ふわふわ的幸福論/片付け/ふとん

 

彼の部屋は心地いい。家具はこげ茶色で統一されていていつも片付いている。壁紙が一面だけダークグレーで、そばに置いてる青いギターとベースがおしゃれでぼーっと眺めてしまう。素人のわたしでもわかるくらい音質が良いスピーカーから流れてくる知らないバンドの曲を、歌詞の意味を考えながら聴くのが好き。

寒くなってきて、床はカーペットになって、クッションカバーとまくらとふとんカバーがふわふわのやつに変わった。こたつまで出現した。部屋じゅうがふわふわ。そんな天国みたいな部屋で、わたしは甘やかされまくっている。

彼は、わたしが適当に作った料理を必ずおいしいって言ってくれるし、洗い物を手伝おうとすると「のんびりしてていいんだよ。暖房つけていいからね、こたつもつけていいからね」なんて言う。うとうとしているとベッドに連れていってくれて、毛布とおふとんを掛けてくれる。となりに入ってくる彼の胸に顔を埋めてくんくんかぐといいにおいがして、脳から快楽物質がブシャーって出るのが分かる。

甘やかされている。猫になって飼われているみたいに。でも私は愛くるしい猫とは程遠い人間で、嫌いなものが多くて自分勝手で面倒くさがりの、あまり優れてないほうの人間。こんなに甘やかされていい理由なんて無いのに。

当分は痩せなきゃいけない用事もないし、中間テストもひとつもない。週に何回か座りっぱなしでできるバイトに行く。用事がなくて彼がいない日は、ごはんを作って、洗濯して、録画した大好きなバラエティ番組たちを消化したり、ユーチューブをうろうろする。夜中にお腹がすいたら蒸しパンを蒸したり、締切がすぎた課題をだらだら片付けたり。

ぬるま湯の日々だと思う。そこそこ楽しい毎日のくり返し。なんのための、毎日?

大昔の頭がいい人は、幸福こそがすべての目的で最高に価値があるものだって言ってたらしい。その通りだ。幸福ならほかになにもいらないでしょう。

ひとりでテレビをじっくり観るとか、洋酒入りのチョコレートを口で溶かす瞬間とか、夜中の蒸しパンとか、それくらいで幸福になれるような人間なのだ。学校に行けばためになる話が聞けて、バイトでいろんな場所に行って出会いがあって、少ないけど友達もいて、優しい彼氏がいて、ほかに欲しいものはないと思う。最上の目的が毎日達成できている。

日常は思っているより丈夫で、安いウィスキーひと瓶飲み干すくらいで壊れるものじゃないけど、いつか困難に遭うんだとしたらそのときは文句なんて言わずに受け入れるから、今はまだこの幸福に甘えていよう。

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「ふわふわ的幸福論/片付け/ふとん」への3件のフィードバック

  1. 後半グダったというか、前半のあまあまの文章の方が読んでて気持ち良かったですね。同時にしにたくなるというか、もはやしにたい。とりあえず読んだ後に「楽なしに方」でググるくらいには凶器な文章でした。

    ウィスキーひと瓶飲んだらしねますかね。

  2. 結構理想的な生活でうらやましい限りです。幸せはよいですね。片づけのテーマはちなみにどの辺りですか?

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