やっぱ書けない/気になるあの子/ととのえ

彼女と初めて会ったのは一年の英語の授業の時。そのころは大学に入りたてで、しかも男子校の世界に6年間入り浸っていたから「友達できるかな」とか「女子と話せるかな」とか不安だった。だからこそ気さくで面倒見がよさそうな彼女が色々話しかけてくれたのはありがたかった。そういえば、大学に入って初めて話したのも彼女と同じ県出身の同じ基礎演の陽気な奴であった。わざわざ県が同じことを言うくらいだから、横国に来る人がさほど多くなさそうな県である。そんな県の人と大学入ってから一週間ほどで2人も知り合いになったのだから何かそこに運命的なものがあるのかとも思った。思った。それだけ。

話がそれたが、彼女とは、その後は会ったらあいさつするくらいで話すことなんてなかった。スタジオで一緒になったわけだが、それからも特に話すわけもなく、また特別話したいというわけでもない。僕の想像でしかないが、彼女もそうだと思う。せいぜいお互いの文章を見て「こいつこんな奴だったんだ」と思ったり、同じグループになった時に話す程度だろう。

むろん、その程度の付き合いなので彼女について知らないことは多い。好きなタイプや恋愛対象はどんな感じなのか(あるいはそもそもそんなものないのか)とか、これまでどんな人生を送ってきたのかとかはすごい気になる。ただ彼女に限った話でもないけれど、そういうのを自分勝手に作りあげて外に出すっていうのは失礼な気がする。もちろん妄想は誰にでもあるものだし、それ自体を否定することはしない。というかできる立場にない。でも、それは外に出ないからこそ成り立つもの。それを正直に出せっていう話なんだろうけど、少なくともスタジオ全体に出す勇気はない。気になる人はある程度信用を得てからお酒の席ででも話しましょう(かくいう僕はお酒飲めないけど)

 

結局のところ、女の子は誰でもよかったんです。たまたま本当にちょっとしたエピソードのある人にしただけです。ごめんなさい。

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「やっぱ書けない/気になるあの子/ととのえ」への2件のフィードバック

  1. ととのえさんの文章の魅力のひとつは、まじめに何かを突き詰めて考えて、どこかにあるような、みんなが何となく認識してはいるけど説明するとなると難しい倫理観というものを、ぴたっと言葉にしてくれるところです。どこか耳が痛くて、でもこれを捨てることは人間性を捨てることだと直感させる結論。今回の課題はけっこうぎりぎりのところを渡り歩いている感触があり、※この物語はフィクションですのテロップの理由を自分自身でいま一度考えなければいけないなと反省しました。

  2. スタイルが固まってきた印象。最後の誰でもよかった、は春学期の「誰でもいいから愛してよ」といった文章よりずっと良かった。まあ結局関係性が変わらないのは一緒なのかもしれないけど。
    今回のテーマで面白いのが、本来は自己完結するだけで終わってしまうところを、文章にすることで外に開かれたものにする点だと思います。

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