とりあえず/大作戦/温帯魚

「大作戦」という言葉からは何が思い浮かぶだろうか。

頭の中で真っ先に思い浮かぶものはスパイ大作戦のテーマである。短くはあるが変拍子に合わせた中低音の小気味よいリズムと、謎をはらむようなメロディラインが特徴的な曲だ。現代の映画に使われるようなドラマチックさがある展開ではないが、各楽器が積み重なり生まれる厚みは古き良きという言葉を使いたくなる色気を持っている。

しかし他のものが案外出てこない。やはり創作物に使われることが多い単語であるとは思うが、言葉として少々古いという気もする。そもそも大ってなんだ。ぶっちゃけダサい。ドラマのプロポーズ大作戦が少しして思いだしたが、あれもコミカルな表現として大作戦という言葉が使われたのだろう。

他方で現実に大作戦という言葉が使いづらいのは、物事を最初から最後まで把握することが難しいからだろう。いやよく考えればこれは私の趣味だ。個人的にだが大作戦という言葉には、どこかで他人の動きを予測し利用するというシステムが存在しなくてはならないという固定概念がある。もちろん、これは単に私が人間関係こそ作戦を立てなければいけないほど難しいと思っているだけのことかもしれない。

そういう意味で、私は作戦が立てられない人間である。これは他人の動きを予測するほど他人に縛られていないということではない。決してそんなカッコイイ理由ではないのだ。習慣がないということではなく、的外れな予測をして痛い目にあった(あるいはイタイ奴だった)ことがあるからである。それ以前にそもそも策を練っても実行力がないことも一役買っているが。できないことはできないと学んだのであろう。

そんなこんなで現在の私の行動は条件反射がほぼほぼ大半を占めている。とても生きていくことが楽だ。人生がどうかはわからないが、瞬間的には割と悪くないとは思えている。しかし面倒がないことは良いことだが課題と積読の本が溜まることがいけない。ついでいうと、楽じゃないからそれは良くないという訳ではない。逃避が悪いとは今の私は死んでも言わないが、しかし策を練って立ち向かうことが一番なのは言うまでもない。

なんにせよ、大作戦というものは古き良き死語となるのだろう。予測というものは結局相手を理解することでしか成り立たない。「大」という言葉をつけられるほど社会を掌握するものは、もう偶然からしか生まれない気がする。

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「とりあえず/大作戦/温帯魚」への2件のフィードバック

  1. ちゃんと目的地にはつくからね〜と言いながら遊び心で寄り道するような心地よい文章でした。

    すっきりまとまっていて読みやすかったですがそれが逆に淡白さにつながってしまっているような気もしました。

  2. 出だしの話題から、大作戦の本題へ綺麗に話が移っていて、読み易いですし面白いです。
    エッセイで個人の話をするのは難しいものですが、よかったと思います。
    ただ少し話題の厚さが足りない気もします。結論が早いというか。

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