求・絶食系オヤジ/絶食系男子/眉墨

まず、わたくしが国民の皆様に申し上げたいのは一つ。
なぜ、絶食系“男子”なのか。
なぜオヤジは食欲を絶たないのか。

お酒を愛して早×年、大学に入学しアルバイトを始めてから一人で呑む楽しみに目覚めたわたくしは、週に一度は必ず一人で夜のヨコハマへ漕ぎ出してお酒を呑んでおります。
大抵はほぼ顔なじみになったお店で、毎度カウンターに通されます。人を連れて行ったことは数えるほどしかありません。お気に入りのお店へは絶対に人を連れて行きたくないのです。そいつが知った顔で「オレ、一人で呑むの好きでさぁ、たまたま見つけたんだよね」とか抜かすのが想像できるからです。酒好きアピールしてくる男にロクな野郎はいません。息絶えろ!

話が逸れました。
そう、わたくしは毎週のように決まったお店に出没してお酒を嗜むのでございます。
女の一人呑みというと、「ナンパ待ちか夜の相手探し」と邪推する輩も多く居られるでしょう。そんなわけなかろうこの淫獣が。恥を知れ!国に帰れ!願わくば、土に!

失敬。
兎に角、わたくしの場合一人呑みとはわたくしとお酒のランデヴーであり、決して野郎の声かけ待ちではないのです。
しかし残念なことに、この見るからに芋くさい地味な外見と女性らしい立ち振る舞い(笑)から勘違いしてくる野郎も多く居ります。
冷たいビール、弾ける炭酸のハイボール、芳醇な味わいの日本酒。それらに口をつけたまさに絶頂とも言える瞬間。
「お嬢さん、一人?」
無慈悲なオヤジの声が私の至福をズタズタにしやがります。けれども馴染みの店だけに、常連(らしい)人とは仲良くやりたいもの。
「そうですぅ、インターン説明会帰りで」
嗚、なんといじましいわたくし。時給も発生していないのに大して魅力のない見知らぬオヤジの会話に付き合うだなんて!
その日は大変疲れていたので、可及的速やかにオヤジとの会話を打ち切り、3週目の愛読書と日本酒を煽りたい気持ちでした。そのような場合役に立つのがそう、別のオヤジです。オヤジとオヤジを化学反応させ、オヤジ同士が会話を始めた段階でわたくしは本を広げ没頭した振りをする。これです。
わたくしは周囲を見渡しました。むむ、コの字型カウンターの角のため、すぐ傍には若いお兄さんしか居ません。だけど元気そう。すみませんおにいさん、どうかわたくしの身代わりに!

「お待ち合わせですか?」
「これから友達と呑みに行くところで」
「あっ、そ、そうですかぁ」

正直、以降の記憶はさっぱりありません。
お酒には強く、いくら飲んでも楽しく徒歩で帰ることのできるわたくしですが、唯一の欠点はお酒を呑むと記憶が飛ぶというところです。
気づけば新しいLINEのおともだちが3人居て、オヤジから大量の旅の写真が送られてきました。
土曜は、何故かお兄さんとお酒を呑みに行くみたいです。
お兄さんが絶食系でないことを祈願して。

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