エンドロールの後も怖くないよ/ぜんぶ雪のせいだ。/エーオー

ありがたいことに、まるでフィクションのよう。手と手をがっつり取り合う青春。私には運命の出会いが多い。もう、それは本当に、あなたといると何でもできる気がするんだよと心から言うことのできるような友達に出会うと、ピシャーンと電流がはしるほど明らかだから、どんくさくて臆病な私でもえいっと勇気を出して絶対に逃さないように捕まえられる。

あれは高校1年生の時、彼女とこの学校を目指して歩いていた。ふたりとも勉強に命かけてて、電車の窓にノート広げて理科総合のワークやったとか言い合って面白がる日々を送ってた。私がここの大学を見たいと言ったので彼女もついてきてくれた。
寒い冬の日でちらちらと雪が舞い始め、こなぁ〜〜ゆきぃ〜〜、と最初は歌っている余裕があったけどどんどん吹雪いてきておまけに迷子。コンビニの店員さんに聞くと「右か左か、どちらかに曲がってください!」とアドバイスにならないアドバイスを貰い、ごめんねと謝りながら彼女は許してくれながらやっと山の上に着いた。

あれは高校2年生の時。文化祭後の精算の締切のあるよく晴れた夏の日。領収書の宛名の貰い忘れが発覚、まるでスパイになったみたいにふたりで学校を抜け出してお店に駆けていったこと。
お店の開店は12時。領収書の締切も12時。シャッターは閉まっていてもうだめかと思った。でも準備なのか半分くらい持ち上がったところがあって、やるしかねえなと声の大きさに定評のあるふたりは「すいませーん!!」と叫んだ。シャッターも叩いた。若いお兄さんが快くサインをしてくれた。そこからダッシュ。ギリギリで間に合って。まるで映画の大好きなシーンみたいに君が水色のベストで軽やかに駆けていく後ろ姿がときどき頭をくるくる回る。

でも、さすが天下の青春が力を貸してくれた運命。エフェクトがかかるのは残酷なことに時間制限がある。
大学生になって魔法は解けて、あなたがいれば最強だった私はあなたに会うとしんどくなった。ぐんぐん前に進んでしまう君に停滞し続ける私心が折られて、強気だったのにどんどん弱ってついていけなくて、免許合宿で交通安全ビデオを観ながら泣いてた。雪の日は笑って許してくれた癖にと、一緒に旅行に行ったときは口煩い妻に圧倒されながらも気弱で離婚をする気力もない夫ってこんな感じかと海からの風を感じながら妄想した。

さすがに、もうだめか。友達は変わるし私も変わる。色褪せて、ガラスみたいに光って硬かった無敵の気持ちは消えて、もうかえらないこと。

と、
思ったのだけれど。

あのね、びっくり。大丈夫でした。何とかなることあるんですね。苦しいこともあったけど、一人でいるときその子との陽射しまぶしいサイパンの思い出が、ふとした時に頬をくすぐるものだから。君、ビュッフェなのにポテトしか食ってなかったね。それでも会い続け会い続けていたら。最近は、姿を見つけるとにっこりしてしまう。ふふふって笑い声が出てしまう。まるで熟年夫婦みたいじゃないか。あの時と感触は違うけど、またきっと私あなたに恥じないように無敵になれるほど燃料は満タンだぜ。

そう、わたし無敵なんです。人一倍おばけが怖いけど、運命が解けること魔法が解けることが、怖くない。どうすればいいか知っている。
映画のなかの最強のふたり。背中を預けて銃を構える。ここで終わるからこそいいんだよ。続いちゃったらつまんねえよと観客は好き勝手言うんだよ。しかたないよ。みんな恐いから、予防線だって張りたくなる。
でも、私はエンドロールの後も続くものの輝きを知っている。形が変わっても同じように大事にできること。だから、私は私を無敵だと思うよ。

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