集中講義フィードバック/rascal

授業でも触れられていたことだが、ダンサーインザダークのレビュー欄を見ると評価が二極化している。高評価も低評価も一定数存在する映画というのは他の映画でもありそうなことだが、面白いのはレビューの中でもそれぞれ言及している点が違っていることがあるというところだ。好みが分かれる程度ならば○○だから好きor嫌いで評価がつくところなのに△△が良かった、××が気にくわないといったレビューで、これから映画を見る人が見たら「この映画はいったいなんなんだ?」と感じそうな統一感のなさである。なぜだろうか。ここでレビューに出てくるキーワードを挙げてみる。

【ポジティブなキーワード】
「母親の愛」「(親友達との)友情」「明るい(ミュージカルのシーン)」

【ネガティブなキーワード】
「主人公がバカ、身勝手」「何が言いたいのか分からない」「救いどころがない」「後味悪い」

「後味悪い」は高評価・低評価どちらの意見にもあったので一概にネガティブとは言えないが、一応言葉通りの意味でネガティブに入れておく。あと、「カメラワークがいい(悪い)」というキーワードも多く出てきたが、とりあえず内容だけで考えていくことにするというのと、あの撮影方法は先に述べたような好き嫌いの問題だと思うし、実際そうなので割愛する。

高評価レビューで一番出てくるのは「母親の愛」だ。目が不自由な中でも一生懸命働いて息子の手術代のために貯金する。息子を守るために自分に不利な証言をするその姿に感動した、というのが高評価をつけたユーザーの一般的な意見だ。次に出てくるのは「友情」。目が不自由なセルマを支え続けるキャシー、セルマがマリア役を諦めるのを引き止めてくれる監督(であっているのだろうか?)。そんな優しい人たちに囲まれるほどセルマは愛らしいという意見だ。

ただ、この2つの意見はネガティブなキーワードの「主人公がバカ・身勝手」というのに相反している。「主人公がバカ・身勝手」という意見の理由としてセルマの自己陶酔、現実逃避が激しいところや息子に「母さんは仕方なくやっただけ」と言わせるところが挙げられている。

授業でも言われていたが母親の愛情を感じるにも息子自体の描写が少なくて、本当にセルマは息子のことを愛していたのかといわれるとセルマの自由奔放な性格とあいまって疑問符が浮かぶ。

そして「救いどころがない」というこの映画のテーマ足りうる点もどこかもの足りない。セルマ周辺の人物が救いの手を差しのべている。それに最終的には息子の手術も成功し(キャシーのウソかもしれないが)満足して死んでいっている。救いどころがないというわりにはしあわせそうにも見える。

そんな曖昧さがこの映画の評価を分けているのではないだろうか。母親の愛を感じようと思えば感じられるし、貧しい中でも頑張って生きていたのにも関わらず悲劇的といわれれば「まあ確かに」というレベルである。ただ、言い切るには曖昧だ。完全なる「母親の愛」や「救いどころがない物語」を求める者には不快感にも似た違和感を感じたのではないだろうか。それがダンサーインザダークの評価を二極化している原因なのではないかと思った。

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