短文でごめん/あったかい/ばたこ

朝、重たいあたまがもっと重たいからだを引きずって支度をする。時間がない。授業の準備もしてないし、バイトの予習だって終わってない。どうにかスーツを身にくるませて、コンタクトを着けていえを出る。ご飯なんて食べてないし、途中で温めた紅茶だって飲まないで出る。

大学に入ったときに買ってもらったロードバイクをかっ飛ばす。家から2キロで駅。なだらかな下り坂だから、頑張れば10分くらいで着くはず。時間がない。本当に時間がない。昨日のゼミの発表はボロボロだったな。週末三日間熱でダウンしてたし、このごろ期限まっしぐらの教習所もあるから今だけじゃなくてずっと時間がないし仕方ないんだけど。やっぱり何事も早め早めにやらなきゃいけないな。

そろそろ半分地点の大きな交差点に差し掛かる。遠くに見える信号が真っ赤だから、ゆっくりとブレーキをかけて減速する。その途中で青に切り替わる。それから少しずつ加速して、ギアを上げていく。急がなきゃ。授業もバイトも待ってくれない。ギリギリなんだ。今も、これからも。

勢い良く交差点を通過する。その時、電柱にあるものがくくりつけてあるのが眼に入った。

花束

この五年間くらい、この花が枯れてあるのを見たことがない。いっつも丁寧に車道側から見えるようにくくりつけてある。この人は五年間忘れられたことなんて無いんだろう。そして多分、この花をくくりつけてる人は、忘れてほしくないんだと思う。そのために、歩道側じゃなくて車道側。多分。

減速して、ギアを少しずつ落としていく。遅刻したって良いじゃない。バイトなんて知ったことじゃない。バイトの予習は授業中にしよう。駅についたら上島珈琲で授業の準備をしよう。そういえば手袋を忘れたから手が冷たいな。駅についたらカイロを沢山買おう。大丈夫。自分はこれでも頭がいいんだ。全部きっと、なんとかなる。

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