超食べたい。/食べたい/みかん

急に手紙をよこしてしまった僕をどうか許して欲しい。こんな寒い冬の夜だから、どうしても、書かずにはいられなかったんだ。君はこの無作法な世界に、整然とした予定調和と、ビードロのように澄んだ麗しさを常に求めているから、突拍子もなく、そして筋の通っていないこの手紙を忌々しく思うかもしれない。更に、こんな見え透いた前置きに対しても、大いに辟易してしまうかもしれないね。僕だって、好きでこんな言い訳をしている訳じゃないんだ。いや、確かに僕の意志によるものなんだけど、ひどく恥ずかしいからね。まぁ、こんな話は至極どうでもいいことなんだ。とにかく、僕はね、君に伝えたいことがたくさんあるんだ。胡蝶蘭の花のように白く美しい君を前にすると、僕はなんだか手を洗いたくなるような気持ちになって、結局何も言えなくなってしまう。そんなのが沈殿し続けた結果、どうやら僕は酔ってしまって、どうしても君に手紙を書かないではいられなくなってしまったんだ。だから、ぼくは君に、恋文なんて大層なものではないけれど、拙なくてひびの入ったような文章だけれど、この手紙をどうかちゃんと読んでほしいんだ。

食べちゃいたいくらい可愛い、なんて言葉がどこかの寓話にあったけれど、この言葉は正に言い得て妙だね。これは誇張でもなんでもなくて、本当に、君は食べちゃいたいくらい可愛いんだ。君の全てが、僕の食欲をそそる。瞳も、髪の毛も、二の腕も、お腹も、唇も、足首も、爪も、膝も、鼻も、背中さえも、とにかく食べたくて仕様がない。僕にはこれらが精密に配列されたフルコースのように見える。ああ、なんで僕は君のことを食べることができないんだろう。君を食べれないのは、僕が脆弱な骨でしかないからだ。僕は自分の無力を呪う。世界に対しても、君に対しても、何も及ぼすことができない。ぼくはこんなにも君を食べたいのに、君の全てを僕は知らないし、君に明日さえも教えてやれないんだ。なんて悲劇なんだ。悲劇すぎるよ。だけど、そんな悲劇だからこそ、君は本当に美しい。

君は薄化粧した寒い冬の日に、とても良く映えるんだ。立ち振る舞いは凛としていて眉目秀麗、だけどどこか危なげなく、密造された毒の気配を感じさせる。僕は、君のその毒さえも飲み込んでしまいたい。飲み込んだ毒は、きっと僕の中で静かに堕落していき、枯れた頽廃の花びらを咲かせるだろう。その花に僕は大事に大事に砂糖水をやって、そして煌びやかに磨き上げたあと、僕の酩酊の結果として君に贈る。でも、多分、君の手に触れた瞬間に、花は朽ちてしまうだろう。朽ちた後は、僕と愉快な心中をしようじゃないか。

食べたい。食べたい。僕は君を食べたい。君の血の一滴すら飲み干したい。全部飲み干して、僕の魂を代わりに輸血して、君の身体中を廻りまわるんだ。そうしたら、君を内から浸蝕して、溶かして、透明なオーロラのように気化して、極寒の渇いた樹海へ一緒に行こう。

君はぼくのこの確かな気持ちを、いい加減なただの陶酔に思うかもしれない。薄汚くて悪臭のする自己愛に思うかもしれない。でも、違うんだ。本当に、本当に、ただ純粋に、何度も書いているけれど、とにかく君を食べたいだけなんだよ。ぼくには、それしか望むものがない。君を食べるために、僕は生きているんだ。

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「超食べたい。/食べたい/みかん」への3件のフィードバック

  1. 最初から最後まで軸がぶれずに書き続けられたところが、世界観があってよかったと思う。
    なんだろう、言ってみたかった言葉を羅列してみた!という感じがして、言葉にこだわりがあるのだろうけど、あまり考えていないような気がした。食べたいほど可愛いや綺麗という発想はわりと思い浮かびやすいし、少しグロテスクな展開になるのも想像しやすいから、ありきたりなものを魅力的にするには言葉の選び方とか話が少しずつ逸れて違う結末にして意外性を持たせるとか、考えないといけないだろう。

  2. 前回からあなたの文章が気になっている私がいます。
    ただ、前回も感じた違和感としてどこか既視感というかありきたりな感じが拭えないです。めっちゃ文章書いてる人の文章というよりは、めっちゃ本読んでますよって人の文章って感じがします。
    きれいな表現で読みやすいことには読みやすいんですけどね。

  3. 難しい言葉が並んでいますが、それをそこまで使う必要性はあまり感じませんでした。かと思ったら、ものすごく俗っぽい言葉もあるし、どっちかに統一したほうが文章としてはまとまりが出るような気がします。

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