喰い散らかして/食べたい/温帯魚

「人の金で焼き肉が食べたい。つまり、愛されたい。認めてほしい。敬われたい。気持ちよくなりたい」

「面白くない人間ね」

「面白い人間はたぶん、世界びっくり人間ショーに出ているよ」

 

人間を食べたい。それは興味でありスリルでありアルミスタン羊という言葉を知っているからだ。

 特別な人間になりたい。あるいは普通の人間になって普通でない人間を見下したい。

 

「鏡よ鏡。私はいつ死ぬの?」

「あなたが世界で一番美しい人ではなくなったときに」

 

食べることは飢えることである。もちろん、この言葉に意味はない。

我々は食べるために考える。存続は手段であり快楽は方法であるが、目的はいまだ見つかっていない。

食うか食われるかの世界では食べられることは敗北だが、人間の世界はそうではないと信じられているし食えないのに食われないものも存在する。我々が宇宙人を望むことは野生が美しいと刷り込まれているからである。他種族との共生はつまり自分に価値があると確信できるからである。

 

「将来なりたい職業を聞くなんてどう搾取されたいか聞いているようなものだろう?」

「そういう人間が夢をもって社会を作ってきたのよ?搾取されたってほらみんな生きてるじゃない」

 

食事をすることに魔術のような意味があることは倒錯的で、本当は魔術こそが生命だったから食べることも魔術だったのだろう。魔術を不思議に思うことはない。それはそれであるからそうなのだ。

しかし我々は食べることを魔術として捉える。それは食事以外の生命を魔術としてみないことと同義だ。だから我々は魔術を畏怖する。

だから現代科学に生命の意味はない。

 

「なぜあなたは彼女を食べたのですか?」

「誰よりも美しくなりたかったからです」

「それは呪術的な意味ですか?つまり、美しいものを取り込むことで自らも美しくなる、と」

「あなたが何を言っているか分かりませんが、食べたらそれはなくなるでしょう?」

 

エンターテイメントは非生産的な物事において即時的な価値である。種を運んでほしいなら甘くなるべきだ。

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「喰い散らかして/食べたい/温帯魚」への3件のフィードバック

  1. 哲学的な考え方、ロマンチックな考え方、そして現実的な考え方が交差している話ですね。食べたものの魂とか内面的なものを取りこむという考えも、おそらく古くからのアニミズムとか八百万神とかそういう時代から引き継がれてきたものなのでしょう。
    改行の使い方が良くて、とてもリズム良く読めます。

  2. 食べたいから連想する物事についてぽつぽつと述べていく書き方は、榑沼さんの講義が文字で起こされたものを読んでいるような気分になります。文に一貫性はさほどありませんが、他人の思考に気儘に浮かぶようで、居心地がいいです。
    それでも会話文のような島があるため、多少苦手な人でも読みやすくはなっているような気がします。

  3. 最後の言葉が真理のようで実は甘くなりすぎると他の捕食者に狙われて種すら残せない…なんてこともありそうでとても考えさせられました。

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