愛すること/食べたい/ちきん

身体を酷使すると、どんどんものを考えられなくなっていく気がする。身体がだめになったなら、純粋な心だけが残るかと思っていたのに、冷静に現実と向き合うことからは遠ざかり、かえって無駄な怒りのエネルギーが湧いてくるみたいに。自分は強いんだ、と考えながら、ふくらはぎが悲鳴をあげるほど早歩きでずんずん進み、それでも余った気持ちは、すきなひとにぶつける。

疲れ切って横たえられた脇腹を、横から突ついてみても、「うーん」と言って、曖昧に握り返されただけだった。この気持ちを持て余すと、どうしても、寂しさに変わってしまう。

 

 

ひとをすきになった瞬間を、覚えている。

雨で中途半端に濡れた髪を変な風に立てて見せられたとき、水を飛ばすみたいに両手でぐしゃぐしゃとしてしまいたい衝動に駆られて、焦ったことや、主張し過ぎる八重歯を、矯正しなよ、とも思わなくなってしまったこと、二の腕は冷えやすくて、でも調子がよくて、いつもひたひたしたような肌をしている。

でも、ほんとうのほんとうに執着し始めると、それをただみつめるだけでは満たされなくなってきて、触れてみるのに、どんなにくっついても、肺が圧迫されて苦しいほどに強く抱きしめても、一つになったとしても、なんだか求めていたものではなくて、自分が何をしたいのか、何をして欲しいのか、まったく分からなくなってしまう。

どうしようもないから、一般的な人間の愛情表現の真似っこをしてはみるけれど、たぶん、ほんとうはもう、2人で液化して、ビーカーかフラスコにでも入って、ぐぢゃぐぢゃに掻き混ぜられて、状態変化したとしても、ずっと一つの物質としてありたいのかも知れない。

 

 

隣で、突つかれた指を握ったまま、寝ながら口をぱくぱくさせるひとを見て、夢の中で何か食べているの、と笑ってしまった。

この寝顔の写真をうっかり人に見せたとき、汚っ、気持ち悪っ、みたいな反応をされて、驚いた。え、汚くないよ。私は優しく髪を撫でたいし、めちゃくちゃにしてやりたいし、いっしょの液体になりたいんだよ。この気持ちをどうやって表現しろっていうんだよ。

0 votes, average: 0.00 out of 50 votes, average: 0.00 out of 50 votes, average: 0.00 out of 50 votes, average: 0.00 out of 50 votes, average: 0.00 out of 5 (0 投票, 平均点: 0.00,  総合点:0  |  
投票する為にはユーザ登録する必要があります。
Loading...

「愛すること/食べたい/ちきん」への4件のフィードバック

  1. 読点が多くて読みにくい。でもその読みにくさが、言語化しにくいものをなんとか言いあわらそうとしてる、そういう感じを狙い通りに表現できてると思います。

  2. うまい具合に気持ち悪さが表現できている気がします。食べちゃいたいくらいって、端から見たら気持ち悪いですもんね。

    一文がとにかく長い印象。読む側としては少しうんざりしてくる書き方ではある。何が言いたいのかが最後までわからないせいで、そこまでに至るまでが大変。狙ったいるのならありなのかもしれない。

  3. ぐるぐると好きな人に対して思いを巡らせている時の、整理されてない言葉がリアルに感じた。

  4. 「ぐぢゃぐぢゃ」とか、溶け合いたいとか、ちきんさんらしい表現ですね。
    内面に抱えてる感情はどろーっとしてるのに、淡々と(これはビジュアヌ知ってるからかも)書くから余計狂気じみて見える。
    エッセイ?ですよね。
    何処か冷静に見えてイマイチ面白さに欠けるので、ロマンチックメンヘラ文ならそこに突っ走った方がおもしろいんじゃないかなぁと思いました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。