狂う・ジャパン/大作戦/さくら

つい先日、世界を沸かせたニュースがあった。なんと国際連合が、あの世界人権宣言の一部改正案を採択したというのだ。

世界人権宣言は、すべての人間が生まれながらにして基本的人権を持っているという国際的に権威のある宣言で、国連総会の中ですべての国・すべての人間がこれを達成しなければならないと定めている。

今回採択された改正案では、これまでの文章はそのままに、一番下に小さな文字でこんなことが付け加えられた。

 

「ただし、ハゲはこの限りではない」

 

実は、ロシアのプーチン大統領(64・まあまあハゲ)・アメリカのトランプ新大統領(70・ヅラ疑惑)をどうにかして出し抜こうと考えていたとある国の首脳が、総会の退屈を紛らわすために落書きして遊んでいた草稿が、何かのはずみで提出されてしまったようである。99.9%原文と同じもので、落書きは隅に小さく書かれており各国首脳はこれに気付くことなく、また当人も変に反対票を入れると怪しまれてしまうため賛成するしかなく、全会一致で採択されてしまった。

 

この世界情勢のハゲしい変化に、真っ先に適応しようと研究開発を始めた国があった。そう。あの変態先進国こと日本である。

日本は、謎の発想と謎の技術で、これまで世界を驚かせ、笑わせてきた。特にアングラ界隈でその傾向はハゲしく、世界からは驚きを通り越してもはや半分呆れられている(褒め言葉)のは言うまでもない。

今回、ハゲの人権を守るべく、「全国禿頭協同委員会(通称・禿同)」が結成された。禿同は、国内メーカーが共同出資して作られた委員会で、各分野の技術を活かして世界中のハゲを救済するための活動を行う。

 

まず動いたのはハゲで有名な孫正義氏が率いるソフトバンク。ソフトバンクといえば、大手携帯キャリアであり、その通信のために全国に電波基地を擁する。そこで生み出されたのは、「電波連動式ハゲ隠しアプリ」である。アデランスと理研が共同開発した「電波で成長する人工毛」の技術と、自らの持つ全国の電波網を融合。いまや全国どこでも通話やインターネットができるように、全国どこでも植毛の恩恵を受けられるという魂胆だ。

とはいえ、もちろん欠点もあり、圏外の場所では毛が育つことはない。そのため、今後は毛を求めて上京してくる田舎のハゲが増えることが予測されている。

 

続いて動いたのが、ゲーム会社の任天堂である。彼らの主軸商品である「ニンテンドー3DS」の技術を活かして作られたのが、「3D頭頂部」である。これまでの毛は、どう頑張っても1本の毛は1本分の毛量しかもたらさず、1本しかなければそこは磯野波平の頭頂部さながらであったが、3Dカツラでは、なんと毛を3D加工することで、毛に奥行きを持たせ、少ない本数でも頭頂部をダイナミックに演出することができる。なお、従来品同様、側面にスライダーがあり、操作することで3Dの強さを調整することができるので、使用者の手でお好みの濃さに調節ができる。

 

そして最後に満を持して発表を行ったのはソニーであった。先日発売されて反響を呼んだ「PlayStationVR」で知られるVR(仮想現実)の技術を応用して作られたのが、「VRカツラ」である。これまでの世間一般の考え方から発想を大きく転換。「見えなければハゲではない」という発想から、VRデバイスの着用を成人に義務化し、その映像の中ではハゲにも頭髪があるように加工を行うことで、実質的にハゲに毛髪をもたらすというものである。

ハゲの取り締まりを行う警察官や、政治家までこのデバイスを装着しているため、彼らのハゲ頭がそれを弾圧する人々に見られることはないのだ。問題はデバイスを付けていない子供相手にどう誤魔化すかであるが、法的拘束力を持たない子供の前でハゲていても問題はないだろう、と展示会では語っている。

 

日本の技術力により、絶望に苛まれていたハゲ頭を希望の光が照らすこととなった。「ハゲ特需」と呼ばれたこの特需では、数兆円規模の経済効果をもたらしたという。

ほどなくして、問題の人権宣言は国際連合での再審議により撤回される。とはいえ、今回の事件で、日本はその技術の高さを再び世界に知らしめることになった。こうして、「Cool Japan(クール・ジャパン)」と呼ばれた日本の文明は、「Crazy Japan(狂う・ジャパン)」に進化することとなる。

 

この騒動が、冷え込む国内経済の回復を目論んでいた日本による自作自演の「大作戦」であったことは誰も知らなかった。

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「狂う・ジャパン/大作戦/さくら」への3件のフィードバック

  1. ハゲしいだの禿同だのいちいちワードがはっちゃけていて笑いました。最後までテンションが崩れないのはすごいです。

  2. 発想は面白いが禿げネタもここまでくどいと逆に面白味が段々読み進めて飽きてきてしまった。出せるだけ出すのではなく、メリハリをつけるといいかもしれない。

  3. ハゲでここまでもってこれるって単純にすごいとおもいました。最後まで勢いがあって楽しく読めました。

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