もう戻れない私の日常!/シラサキマイ/θn

〜〜あらすじ〜〜
私の名前はシラサキマイ!突然現れた白馬の王子様に連れ去られたい高校2年生なんだけど、まさか本当に現れるなんて思ってなかった〜〜!!
なんと、転校生のハニュウダイキくんがまさに私の思い描いていた王子様そっくりだったの!そんなダイキくんにいきなりキスされた私……。そしたら幼馴染のケンタまで私の彼氏になるって言ってきて……!!??

わたしの高校生活、これからどうなっちゃうの~~~~~!!!???

 

 

 

 

*****

 

〈第3章 惑星ユグドラシル〉

「ダイキくん、それ、どういうことなの……?」

昨日よりもずっと大きく見える月と、炎で悲しいくらいに明るい横浜の街が遠くに見える。
風に煽られて露わになったダイキくんの整った目鼻。確かにずっと前から思ってたよ、王子様みたいって。切れ長な瞳がすっと細められた。笑っている、らしいのに、あまりにも高潔で冷徹で私は息を飲んだ。

「マイは、俺と一緒に来ればいいじゃんって言ったの」
「そうじゃなくて」
「このままだとラグナロクが起こる。父さんは確実にこの星を新しい巨人族の世界にするつもりなんだ」
「何言ってるかわかんないよ……」

 

ダイキくんが別の星から来た王子様で、月に住む神様たちから追われている身で、これから地球で大きな戦いが起こるなんて、急に言われても受け止められなかった。

それに何より……。

「……学校を燃やしたのはダイキくんなんだよね」
「……」

氷みたいな表情が背けられる。ああ、本当なんだ。
日常はこんなにも簡単に壊れてしまうんだ。あれだけ望んだ夢物語が目前にあるって、私は目を瞑る。ダイキくんが現れて、いきなり、その、キスされて。

ずっと自分をどこかに連れ去ってくれる誰かを探してた。

「だから何だって言うんだよ。学校なんてもういいじゃんか!いいかマイ、俺と来れば絶対に助かる。遠いところに連れて行ってくれるって母さんが約束してくれたんだ。それで、ラグナロクが終わったらまた地球に戻ってこよう。それで幸せになろう」

だからさあ、俺の手をとれよ!

 

ダイキくんは辛そうだった。

 

「くっそ、何処行ったんだあいつ……!」
「ケンタくん、ちゃんとスコープで見てる?見つけたらすぐ教えてね?」
「わかってるよ!!」

ユミの操縦は的確だった。どこまで風に炎が巻き上げられても、決して揺れることのないヘリの機体。完全に身体を任せてあのバカ幼馴染の姿を探すけれど、本当に逃げ惑う人々に掻き消えてしまったのか捉えることができない。

「どこまでも手間かけさせやがって……」
「……!?ねえ、ケンタくんあれ!!」
「ああ?」

遠くに見える2つの人影……、あの姿は……。
ヘリの速度が上がる、みるみる近づいていって、気づけばその表情まではっきりとわかった。
なんで……。

なんで泣いてんだよ、マイ!

「任せたよケンタくん!ずっと好きだった女の子、助けてあげて!!!」
「言われなくてもできるわぁ!!!」

 

「マイぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」

 

空から聞こえてきた声はどこまでも正義の色を宿していて、俺はここにももはや居場所がないのだと、創れたはずのそれを壊したのは自分自身であると悟った。

「よう、ライバル」
「ケンタ!!!!」

それは地球にきてから見たアニメ映画さながら、美しい救出劇だった。
あーあ、俺はやっぱりアンチヒーローなのか。
月が近づいてきて、閉じ込めていた自分の中の暴力を感じる。

 

 

「銀狼、フェンリル……?」
この声、誰だったかな。確かマイとすごい仲の良かった子……。

マイ。マイ……。

 

 

「こっちに寄越せよ!」

自分の声は思った以上に人間から離れていて、笑ってしまった。さよならだ、地球。好きだったよ。マイ。

 

眼下に燦々と輝く街。
惨事の突風が、誰よりも美しい俺の髪を撫でた。

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