ダンサー イン ザ ダーク/みくじ

 

全体を通して虚構っぽさが強かったことは指摘されていたが、ストーリー本筋の虚構感、ミュージカルパートの虚構としての虚構は繋がるものと考えられる。セルマがダンサーであることは虚構の中だけのことで、虚構を生きることを描いた作品だった。
意見が分かれたセルマへの印象は、ストーリー本筋が誰の虚構かが鍵になるのではないか。

遺伝性の弱視、失明。不自然なほどセルマに好意的なキャシー、ジェフ、サミュエル、看守。金に困っていると話したビルに貯金があることを打ち明けるセルマ。
この虚構はセルマのナルシズムを満たすような悲劇と取れる。しかしミュージカルパートでそれは捕捉されている。母の悲劇でナルシズムが満たされるのはジーンなのではないか。
ジーンは後半のストーリー本筋にほとんど出てこない。冒頭でクラスメイトとの関係で悩んでいたジーンと、ビルを殺して逃げる前のミュージカルで登場した母を肯定するジーンは全く別人だ。ジーンはストーリーの進行に伴い母の虚構の中の存在になっていく。ではセルマの投獄後にキャシーが語ったジーンはやはり母の虚構になったジーンだろう。

母・セルマの悲劇でナルシズムが満たされるのはジーンと言ったが、厳密にはジーンの視点から物語を見る息子たちだ。自分の母も独善的なまでの激しい愛を持って、自分には秘密の自分のための苦労を背負っている、そんな妄想を与える作品だったのではないか。そしてそんな母はもういなくなっている。そこまで含めて息子にとっての幸せな幻想を与える物語だったのではないか。

にしても釈然としなかったのは男女差もそんなに無かったようだったからこの結論は的外れなのかもしれない。

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