猫背脱却物語/遺書/猫背脱却物語

猫背ころすにゃ刃物はいらぬ しゃんと胸さえ張ればいい

 

ねこぜだっきゃくものがたり。長い。長くて誰にもフルで読んでもらったことがない。猫背とよく呼ばれた。

 

思えばずっと猫背だ。主に身より心が。胸を張れない。胸を張って何かが言える自信が元々ない。

じゃあなんで普段お前ワーワー喋れているかといえば、常に自分が下の位置にいると思っているからだ。

 

人への意識が強い、自他問わず。なんであいつが人柄で愛されるのか。テニス部は爽やか幸せなのか。そうなれなかった自分に劣等感を感じたくないから、言いたいことを言うようになった。

下剋上じゃないけど、カウンターカルチャーじゃないけど、失うものもないし、やいのやいの言わせてよ、と思っていた。

猫背の時点で視線は下だけど、下からじゃなきゃ見えないものが、気づけないことがある、それが命がけの武器だった。

 

ただどこかで、そんな風にしかなれない自分に嫌気はさしていた。

嫌気?とかより、ただただ憧れていた。数あるうちの一人としてその場に馴染む、普通の奴に。

エナメルバッグで通学し、家に帰ったら部活の奴らとずっとラインしながらモンハンやっているような。

ラーメンズなんか見ない、自意識の強くない普通に。

 

だから猫背「脱却」物語にしたのだ。

 

猫背の僕が、猫背を脱却して、猫背の僕が死ぬ為の物語。この物語自体が一つ、猫背の死に向けた物語だとしたら。

この名で書いてきた一年間の文字は文章は、猫背の死後を考えて書いた、曲解での遺書なんじゃなかろうか。

 

 

終わりの為に始まる。落ちる為にスプラッシュマウンテンに乗る。バルスの為にラピュタはある(と思ってる)。私はいつか猫背の自分が死んで、脱却した自分になる為に、この名前で自分を作っていこうと思ったのだろう。

 

で、今。

 

猫背の私は全く死んでねえ。ピンピンしてる。

 

加速する自意識。ひしゃげた視点。とりたくなる揚げ足。巷にあふれる嫌いな女。

空が綺麗と書くより、空が綺麗と思う奴のことを書きたい。

何かに熱中する若者って、そんな自分が好きなんでしょとひがみたい。

最近の女が着るピンクの羊を剥いだようなアウターを始めたのは誰なんだ。顔は犬とかネズミに加工して、体は羊。キメラじゃねえか。もうお前ら人間やめちまえ。

 

 

脱却しようなんて意識するもんだから、余計に感性が鋭敏になって仕方ない。もうね、猫背のリバウンドです。

 

でもね、それでいいと思うんです。気づけばそんな自分を周りも自分も受け入れてくれている(気がする)し。

初めて自分のやっかみが、人に評価され、文章が好きと言われ。無理に脱却しなくても、猫背のままの自分でいいって思ったりするようになったんです。

 

おそらく周期的にまた脱却したくなって、でも猫背のままで、みたいになるんだろう。でもそんな自分に、嫌気はあまりないかもしれない。きちんと胸を張って、猫背でいられています。プライドのある猫背です。

 

生と死は隣り合わせ。生まれた時から死に近づいて、今も少しずつ死んでいってるともいえる。それでも人の目標は死ぬことではなく、死ぬまで生きることでしょう?

だとしたら、私の猫背は生の証です。脱却を目指しもするけど、結局猫背がいい。猫背でいい。

 

一人称視点で広がる私の人生。VRゴーグルつけなくたって眼前に広がっているリアルなゲーム。

まだ一周目だし、ネタバレなしで目の前のステージクリアを目指す。終わりを見据えるのは私を操る何かであって、私でなくていい。

 

生きてる時今この一瞬の感覚でさえ、死に向けられている遺書の一ページなら、私はこれからも長い長い遺書を書き続けたい。

正確には、長くありたい遺書の、目の前のページの執筆に熱中するだけです。え?はい、そういう自分が好きなんでw

 

 

これは、猫背が一生をかけて脱却に向かうだけの物語なのです。

 

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