あなたの遺書をください。/遺書/三水

遺書、とは。
最後に遺す言葉、モノ、人、
つまりは人生において最も気にかけたもの、
大切に思っているもの、
執着、未練、
そういったものごとを考えさせる装置なのだろうなと、思っていた。思っている。

いざフタを開けてみれば、まぁほどほどに荒れている。
大方の予想通りの、鬱々とした美しいものもあれば、どきりとするほど鋭い言葉で、胸が痛むようなのもある。一つを読むのが、なかなかつらい。

とはいえ、やはり遺書は遺書。思っていたものと、さほど相違ないようである。
親とか人との関わりとか、過ごした日々への思いとか、大事な本とか、
向ける感情がプラスでもマイナスでも、結局気にかけていることはかわらないわけで。
いつもながら愛にあふれた人たちだなぁと思う。なんやらの反対は無関心説をとるならば。

自分が死に至るストーリーに沿って、
紙に書いた大切なもの、人を、
一枚、一枚、捨てていく。
そういうワークショップがある。主にホスピスなど、『臨終』に接する人々の間で行われているものだ。

最後に残るものは何か。
最後まで手放したくないものは何か。

結果は家族、恋人、金、宗教、本、自然、
当たり前だが、千差万別、十人十色。

その一端でも覗けたら、楽しいなぁと思っている。

死や、何かの終わりに遺された言葉は、
(例えどれだけ自己満足でも独りよがりでも)
遺した者のためにあるわけではなく、
遺された者の意味になり価値になり、糧になる。

日本も墓石には名前なんかじゃなく、遺書彫ってくんないかな。

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「あなたの遺書をください。/遺書/三水」への1件のフィードバック

  1. 人の一番大切な(最後まで手放したくない)ものを覗くのが面白いのは、その人の秘密とまでは言わないけれどそんなものを知った気分になれるからかなと思いました。
    途中までの淡々とした口調と最後の一文のくだけた感じのギャップがいいなと思いました。もし墓石に遺書が書いてあったら、無機質に名前が書いてあるだけよりその人のことを感じられる気がしてお墓参りを大切にできそうな気がします。

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