シコリマクリスマス/クリスマス/縦槍ごめんね

※一部不適切な表現が含まれます。

俺の名前は合田夢二、32才。お笑い芸人志望のフリーターだ。大学時代に入った落語研究会の影響でお笑いの道に進むことを決めてからはや10年。築いたものといえばこの無駄な芸歴と、クソみたいな相方と考えた無数の使えないネタくらいだ。m-1もキングオブコントも10年出続けているが、両方三回戦止まり。勿論こんな成績の芸人なんて星の数ほどいるわけで、そんな俺の仕事は、月に二三度に来る劇場でのネタ見せくらいのものだ。芸人としては月に二万円稼げればいいほう。後はバイトを掛け持ちしてやりくりしている。この前、そのバイト先の居酒屋から社員になっても何とかしてやれるといわれたが、変なプライドが邪魔して断ってしまった。もう実家には5年以上帰っていない。帰らなくなってすぐくらいのころは両親も心配してたくさん連絡をくれていたが、今となっては、お米を送ってくれる時ぐらいしか連絡がない。

前置きが長くなってしまったが、何故こんなに、俺が世界の終わりのような精神状態いるかというと今日がクリスマスだからだ。・・・嘘だ。年末だろうが、ハロウィーンだろうが、海の日だろうが。なんかこう、ただてさえ元気な若者がいる街がより一層活気をます季節は、俺もかつてはそうだったよななんて、思い出して辛くなるからいつでもネガティブになってしまうのだ。

こんな日は、昼間近くの公園にいってひたすらホームレスを眺めて、家も職もある分こいつらよりましだなんて思って少し元気になったあと、スーパーで6枚切りの食パンをかってきてその公園にいる鳩にひたすらパンをちぎっては投げ、ちぎっては投げする。その従順な鳩の姿をみていると俺にもまだ何かを動かす力があるのかもしれないと思えてくる。そして、全てのパンを投げ終えたら、TSUTAYAにいって、5,6本のAVと賢者タイムように、オーシャンズと南極物語を借りて帰って、ひたすらしこっては映画を見るを繰り返す。

彼女は、もう8年間いない。俺がずっとネタ作りにうつつを抜かして、全然構っていなかったことが悪かったのだが、寂しくなった彼女は酔った勢いでもあったらしいが、バイト先の男と一夜を共にしてしまったらしい。自分から罪悪感に耐えられなくなってそんなことをカミングアウトする彼女は本当に心の優しい子だったんだなと今なら思えるが、当時はそれをきっかけに別れてしまった。そして、それ以降たまにそのことを思い出して興奮してしまう自分にも気づいてしまい、あ、俺ってこんな性癖あったんだ。なんて思って、より自分の中で踏ん切りがつきにくくなってしまって以来、この事を思い出すことを意図的に避けるようになった。彼女を作らないのは、ここにも原因がある気がしている。決してできないわけではない。

まぁ、そんなことを少しだけ思い出して、後は四畳半のアパートに帰って万年床になってしまった。もう大学時代から使い込んだペラッペラの布団に寝転がり、ひたすらにしこる。ご飯を食べることもめんどくさくなってひたすらにしこり続ける。六時間以上しこり続けて、布団の回りはティッシュだらけになった。

わー、ホワイトクリスマスや。なんてほんとにしょうもないことを3秒だけ考えて、またしこり始めた。

いつからだ。いつから俺はこんなオナニーしか趣味のない、ザーメン出すマンと化してしまったんだろうか。元々はかなり研究熱心だった。お笑いの勉強も必死にしていた。自分がでないライブにも足を運んだり、負けた賞レースの決勝戦も穴があくほどみて、今世間ではどんな笑いが評価されているのかをずっと考え続けて、そこにたどり着くためには一体どうすればいいかばかり考えていた。・・・何かきっかけがあった訳じゃないいつからか、録画したネタ見せ番組をみても、なにも感じなくなった。もう無理だと悟ったわけでもない。なのに何でこんなことになってしまったんだろう。こんなんになってもずっとm-1とキングオブコントだけ毎年のようにHDDにたまってることも自分の中で消化しきれずにいた。

オナニーをしているときだけ、そんな自分を忘れられた。ちんちんを触っていれば頭で考えなくてすむ。ただちんちんの赴くままに行動すればよかった。

「ピンポーン」

こんな日に誰だ。俺の家を訪ねてくる奴なんて誰もいないはずなのに。ドアを開けるとそこには宅配業者の人がいた。

「宅急便でーす。ここにサインお願いします。」

「あ、あ。あー、はぁ、はぁん」

普段「お箸つけますか?」「はい」しか会話がないので咄嗟に変な返事しか出てこなかった。そんな僕にも優しく接してくれたヤマトのイケメンのお兄ちゃん。こんな日までバイトしていることも相まって、俺の中での好感度今までの人生の中で一番跳ね上がっていた。お兄ちゃんが帰って、送り先を見てみるとそれは実家からだった。連絡もなしに物を送ってくるのは珍しいなと思って段ボールを開けるとそこにはいつも通りの米といつもと違う手紙が入っていた。

「夢二へ。
あなたが芸人になることを志して、10年が経ちました。まだ東京で頑張っている夢二のことを考えると邪魔しちゃいけないなと思い、中々こっちから連絡できませんでしたが、せっかくのクリスマスなのでサプライズということでお米を送ろうかなと思い立った次第です。」

母ちゃん、サプライズからもう少しましなものを送ってくれよと思ったが、こんなダメ息子を変わらず大切にしてくれていることに、免じて許すことにした。続きにはこんなことが書いてあった。

「まだ東京で頑張るつもりなんでしょうが、正直、そろそろ実家に戻ってきてもいいんですよ。お父さんもそろそろ定年になるので口には出しませんが、帰って来てほしそうです。まぁこんなこと言ってもあなたと反抗心をあおるだけなのかもしれないけど。でも芸人になることに反対していた私達だったけど、最近は東京で活躍してる夢二を見たいなという思いが募ってきたのも本当のことです。分かってると思いますが、うちは三局しか入らないんだから、ちゃんと有名にならないとテレビで夢二の姿みれないんだから、頑張ってくださいね。うん、伝えることは伝えました。後はあなたの頑張り次第だと思いますが、頑張り過ぎて体壊さないようにね。何かお米意外に送ってほしいものがあればいつでも連絡下さい。

母より」

・・・なんか、ずるいななんて思ってしまった。こんなこと言われたらまたどうしたらいいか分からなくなってしまった。もう何も俺に期待しないでくれ、何も選ばせないでくれ、そんな資格俺にはない。モヤモヤした気持ちを振り払うようにまたしこり始めたが、精子の代わりに涙が沢山でた。もう、全然ちんちんが反応しなくなっていた。

「・・・ちくしょう」

一言、そう呟いて、久しぶりに録画だけしていたキングオブコントとm-1をみた。ああ皆、面白いなこのにゃんこスターってのはちょっと分かんないけど。とろサーモンはさすがだ。部屋にあった大漁のティッシュをゴミ袋に詰めて、おれはお米をたきはじめた。

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