撃退命令/大作戦/ネズミ

 

「メーデー!メーデー!ただいまゲートにて、大量の侵入者を確認した。侵入後、彼らは何手にも分かれた模様。各地の白血球隊員たちは直ちに撃退準備を開始せよ。繰り返す。各地の白血球隊員たちは直ちに撃退準備を開始せよ」

2016年11月16日、私の身体は外部からのウイルスの侵入を許した。それと同時に身体の中は一斉にざわつき始める。

「今の指令を聞いただろう!ここは我々、白血球部隊の出番だ!これより侵入者の討伐にでる。皆の者、覚悟をきめろ!」

「イエッサー!!」

身体の至る所にある白血球部隊のほとんどが動き出した。彼らの役目は外部から体内に侵入した細菌やウイルスを殲滅させることだ。いわば兵隊みたいなもので、彼らの働き次第で今後の体調が決まってくる。

「こちら指令室。状況を説明せよ」

「こちら第三部隊。たった今、侵入者と接触し戦闘を開始しました。どうやら我々が危惧していたインフルエンザウイルスではないようです。ですがとにかくすごい数で、それなりに強いウイルスだと思われます。苦戦を強いられるのは間違いありません。おまけにこの身体の主人は最近、不健康な生活を送っていました。免疫が下がっており、我々の戦闘力も20%程落ちていると考えておいた方がいいかもしれません」

「了解した。状況は逐一報告するように。その状況に対応した策をとっていく」

 

それから6時間後。戦況はあまり良いとは言えなかった。ウイルス勢は思った以上に強く、暴れることをやめなかった。

「こちら第5部隊!戦況は極めて不利です!すでに半分以上の白血球たちがやられました。なにか対策をお願いします!」

「こうなっては仕方がない。体温をあげるぞ。体を震わせろ」

(あれ、ちょっと寒いな。風でも引いたかな)

 

熱を上げることによって、白血球たちの活動は活発になる。熱を上げるにはまず寒気を感じさせ、体を震わせるのだ。ここから約3時間後、体温は38.0℃にまで上がっていた。

「こちら第4部隊!我々の戦闘力は上がったのですが、それでもまだ敵いません!今回の侵入者はかなりの強さです。さらなる熱の上昇を要求します」

「それはできない。これ以上あげると他の器官に負担を与えることになってしまう」

「ですが、これでは我々が負けてしまいます!負けてしまえば他の器官に負担がかかるどころではなくなってしまいますよ!」

「むう………。やむをえないか。他の器官たちよ、すまない。もう少しだけ熱を上げさせてくれ」

 

(やっばい。身体めちゃくちゃだるい。また熱上がったかな。………。え?39.6℃?これおれ死ぬんじゃないの?)

その頃体内では。

「うおらーーーー!!!力湧いてきたーー!!!覚悟しろよウイルスども!!」

その2日後、白血球部隊は完全勝利をおさめ、3日後には熱も下がったという。

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「撃退命令/大作戦/ネズミ」への3件のフィードバック

  1. 地の文が「私の」と堅いわりに、()でくくられた心情が素朴なので違和感を感じました。これだと地の文で「私」は出さず、たんに身体とかでいいのかなと思います。
    身体の中を描く話は絵本でも「じごくのそうべえ」とかあって好きですが、個人的には映画「ミクロの決死圏」を思い出しました。病人の身体を治すため、医師がミクロレベルまで自らと医療機器を縮小して体内で治療を行うという物語です。旧い作品ですがDVD化もされているようなので、もし興味があれば。

  2. うっすら書こうかなと思ってたネタだったのでとりあえず一言、「変えてよかったー!!!!」でした。我々が風邪をひくとき、だるいとかきついとか思いがちですけど、体はこうやって一生懸命風邪と闘ってると思うとめちゃ可愛いですよね…!!!すごい愛しい!!!()で書かれた部分がちょっと浮いてしまっている気がします。なんだろう、文体というか、雰囲気が違うからかもしれないです。

  3. 他のコメントでもあったようにこの手の題材は多くて、私も「はたらく細胞」と言う漫画を思い出した。
    よくあるテーマは、場面が想像しやすく、楽しく読める。一方で個性を出すのが難しいとも感じた。
    今回は肩苦しい白血球のキャラが立っていて良かった。

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