バックラッシュ! 総括/jboy

 ゼミやスタジオの中で常に話題に上ることの多い「男と女」。今回改めて一度考え直したいということで、『バックラッシュ!』を取り上げたわけだが、どうにも着地点が見えないというか、ふわふわと落ち着かないまま議論が進んでいった印象がある。班で集まって話していてもどこか要領を得ないというか、ずっと堂々巡りだった。

 そもそもこうした2項の対立したイデオロギーは、多くは揺り戻しの道をたどるものだ(教育における「ゆとり」、「詰め込み」の行き来はすぐに思い出すことができるだろう)。それが直接的に「やっぱりジェンダーフリーなんていらない。よし、戻そう」といって、そっくりそのまま戻るわけではなく、何か新しい要素、あるいはもう一方の対立するイデオロギーの考え方を織り交ぜたものへと変化したものが台頭するが、根っこにある核となる部分の傾向の揺れ動きという点は変わらない。ここでは大雑把に「男女平等」と「男女固定」の対立軸だ。

 こうした大きな視点の中で見ていくなら、今の時代趨勢は男女平等に傾いている、もしくは男女平等が当たり前に叫ばれる時代になったといってよい。こうした男女平等や男女固定といった価値観を考えるとき、視点は男性だが主題は女性である。男女平等が標榜される背後には、確実に「女性の社会進出を促す」という裏返しのメッセージがある。男女平等が本質的にもつこうした二律背反、男女平等が掲げられているうちは、男女平等が達成されないというパラドックスに対する批判としてバックラッシュの考え方があるともいえそうだ。

 よく出てくる議論に、日本は先進諸国の中で最も男女平等度が低いというものがある(2017年度最新版では、144か国中114位、日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22985930R01C17A1CR8000/)。

経済、教育、政治、健康の4分野からなり、それぞれ114位、74位、123位、1位と、相当ばらつきがある。特にアカデミックな分野や、政治分野での「女性」の参画度が低いという評価だ。先にも示した通り、どのサイトや新聞記事などのメディアを見ても、このトピックの見方は男女平等ではなく、女性の社会進出への評価であり(もはや同じ意味?)、このランキングの価値基準もいかに女性が社会参画しているかにあることは間違いないだろう。

女性の社会進出を広い意味での「承認」に当たるものとして考えると、女性にとって「愛」と「承認」の二つの道が完全に別の方向を向いているということが、女性の生きづらさへと直結している。「愛」とはすなわち男に選ばれるということ、旦那と結婚し子を授かり母となる道だ。一方で「承認」とは、先ほども確認した通り仕事と自己実現の領域である。斎藤環も指摘する通り、この両者を両立するには「およそ人間業とは思えない」ようなポテンシャル、努力が必要になってくる。「男は外で仕事、女は家で家事育児」といったような、典型的な全近代的な考え方において女性は悩む必要がなかったが、「承認」への道が開かれた今、女性は悩む権利を「女性自身」によって与えられた。「幸せ」に向かって開かれた自由で膨大な選択は、開かれれば開かれるほど女性を苦しめているのだ。

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