よろこばせたい/大作戦/フチ子

だんだん ふしぎなよるが きて
あなたと ゆめのなかへ

毛布の争奪戦を繰り返しながら、少しずつお互いのスペースを侵食する。一緒に3つめの季節を迎えようとしている。

「恋人」という関係性は脆い。愛や執着がお互いになかったとしてもなりゆきで始めることはできるが、愛や執着がどちらか一方にないなら近いうちに解散となる。

「ジュディマリ知ってる?」
「知ってるよ、ママがわりと好き」

ベッドの中で好きな曲、思い出の曲を押し付け合う。お互いに知ってる曲だったらふたりで歌うし、知らない曲なら次に会う時までに歌えるように聴きこんでくる。

「YUKIっていい恋もわるい恋もしてそうだよね」
「みんな、いい恋もわるい恋もしてるよ」
「ぼくたちは?」
「どうだろうね」

彼をよろこばせたくて、わたしにもっと惹かれてほしくて、今までたくさんのことを画策した。でもそれはわたしをよろこばせたいからだった。だから、彼を思って何かしているときは期待してしまうし、思ったような反応がもらえなかったら勝手に落ち込んでしまう。

これは、いい恋なのだろうか。

わたしはちゃんと彼のことが好きなのか、それともわたし自身のことが好きなのか。

期待もなにもしてない、わたしの行動や考え方や表情を彼は好きになってくれる。一緒にいておもしろいと言ってくれるけど、少し意味のわからないおかしいことを言うのは彼の方だし、わたしはケタケタ笑ってるだけだ。おもしろがらせようなんて一度もしたことがない。

たくさんの彼のためにしたことは泡となって消えるのに、こうやって何度も夜を迎えられているのは、彼が勝手にわたしのことを好きになって、わたしが勝手に彼のことを好きになったからだろう。

あなたとふたりで このまま ふたりで きえてしまおう

「ほら、これとかいいじゃん」
「lover soul?あぁ聴いたことある」
「ぼくと一緒に消えてしまいたい?」
「lover soulって偽りの恋、とかじゃない?意味」
「え、そうだっけ」

いま あなたのからだにとけて ひとつにかさなろう

「偽りでもいいからさ、チューして」
「よし、寝よう」
「ごまかさない、ほら、してして」

仕方ないと言いたげなキスがわたしは好きなのだ。勝手に。なんでもかんでもわたしは勝手なのだ。それでももっと好きになってほしい。これからもきっと勝手に好きになってねトラップを散りばめてしまう。そのトラップたちをうまくすり抜けてもいいけれど、彼は彼で勝手に用意していないトラップに引っかかり続けてね。

「おやすみ」

そっと目を閉じたころに、わたしの腕を彼の方に引いて、手を繋いでくるそのくせが、とってもとっても、好きなのだ。

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