犯されるあの子に侵される/フェチ/ふとん

 

なかなか他人に言えないけど、言うと確実に驚かれる特技がある。

わたしは、妄想だけでイクことが出来る。

唐突に変な話に持ち込んでしまって本当に申し訳ないのだけど、この「いく」は「行く」ではなくて、食べてみたら意外と「イケる」でもなくて、あの「イク」なのだ。

妄想だけで、というより、触らなくても、の方がわかりやすいかもしれない。とにかく私はいつも指1本使わずに妄想だけで自分を慰め、達している。

初めてそれが出来たのは中学2年生のときだった。小学生の頃から何度もこっそり親のパソコンで検索して、その行為のやり方も、頂点があることも知っていた。「わたしもしてみたい」。書いてあるとおりに何度か真似したけど全然気持ちよくなくて、そのうち触ることはしなくなった。でも、妄想だけは毎晩どころか、暇さえあればずっとしていた。

妄想の内容はいつも、男の人に無理やり犯されるというものだった。公園で後ろから襲われたり、家庭教師の先生にさりげなく触られたり、電車でおじさんに痴漢されるのがお気に入りだった。そして、犯されているのは毎回必ず、わたしではない、胸が大きくて顔が可愛くてミニスカートから肉付きのよい太ももを覗かせた、誰だって痴漢したくなるような女の子だった。その子は絶対にスカートの下に短パンや見せパンを穿いておくことをしない。優秀な男性の性欲の対象だった。

そんな妄想を続けていたある日、寝る前に妄想していると身体に異変が起こった。下半身に意識を集中させると、ぬるぬるする液体が出てきて下着につくのが分かったのだ。わたしは目を見開いて感動したのを今でも覚えている。「これが、濡れるということなんだ!」それから何度か試行錯誤して感覚を掴み、いつでもその液体を生成できるようになった。

それから数日後の夜、わたしはいつもより興奮していて、ふと腰を動かしたくてしょうがなくなった。布団の中でひたすら腰を前後に動かしていると突然、子宮がぎゅうっと収縮して、脳みそに雷が落ちたような衝撃が走った。これが初めての「イク」だった。それまで妄想で得ていた快とは比べものにならないほどの快感だった。

いま思えばわたしは幼稚園に通っていた頃から、「男に無理やり何かされる」ことに異常なほど興味があった。服がリボンのようにほどけるセーラームーンの変身シーンを敵に覗かれていればいいと思っていたし、悪者に捕えられて縄に吊るされたセーラー戦士たちに助けが来ず、そのままいじめられることを期待した。親戚の家に置いてあったスポーツ新聞に載っていた、確かトイレで女の子が彼氏に覗かれて恥ずかしがるような話の小説を、何度も何度も繰り返して読んだ。

この性癖はいまでも全く変わらない。変わったのはスマホで堂々と痴漢や逆さ撮りの動画を検索できるようになったことくらいだ。不思議なのは、このようになった原因が全く見当たらないことだ。親の行動のせいとか過去のトラウマのせいにされそうだが父が母に暴力する場面など想像もできないし、わたし自身は男子にいじめられて興奮したりしないし、実際に痴漢にあったことすら一度もない。

それでも確実に分かっているわずかなことは、妄想に毎回出てくるいやらしい女の子は、たぶんわたしの理想の姿だということ、そしてわたしは一生かけても絶対にその子になることは出来ないということ。それだけだ。

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