殺し合い/共作/いせ&仄塵

#その一    by仄塵

課題のレポートを書こうと思いパソコンを開いているけど、中々書き進めない。最上階の5階に住んでいるのに、1階ロビーの音がやはり聞こえてくる。

そう、今日はクリスマス。学生会館に住んでいる暇な連中がロビーでクリスマスパーティを開いているのだ。バンドを組んでいる男子たちは機材も借りてきて、スペシャルライブもやるらしい。だが私は興味なし、そもそもそういう集まりが苦手なんだ。

イヤホンをつけて音楽でも流そうと思って立ち上がり、コートを掛けた玄関の方へ向かう。そのポケットにイヤホンが入っている。

「キャーー!!」

突然玄関ドアの向こうから女の子の悲鳴が聞こえた。

それは聞いた人にも恐怖が伝染するような声で、私はすぐパーティ騒ぎではなく何かの危険が彼女に迫っていると判断し、深呼吸して廊下に出た。

まず左を見た。そこに同じく状況確認に部屋を出た501号室のユウヤくんと503号室のサキちゃんがいた。3人は目線を交わしてから、一斉に右の方を見る。そうしたら一番奥の部屋の前に、同じ5階住民のハナコちゃんの固まった姿がいた。

嫌な予感がした。そしてこの嫌な予感が的中したのだ。

私たち3人が一番奥の部屋に行き、中を覗いたら、ここに住んでいるいせちゃんが座卓の横に倒れ、おでこから流れた血がベージュのカーペットを赤に染めた。

この中で一番年上というのもあり、私は率先して部屋の中に入った。いせちゃんの名前を呼びながら彼女の鼻の下に指を当て、息を感じなかった。

私の動きが止まったのを察して、ついてきたハナコちゃんとサキちゃんが鼻を啜り始めた。

「英語の課題をLINEでいせちゃんに聞いてて、ずっと返信こないから直接来てみようと思ったら、鍵がかかってなくて、ドアを開けたらいせちゃんが血を流して倒れてた」

いせちゃんと普段から仲がいいハナコちゃんが第一発見者なんて残酷すぎた。

座卓の上を見たら、食べかけのうどんと冷奴みたいなものがあった。晩御飯を食べている最中に何が起きたのか?

「とりあえず警察を呼ばないと」

サキちゃんが言った。そうだ、犯人が今どこかに隠れているのかも知れない、この学生会館はすごく危険だ。

「お前たち余計なことはしないよな」

この声はユウヤくん。私たち3人が立ち上がって見てたら、彼はいつの間にかキッチンに入って、今出てきた、包丁を右手に持って。

「おとなしくしないと、あいつと同じ命の絶え方をしてしまうぞ」

「お前たちのスマホを出せ。警察とか呼んでどうするの」

包丁の刃が私たちに向けられた。しかし私は急いで自分の部屋を出たから当然携帯なんで持っていない。サキちゃんも持っていないようだ。唯一ハナコちゃんがパーカーのポケットからスマホを出して、床にそっと置いた。学園祭の福引きで当たったクマのぬいぐるみのスマホケース、この前デパートで売っているのを見かけて、結構な値段がした。

そうするとユウヤくんは学習デスクの上に置いてあるセロハンテープを取って、私たちお互いの手首と足首を縛らせた。

「もうほんとになんなの!このクソ野郎。みんな死ね!!」

先まで正気っぽかったユウヤくんは突然暴れ出して、包丁を空気に向かって振り回し始めた。もう殺されてしまうと思って、私は目を強く瞑った。

だが殺されることはなかった。

「もういい。明日になったらお前らを解放するから。その時警察を呼びたいなら呼べばいい。とりあえず今夜はおとなしくしろ!」

そう言い放って彼は包丁を持って部屋を出て行った。

 

突然静まった部屋。強く縛られている手首は痛いが、ようやく少しだけ冷静を取り戻して状況を考えることができた。

なぜユウヤくんはいせちゃんを殺したのか。彼は確か前までいせちゃんに片思いをしていて、告白はしたが断れた話が小耳に挟んだ。でもいせちゃんは学部全体の中でもかなり上位の成績を取っていて、彼の方は学校をサボりまくりの上に連んでる学外の友達はよくやらかして警察沙汰になる噂も聞いている。

周りを見て、いせちゃんは一人暮らしを始めたばかりの一年生なのに部屋は綺麗に片付けされている。そしてやはり気になるのは部屋のあちこちに置いてある教科書や本の数。そもそも私はあんな分厚い英語の辞書を持っていない。こんなに真面目でいい子だったいせちゃん……

隣のハナコちゃんはずっと泣いている。かなりのショックを受けたのもあるだろうけど、二人は本当に仲がいいよな。何より出身が同じ福井県なだけでなく、実家もすごく近いみたい。ここの大学に来てから知り合ったのだけど、一緒にいるのを見てなんだか地元の友達同士の雰囲気が出てて羨ましかった。

こんなことを考えている時に、スマホのメッセージ受信音がこの部屋に響いた。ハナコちゃんのスマホはユウヤくんが持っていったはず。この音は…私はデスクにあったプリントの下から弱く光ってる光に気づいた。いせちゃんのスマホだ!

3人でなんとかデスクまで体を引きずり、緊急電話をかけた。

「警察です。事件ですか?事故ですか?」

 

私たちはすぐ優しい女刑事さんに助けられ、そしてユウヤくんは逮捕された。しかし彼は、殺人容疑を否認した。

そして警察は彼の部屋から隠された覚醒剤を発見し、ユウヤくんは覚醒剤の使用を認めた。

「俺はただクスリやってるのをバレたくないから、彼女たちが警察呼ぶのを止めただけだ」

そして翌日、法医鑑定の結果からいせちゃんの死因は食中毒であると判明した。おでこの傷はおそらく吐くに急いでトイレへ行く途中に転んで、床に置いてあった辞書にぶつかっただけだ。

毒が入っていたのは、あの日彼女が晩御飯に食べた胡麻豆腐で、警察の捜査が進み、いせちゃんのお母さんが実家から送ったと思われるダンボールの中からまだ未開封の同じものが見つかった。

しかしいせちゃんのお母さんは最近荷物なんて送ってなかった。警察は福井県に行き、彼女の実家付近のコンビニで防犯カメラ映像を調べることにした。

 

「森田さん、ありました。伝票に記載している発送日に、いせさんの部屋にあったのと同じようなダンボールを送ったのは一人の若い女性で、特徴としてクマのぬいぐるみのスマホケースを持っているのを確認できました」

 

 

 

#その二    byいせ

『某日某所にて 仄塵氏 死亡確認!』

死因は中毒死であることが判明し、警察は自殺と他殺の両方の可能性があるとみて捜査を進めています。

***
【やってはみたが…】
はい。冒頭でいきなり仄塵さんが死んでしまいました、という設定を述べただけでございます。今回のテーマは共同制作でパートナー相手が死ぬ状況を記す「殺し合い」です。普段は主に自分自身の経験にまつわる話題をエッセイ風にまとめることで文章をなしている私は、これを機に小説を書けるようになろう!と意気込んでいたわけです。

――ごめんなさい。自分なりにかなり奮闘してはみたのですがどうしても人様にお目にかけられるようなストーリーは作ることができませんでした!悲しいかな、アイディアが浮かんでもクソつまんなくなる予感しかしないんです。当たり前と言えば、当たり前なのかもしれませんがまたもや自分の読書量の少なさや経験値の低さを思い知らされました。これも良い勉強だと思って精進します。

【タッグパートナーのこと】
ですが“共同制作”という協力者(パートナー)の存在が不可欠なありがたい企画を自分の無力故に棒に振るわけにはいかないのです。このテーマ設定は「互いを殺人事件の被害者に見立てて文章を書く」こと、またその構図を生かして「相手のバックグラウンドなどを想像する」ことを想定してのものです。幸い私は後者についてはできることは少なからずあるように思えました。
私のタッグのお相手を仄塵さんがつとめて下さることになったのも、きっと何かのご縁です。ただ数回だけ顔を合わせた方について、第一印象やお話しした内容だけでそのひとの後ろにあるものを想像し、表現すること、さらにその行為が相手に容認されていることなんてなかなかないと思うのです。仄塵さん!共同制作にかこつけてあなたのことを考えました。

【仄塵さんはこんな方?】※独断と偏見
初っぱなのWSで同じグループだったのを覚えています。そして、今回の企画で接点をもつのは二回目くらいでしょうか。一回目と二回目では向き合って話した印象はずいぶん違うものでした。
最初はWSで淡々とグループの進行をされていたことや、初めて読む文章の雰囲気から『どう親しめばよいか分からない』と感じていました。今から思えば、スタジオに入って初めてのWSで緊張したことも多分に影響していたのでしょうね。しかし、その仄塵さんに対する親しみがたいという先入観が再び会話することで真逆の方向に変化します。
彼女は今回私と共同制作のタッグを組むということで、話し合いをしたところ、仄塵さんはまず、

「最近どうですか?」

と質問されたのです。WSの文章のことですか、と私が聞き返すと、そうではなく最近の私の生活についてのことだと言います。そこで印象ががらりと変わりました!仄塵さんは相手が「どういう人間なのか」について知ろうという意図があるのだと感じ、自分に興味を向けてもらえた嬉しさがこみ上げました。私に足りない「目の前の人に対する興味関心」が相手に自己重要感を与えるものだと改めて気がつきました。
その後の会話でも彼女は「私の考え」を何度も引き出そうとし、また私は彼女の出身地や経験をいくらか知りました。

最終的に私の仄塵さんのイメージは『堅実な家庭で育った優しいリーダー格』っていうところに落ち着きました。

【あとがき、というか保険】
まずは「殺し合い」のテーマと小説形態そっちのけで好き勝手に書いてすみません。土壇場でいつもの形に変えてしましました。なんだか、テーマ「気になるあの子」みたいになってすみません。
ちなみに冒頭にある仄塵さんの幻の殺害報告ですが、死因を中毒死にしたのは、もし私ができるとしたらコーヒーに毒混ぜることくらいだろうなと思ったからです。
どうでもいいですが補足までに。

とまあそんなところで、最後まで読んで下さってありがとうございました。

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「殺し合い/共作/いせ&仄塵」への2件のフィードバック

  1. 灰塵さんが先にきていたので、サスペンス(?)とは珍しい趣向だなぁと思っていたら、あとからいせさん。メタい方向のネタばらしとして面白かったです。このほのぼのとした対面から「殺し合い」とはいかに。
    (遅刻しそうなので続きはグループで。申し訳ない)

  2. ううん、ちょっと読みづらかったです。
    日本語がおかしかったり、文が繋がってなかったり、成立してなかったりして、引っかかる所が多かった。
    具体的に赤を引いた方がわかりやすいやもしれないので、スタジオで…。

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