非日常/台風/手汗王

台風は非日常の象徴、悲傷の感情を顕著に表象しているように思う。

これは台風の日に多くの健康おたくが送る激しい一日だ。

 

暗雲

台風の日は外が真っ暗で目覚めが悪い。そもそも、人間の体は朝一日光を浴びることにより、体内でセロトニンが分泌されて、脳が覚醒状態に入るものだ。そうしてセロトニンがドーパミンや、ノルアドレナリンを抑制し、感情を落ち着かせる。セロトニンなしには人間の心身はまともに働かない。更に言えば、この日光による刺激から14時間後にメラトニンが分泌されるように時限システムが作動するのだから、日光がないと人間の時間感覚は狂い始める。夜メラトニン不足に陥ると不眠症が始まる。朝日の出ない日など、体内時計がリセットされないのだから、本来目覚めるべき朝ではない。こうして人の体、感情は朝一番の外的要因によって簡単に左右されてしまう。罪人が悪事を起こすきっかけも大元を辿れば、この暗雲によるセロトニン不足にあるかも知れない。そうなると、台風による日光を遮断する暗雲は人間にとって最大の敵と言えるだろう。ということで、今日は寝ていた方が良い。と、あれこれ考えて寝ようと思った結果、起きるのはクソだるかったけど、暗いからって昼まで寝て、栄養が欠如して筋分解するのが嫌すぎてその日は仕方なく起きることにした。

 

重さ

外の薄暗さで、気分も重くなる中、いつもの健康リサーチが始まる。パソコンを開いてブラウザを開き、赤の再生ボタンのマークを探して、ページを開く。ページが開くとまずは登録チャンネルのチェックを抜け目なく行う。見てない動画があれば再生する、再生、、っと、、、再、ん、、、、、、?いつもと同じように再生できない。重いのは気分だけではなかった。通信の重さに気がついた瞬間、より一層気分が重くなってしまった。通常ならこの時間でサプリメントやワークアウトをリサーチしその日の生活で実践してゆくのだが、それができずに頭の中が空っぽになってしまった感じである。しかし、こんなことでへこたれず食事で気分を盛り上げることにした。日頃の知識の蓄積を生かしてPFCバランスよくしっかりと食べる。体が重くなることで気分が軽くなった。通信が重くなったぶん、頭が軽くなった。

 

いつもの光景

いつもとはまるで違う、クソみたいな悪天候の日でもバーベルとの対話は怠らない。ジムへの道中、降り注ぐ雨風、水浸しの足元で道のりがいつもの倍以上に感じてしまう。通り道の公園にもいつもの子供達の姿はなく、殺風景漂う雰囲気だ。そうして重くなった足でようやくジムに着く。ダルそうに中に入ると、中にはいつもと変わらない形のシャフトがあった。持ってみると、ああ、やっぱり、いつもの重さだ。部屋のライティングもいい感じ。それからふと、辺りを見回すと、そこら中にいつもの屈強な健康おたく仲間たちの姿だ。「今日どこ?俺は肩。」「ま?俺胸だわー」「ちょっと足やって死んでくる、、、笑」いつもの会話がある。ここでは皆、台風による異様な空間から、現実の世界に戻ってこられる。なんら変わらない日常を再確認する。ただ変わっている、変わり続けることといえば各々の体のサイズくらいなものだろう。あれ?あいつまたでかくなったなあ。

 

喜怒

雨はますます強さを増して降り続いていた。しかし、すぐに栄養を補給しなければならない。それも早急に。傘をさして早歩きをするが、傘などもう意味をなしていない。雨風は地面と平行に吹き荒れていた。これほどまでに天変地異の類を止めたいと感じたことはない。怒りが募った。それからの帰路では、どうやったら雨を殺せるのか考えていた。アメリカでは、雲の上から乾燥剤の様な粉をばらまいて雨雲を消したことはあるそうだが、ものに頼っているだけな気がしてしまって物足りない。漫画『刃牙』にて、主人公刃牙の父『範馬勇次郎』は地震を地面にワンパンチして止めた。誰もが、こうした天災の殺し方に憧れる。そしてこれはこの作者や、それと同じように、天変地異を制したいと考える人間が少なからずいるという証明だろう。現状人間は自然に対して、外界に対して無力すぎる。結局自分と戦うことしかできない。台風による激しい風雨は自分たちの無力さを思い出させてくれるという面では感謝に値する。喜ばしいことだ。

 

台風の激しさ、厄介さ、規格外、想定外の存在の強さを身を以て知ると台風の目の存在には驚く。一度目の中に入れば、それは平穏そのものだ。しかし、台風という自然現象は目があることで台風という存在になるわけで、目がはっきすればするほどに強力な影響を及ぼすらしい。『台風の目になる』という慣用句がある。よく言ったものだと思う。とても強そうだ。騒ぎの中心にいる、周囲をかき乱すと言った意味で使われている。そして、デビューしたての健康おたくたちなら誰しもが大会の際に台風の目になれる様にと思いながら、でも心の内側でギラギラとした太陽を隠しているのが非日常によって垣間見えたりするものだ。

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