あなたの人生、何点ですか/バタフライ・エフェクト/ふとん

観終わって、最近あったことをいろいろ思い出した。
―――
就活で訪れた企業で面談していた。
相手はまだ4年生でインターン中の内定者だった。
同じ大学出身で、スカウトアプリでメッセージをくれた人だ。
就活の状況とか、会社のこととか、色々話していて、突然訊かれた。
   「今までの自分の人生に点数をつけるとしたら何点だと思う?」
すごく困った。考えたことなかったから。
これまでの人生を超速再生で振り返る。
親に愛された幼少期。
本が大好きだった幼稚園。
友達につきまとわれてうんざりの小学校低学年。
ほのぼの楽しかった3年生。
クラス替えで5人グループになって、いじられ役になった4年生。
塾で勉強して、頭がいいことに誇りを持ち始めた高学年。
学年トップ成績で生徒会で明るくて、文句なしの優等生だった中学生。
生徒会は優等生じゃなく変人が集まる場所になって、自分よりも頭良くて可愛い子に囲まれて、ちやほやされなくなった、高校生。
成績は右肩下がり、模試も良くないのに逃げ出すように志望校を横浜にして、奇跡の当日点で乗り越えた大学受験。
ダメ男に振り回された大学1年。
サークルを変えて友達が増えて、初めて海外に行って、優しい彼氏もできた2年生。
サークルの人間関係がばかばかしくなって1人になった3年生。
いろんなバイトして、旅行して、ゼミが楽しくなってきて、就活にずぶずぶはまっている、今。
何点だ?この人生。
恵まれていることは実感してるし、楽しかったけど、辛かったこともめちゃくちゃあるよ。
「70点くらいですかね…?」
無難な点数だ。
この点が自分の口から出てきたことに少し驚いていた。
悪くはないけどあんまりいい人生ではなかったと、自分でそう思ってたのか。知らなかった。
そしたら、相手はこう言った。
「そうなんだ、何で?俺は100点だよ!」
まじかよ。そんなんありか?
なんでそんなに自信満々に言えるの?
「いろいろ失敗したし、留年もしたけど、それがあったからこそ出会いもあったし、この会社にも入れたから」
なるほど……
辛かったことに感謝できてるのって、今が相当うまくいってるからじゃないの?
「過去の嫌なことを笑って話せるようになってないから、私のは低いのかもしれない」
みたいなことを言って、その場は終わったけど
そのあともずっとこの質問が引っかかっていた。
そんなの、100点と思ったもん勝ちじゃないか。
なんで私は100点と思えないんだろう?
美人の友達を見た後にと私を見たときの、男の人の冷めた目。マイナス10点。
高3のときにわたしの陰口を言ってた男子たち。マイナス10点。
ひどい扱いをされてた元彼の顔。マイナス10点。
こんな計算だろうか、
いま書き出してみてびっくりというかやっぱりというか…
全部男だ。
夏の1万2千字の論文でも結論が男性への憎悪に行き着いてしまったからね。
(これについてはのちのち書いていきます)
で。人生の点数の話の続き。
この前受けた集中講義のテーマが、「唯物論と快楽主義」で、人生について考えさせられるものだったんだ。
超ざっくり4日間の内容をまとめると、
この世の全てのものは原子で出来ていて、いつかバラバラになるのだから死は恐れるものではない。(唯物論)
感情を乱されずに苦痛の少ない状態で過ごすことが善い生き方だ。(エピクロスの快楽主義)
という感じ。ざっくりすぎるし違ったかもしれない。
こんな内容をずっと話してるんだから、人生について嫌でも考えさせられる。
最終日にふと思い立って、手を挙げて教授に聞いてみた。
「これまでの人生に点数をつけるとしたら何点ですか?」
私が困らされたあの質問に、哲学者の教授はなんと答えるのか?
やっぱ100点と言うのか?ものすごく気になった。
そしたら教授は、即答した!
「そんなの答えられない」
…え?100点ってこと?
どうやらそういう訳でもないらしかった。よくよく聞くと
・自分の人生は一通りしかない
・他と比べられないものだから点数をつけることができない
・辛いことはあっても後悔はしてない
ということらしい。
そうか。人生に点数はつかないのか。
自分の人生はひとつしかないから相対評価は不可能だし、戻れるわけでもないから絶対評価する意味もない。
まあ、納得したつもりにはなれた。
一通りしかなくて点数がつかないから、悪くいえば諦めがつくし、良くいえば肯定できるわけだ。
自分の人生が大好きになったかと言われるとそうではないけれど、悩むものでもないのかな、と。
ーーー
バタフライ・エフェクトの主人公は、そこそこ楽しい暮らしをしていたのに、失った記憶が気になってしょうがなかった。
友達から「訳あって封印したかもしれない記憶を下手に探るな」と忠告されたのに、やめることが出来なかった。
そしてついに、日記を読めば過去に戻れることを発見してしまった。タイムマシンはしばしば夢のような機械に描かれるけど、こんな能力、不幸でしかないね。
だって、過去に戻ってやり直しても、他人の行動までは制御できない。
一つでも納得いかない結果になったら、自分の行動を変えたせいで招いた結果だから、責任を感じずにはいられない。またやり直さないと気が済まなくなるのだ。
みんなを幸せにしようなんて無理だった。
皮肉にも自分の腕を失い好きな女性は友達に持っていかれるシナリオだと、周りの人が皆幸せになったが、主人公は聖人君子じゃないから、そのシナリオで終わらせることは出来るはずがなかった。
本当に身勝手だ。周りを救うために過去に戻ってるのに、自分だけが救われないのは一番我慢出来ない。結局、自分だ、、、
結局彼が選んだのは好きな子と知り合わないシナリオだった。
ラストシーン。他人同士としてすれ違った彼女は、何とも言えない表情だった。何も考えずに歩いてるように見せかけて、悩みを3つくらい抱えていそうな、人生にどこか物足りなさを感じているような。(1人で歩いてる日本人って大体こんな顔してる)
出てきたシナリオの中ではこの人生がいちばん「まあまあ」な感じだ。
ドラマチックさで言えばほかのシナリオのほうが断然勝っている。
昔好きだった子が売春婦になっていた!
他人を救うために腕を失う!
燃えるような恋をした末、他者からの妨害を受け自分が犯罪者になる!
友人が殺人を犯し事件に巻き込まれる!
ドラマや小説にするならこっちのほうが売れるに決まっている。
現にどれも、どこかで見たような話だ。
でも実際こんな物語の主人公になりたいか?
答えはノーではないか?
実際、なるならハーレム系ラノベとか乙女ゲームの主人公になって一生ちやほやされていたいよね。
でもそんな甘々な世界は存在しないよね。
主人公はさんざんいろんな人生を体験してやっと、
いいことがあったり悪いことがあったり「まあまあ」が一番平和だと気付いた。
この「まあまあ」のありがたさに気づいて、ちょっとやそっとのことでは取り乱したりしない精神力を身に着けて、平穏だけど満足できる状態。
これこそがエピクロスの言う快楽ではないか。
「70点くらい」と思った私のこれまでの人生、言い換えれば「まあまあ」じゃないか。
つまり、最高ってことだ。
自分の人生、自分が肯定しなかったら誰がする?
きみは最高だよ。
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