僕なりの/大作戦/竹

1週間前からずっと気にかかっていたこと。来週の今日は母親の誕生日である。僕の家では家族の誕生日に何かをあげるという義務はない。しかし、何らかの形で日ごろの感謝の気持ちとかそういうものを示さないとなんだか変な気持ちになる、気がする。でも、喜ばせたいと思えば思うほどなんだか胸騒ぎがして、つらい。僕は母親に対して何をあげるべきなのか、すべきなのか、ぼんやりと悩みながら過ごしていた。

僕が悩んでいる中、7歳下の妹はすでに母親になにをあげるか決めているようだった。最近は、得意げになっておにーちゃんはなににしたのー?と毎日のように聞いてくる。普段無口な僕は毎回ああ、まあとか適当な返事をしてごまかしていた。ちびっこは単純なのかなあ。なにをプレゼントしようか考えているあいだに、ふと父親のことを思い出す。そもそもプレゼントという言葉は適切なのだろうか、などと若干脇道にそれそうになったが、思考回路をもとにもどす。父親は単身赴任をしているため、今は一緒に住んでいない。でもきっと父親のことだから、母親の近くにいなくてもすんなり決められたのだろう。しかも母親の喜ぶ、的確なプレゼント、またはサプライズを。

あれからあっという間に1週間が経って、母親の誕生日になった。家に帰るまではまだ時間がある。いろいろ考えた末、高校生という年齢で手紙とかを書くのはなんだか恥ずかしすぎるので、家の近くのショッピングモールをふらふらしてみた。一人で。彼女も女友達もいないし、男友達に母親へのプレゼント選びに付き合ってもらうのもなんだか気が引けた。だから、一人で行くという選択肢は適切だ。おしゃれで意識が高い高校生はプレゼント選びに地元のショッピングモールなんか行かないんだろうな、まあ僕はおしゃれじゃないし、しょうがないよな、なんて考えながら店の中をパトロールしてみた。

1時間ほどでだいたいの店をまわった。洋服からアクセサリー、生活用品、キッチン雑貨まで。しかしなんだかしっくりこない。なぜだろう。僕は母親ってなんなんだろうと考えてみた。毎日何も言わなくてもごはんを作ってくれて、洗濯物を干してくれて、掃除をしてくれて、いってらっしゃい、って言ってくれて、おかえりって言ってくれて、なんでも受け止めてくれて、愛してくれて。

僕はすぐ家に帰りたくなった。何かが湧き上がってくる。体が勝手に動いていた。気づいたら走っていた。速く、もっと速く、がんばれ、俺。

勢いよくドアを開けると、そこにはいつもの母親がいた。彼女はおかえり、どうしたのそんなに急いで、なんて言ってきょとんとした顔で僕を見つめていた。

 

「母さん 本当 ありがとう いつも」

 

息を切らしながら僕は、精一杯今の気持ちを伝えた。母親はふふっ、どうしたの急に。と口角を上げる。その3秒後くらいに

 

「こちらこそありがと。こんなに成長してくれて」

 

と母は言った。僕は単純にうれしかった。衝動的ではあったものの、こっちがサプライズするはずだったのに、なんだか逆にサプライズされてしまったような気分だった。でも、そのときの母親の笑顔は今までに見たことがないほどやさしかった。

 

なんだかんだで、僕の大作戦は、大成功したみたいだった。

 

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「僕なりの/大作戦/竹」への4件のフィードバック

  1. ええこや……男子高校生に夢見てるので、とても気持ちよく読めました。作品という点でみれば、いかにも女の子の書いた男の子という感じもするけれど。
    ともかく、おいしい供給をありがとう。
    途中もうちょっと絞るか、間がないと読みづらいかとも思います。

  2. ほっこり系の創作で、特に引っかかりもなくさーっと読めました。
    序盤から中盤にかけて、文のひとまとまりが長く少々野暮ったい印象を受けました。縦書きなら気にならないのだけど、横書きで投稿しているので、投稿前にもう一度自分で読み返してみて、文章の見栄えを確認するといいと思います。

  3. かわいいですね…。なごむ…。こういう楽しい日常系の文章があまり私は得意ではないのでとても羨ましいです。
    何をあげればいいかわからない、という状況は共感できる材料でもあるのでそのあたりをもう少し重複させるのとは違う形で掘り下げられれば良いのかなと思いました。

  4. ドア開けてからのとこを見せたいなら、もうちょいそれまでの見せ方こだわれると良いねぇ。間延びが半端ないから。

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