分からない後に知ること/全部雪のせいだ/縦槍ごめんね

今年も雪が降り始めた。私はこの時期が嫌いだ。それは私が幼少期までさかのぼる。

私は、おじいちゃん子だった。というよりも、おじいちゃんしか家族を知らない。具体的なことも聞いたが、詳しくは覚えておらず、両親は僕をおいて、家を出てしまったという話しをされたことは記憶にある。

おじいちゃんは、働いているのか定かではなかった。というのも毎日家にいて、私の相手をしてくれていたからだ。あまりに悠々自適な生活を送っているものだから、私は幼い頃「おじいちゃんて、何か不安なことってないの」って質問したことがありました。そしたらおじいちゃんは「うーん、確定申告かな。」と答えた。幼い私にはよくわからなかったが、このことからおじいちゃんは自営業だったんだなと、少し大人になって気がついた。

こんな働かないおじいちゃんでも、雪が降り始めると忙しそうにし始める。たくさんの手紙が届き、そして、毎日のようにどこかに電話をし続けていた。

この時期、おじいちゃんは、ピリピリしていた。いつもはやさしいおじいちゃんからでる独特の雰囲気に、いつもヒヨッて話しかけられずにいた。ご飯のときも寝るときも自然と口数は減り、僕は雪が降り始めるこの時期がトラウマになっていった。

そして、12/24、25。おじいちゃんはふと姿を消す。せっかくのX’masなのに私は一人で過ごす。寂しさをまぎらわすために、グラタンなんかつくっちゃって。むしろ、今までの雰囲気を思い出すと一人の方が楽なはずなのに、何か切なくなり、涙が出る。

「・・・帰ってきてよ、おじいちゃん。」

願いが通じたのか、ある年、おじいちゃんが帰って来た。何故か体は灰だらけでとても疲れているようだったが、憑き物が落ちたように笑顔だった。二人で談笑しながらグラタンをつつく。こんな幸せが永遠に続きばいいななんて思ってた。

おじいちゃんが、二年前に死んだ。私はおじいちゃんの仕事を継ぐことになった。

今年も雪が降り始めた。私はたくさんの手紙を読みながら、電話をかける。

ペットのトナカイに赤い鼻をつけて、12/24仕事を始める。今年も雪の中をソリを引いて、私は行く。

 

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「分からない後に知ること/全部雪のせいだ/縦槍ごめんね」への1件のフィードバック

  1. オチだ!!エッセイかと…
    時期的にはズレがありますけど、面白い趣向だったと思います。ただせっかくなので一年寝かせておいても良かったような。
    シンプルにオチが決まって良かったです。前半の伏線も少々あっさり気味で、しつこすぎはしないですが濃厚さもあってもいいのではないでしょうか。

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