章。人気が好感度が欲しくて、可愛いと言われたくて、作り上げたキャラクター。そのキャラに忠実に、1ミリも壊すことなく完璧に、全部を全部こなしてきた。異性との会話でも、同性との雑談でも、レールを脱線したことは一度もなかった。

いつの日にか、計算されて出来上がったキャラが日常のすべてを支配するようになって、キャラがキャラではなくなってきて、いつもキャラでいる、それが私の真の姿であるかのような感覚になってしまった。それに対して、そうなってしまったらもはやそのキャラが自分なんじゃないかという私と、ダメだキャラではない本当の自分を取り戻さねばならないという私が登場してきて戦った。私を見失った。自分が本当に言いたいことは何?したいことは?食べたいものは?どこに行きたい?誰といたい?

 

わからなくなった。

 

気づいたら、私自身は空っぽだった。

 

   こんな私をまるごと愛してくれる人に出会った。彼は、「それでいい。」と言ってくれる。彼は、「そう考えるあなたがキャラではない本当のあなただから。」と言ってくれる。そうだ、これが素直なんだ正直なんだ。このままでいいんだ。彼は私を生かしてくれる。私は彼を愛している。

 

   さて、今日の夜ご飯は何にしようか。彼が前に、「この肉じゃが、死ぬ前最後に食べたい料理ナンバーワンだわ、ってくらい美味しい。」と言ってくれたことを思い出す。私は死ぬ前最後に、そう言ってくれる彼と一緒に肉じゃがを食べたい。

 

ふと気づいたら、純粋でまっすぐな想いが確かにここにあった。

 

 

 

 

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「肉じゃが/食べたい/ピエロ」への5件のフィードバック

  1. 金平糖のくだりが電波系アイドルか?といいたくなるような感じだったので、主人公がどう言う存在なのか分かりにくい。主人公が偽装しているキャラ設定を明確にするか、食材の方をキャラクターに寄せるかにしたほうがその点本当の主人公との落差があって良いかもしれない。
    このような形態の文章はどこの分類においていいのか分かりにくいから、小説としてもエッセイとしても評価ができず、なんと言っていいのか悩みどころである。言っていることは分かる、物語の背景もなんとなく読み取れないこともない、けれどもなんとなくふわふわとしすぎているからまあ人生なんてそんなもんだよなあという感じ。言いたいことだけをいうのではなく、言いたいことを伝えるための舞台からちゃんと作り上げてあげると、文章が開けるのではないだろうか。
    ついでに最後の一文は蛇足な気がする。文の最初と最後に「自分が死ぬ直前に食べたいもの」が置かれているほうが、構図的には美しい。

  2. 最後の一文は蛇足かなという印象。前のコメントにもあったが、ないほうがよかったのではないか
    中盤の話の切り替わりがあまりに突然で違和感がある。突然過ぎて語り手が幻覚を見始めたのかと一瞬思った。
    話の展開をもっと段階付けてするともっといいのではないか

  3. 死ぬ前に金平糖食べて天国行きたいは可愛いというよりメルヘン系メンヘラっぽいので、肉じゃが作ってくれる女の子の方が普通だし素敵だと思います。そんなコッテコテのふわふわメルヘン脳の女子はさすがに無理があるし、付き合いたくないから彼が言うことは普通ではないでしょうか。

  4. 死ぬ前に金平糖食べて天国行きたいはちょっとメルヘンが過ぎるしお花畑通り越して気持ち悪いと思うので、彼の言うことは普通なのではないでしょうか。語り手の中での可愛い女の子像に着いていけないので、共感しにくいです。

  5. キャラが独り歩きしてしまうという現象は芸能界や私たちの生活の中でも見られる。修正するのはむずかしいと思った。

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