ある分析/気になるあの子/なべしま

なるほど、つまり君という人間の発端は幼少期の(失)恋にあるわけだ。三つ子の魂百までを厳守して友人カップルをやましい目で見つめる。しかし自分は透明人間ではないと気づけた修学旅行は偉いぞ。もっともそれで捩じくれた想いを抱いてしまったみたいだが、それは、いまのところ、気にするな。ラジオを聞いた夜も、星空に願いを託した夏も、正当な願いだ。辛かったと?しかし正当な報酬は得ているぞ。いやなに、小さなものだがね、今のバイト先もその一つさ。どんな行動をしても君の内面は外見とかけ離れている。その外見は免罪符だな、幾ら人妻に疾しい目線を投げかけても疑われもしないだろう。君の外面はむしろ、物語のなかにある。
筆記試験の方も問題なしと。少女の心を繊細微妙な万年筆の筆致で、インクが滲み出すような、水性の書きごこち。
その筆で気にはならないが少々気恥ずかしいところがあるね。また性別がよく分からん。いいぞ。それでこそ、我が結社に相応しい。
君をスパイとして採用しよう。そうだな、Tと名乗るがいい。

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「ある分析/気になるあの子/なべしま」への3件のフィードバック

  1. 今までの総集編みたいなやつですね。アイデア的には面白いと思います。彼の文章を全部覚えているわけではないので、内容的批評は避けておきます。
    実際の彼が向いているかどうかはわかりませんが、スパイというのに説得力がありました。ほかの人についてもやってみれば人の新たな一面がわかりそうな気がしました。

  2. 上手い、上手いなあ。映画みたいな美しいフォーマット。これまでのTさんの文章の要素が入ってるという知る人がニヤッとできる仕様ながら、新規の人も気にならせるフックの用途も果たしているのでは。置いてけぼりにならない短さも丁度良い。流麗な文体も文章力あってのものでしょう。

  3. 上のものと被る部分もありますが、要素の抽出が見事です。僕の好きな作詞家が、「わかっている人の言葉はいつもワンフレーズだ、要点を抑えてとにかく短く喋れ」と言っていました。この投稿はまさにその通りだと思います。
    文量もさらっと読めるし内容もしっかりしてるのですが、公開されてすぐに読んだ時には短いと感じ、更新されるのかなとか思ってました。追記で完成させる組に毒されてる。

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