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死にたくない/遺書/ちきん

生きるのに向いていないなとおもうことは、たまにある。あたりまえのイニシエーションを、ひとよりも特別に掛け替えのないもののように思ってしまったり、どうしても許せない傷があったり、自分の歴史はそんなに美しくは編まれないのだということを知ってしまったりするとき。

そういうときに、いつも遺書を書く。言葉にすると、なにか自分とは別の物語や教訓のように感じて救われるし、身体は空っぽになって、ただそれを眺めてうっとりする。すきなひとができると、そのひとに宛ててラブレターを書いて、でも渡しはせずに集めてとっておくと言っていたひとがいた。表しようのないきもちを、過去として自分の持ち物にしてしまうことで、折り合いをつけて生きていくところが、似ていると思った。

積み重ねた遺書は、見えないこの先をなんとか生きてゆくためのものだ。

 

無事におとなになることができたのか、そこまで感情が過多ではなくなってきたけれど、そのぶん過去に何を見て生きてきたのか、昔どんな言葉を使っていたか、どんな風にひとを愛していたのかも、気付かぬ間にたくさん忘れてしまっている。それでまた呆れてしまうくらい、自分が嘘つきで薄っぺらく感じたとき、遺書を読んで過去に立ち返り、きもちを取り戻す。

経験がふえていくごとに、刺激に強く鈍くなっていって、このままあといくつの手紙を遺せるのか。貯金を切り崩して、あと何回暖がとれるだろう。

コンプレックス/ぜんぶ雪のせいだ。/ちきん

大学受験のとき、雪で電車が止まって、ホテルのロビーで偶然出会った秋田県出身21歳男性と一緒に、半日くらいかけて会場まで歩いたことをおもいだしてしまった。

 

夏は毎朝4時にポーションと豆乳でカフェオレを作って、勉強机とベッドしかない部屋の中の段差に座って飲んで、4時からスタートする1日は長~くて、笑っちゃって、駅のホームでinvitationを聞いて、ふしぎな気持ち。

冬は自動販売機で温かいコーヒーを買って、コピー機の横の真っ赤なソファで手を温めた。寮の管理人のおじさんに、なんで友達を作らないとだめなの?って聞きたかった。なんで医学部だと親の敷いたレールなの?なんで自分の意志で自分らしく、自分の道を進まなくちゃいけないの?恋をすることだって、そんなに簡単じゃない。

 

プリクラに写った女の子。そんなんで変なプライドも妬みもコンプレックスも、漏らさずに生きていけるのか。自分もそこにいるくせに無意識のうちに周囲を見下していることに、たまに気付いて自己嫌悪に陥ったりしないのか。いい子なのかな。

 

大きな窓があって、そこから車が走っているのが見えるホーム。白いファーのポンポンでポニーテールにした、声が高くて可愛い女の子。サングラスの跡で崩れたファンデーション。指輪。何も恐れずに毎週毎週、同じ志望校の名前を書かされて、何も怖くなかったのに。

たどり着いた場所は、街全体を見渡せるすっごくいいところで、冷たい空気が気持ちよくて、厚底の靴を履いたまま、思わず走り出した。しかもだいすきな先生の生まれ育った場所だ。って言葉だけが脳内をよぎって、別に先生なんて私の中の何でもないし、私は彼女の中に存在してすらいないのに、もうゴミ屑みたいな端緒から誰かに縋って、心の軸を作らないと死にそうで。数日前、母親と電話口で話したのも本当は全部戯言で、洗脳しても洗脳しても、すり抜けてしまっているのが分かるのに、それでも何でもない顔をして。どうしようもなくなったとき、私はそんな風にしかなれないのか。それが大人だって言うのか。怒って泣いて逃げたりできないの。まじめだからじゃなくてチキンだから。

ただ部屋が一人で過ごすには広過ぎて、誰も私のことを知らないんだなあって、思わず冷蔵庫を開けてしまった。

 

好きに生きていいはずなのになんど言い聞かせても忘れちゃう。ここに来てみんなと出会えてよかった理由だって、全部嘘だよ。いつも、そこに飛び込んでしまった時点で、その後もうすごく新しい気持ちにはなれない。この部屋だって、自分らしいお気に入りの空間を作ろうと、好きなものをいっぱい置いたのに、ある程度揃ってきたらもう、何の魅力も持たなくなる。

状況は1年も待たずにコロコロ変わっていくし、自分の身の振りよりも大切な誰かとの出会いなんてない。

/デート/waku&ちきん

「ゆーうっ!」
改札を出ると彼のおおきな背中が見えたので思わず走って飛びつく。彼はびくっと小さく肩を揺らして振り向いた。丸い目がさらに丸くなっていたけれど、私の姿をとらえた瞬間、ふっと柔らかく細められて、その優しい目は、言葉よりも雄弁に愛しさを伝えてくれるようで、胸の奥がきゅうっとなった。「おはよ」と笑って、白いマフラーを軽く直し、いつもみたいに右手をさし出す。

「遊園地までの道、わかるの?」
「わかんない。でもみんなについていけばたどり着けるでしょう」
彼は下調べなんてしてくれない。私もめんどくさがりで準備なんてしないから、いつもデートは行き当たりばったりだ。でも、なんだかんだいつもそれを楽しんでいるから、何も言わないけれど、もうこれが2人の形なのだと認めてしまっている。

 

彼がコーヒーカップを思いっきり回そうとするのを必死で止めたり、立ったまま乗るジェットコースターに、嫌がっているのを無理やり引っぱって連れて行ったり、少しだけちょうだいと言ったくせに、アイスクリームをけっこう食べてしまって怒られたり、ありきたりのやりとりであるはずなのに、自分たちに限っては特別のように愛しく思えるから、恋というものは恐ろしい。

その只中にいるときにはたくさん笑って、いまの瞬間をとらえるのに精いっぱいで、演技も作り物もぜんぶ嘘ではなくて、何も自覚できない気がする。だけど、「これが青春なのかもしれない」とふいに冷静になる瞬間もあって、そのとき、いつかこの時間が終わってしまうことや、いまを決定的な時間だったなと思えるのは、必ず後になってからでしかないことを思い出し、その切なさを遊園地のせいにしたりする。

 

「イルミネーション始まってるよ!」
彼が子供のように目を輝かせて言ってくるから、思わずふふっと笑った。私を喜ばせようとするよりも、自分が率先して楽しんでしまう彼こそを、愛しく思ってしまう。
「これ、観覧車の上から見たら綺麗だろうね」
「観覧車、乗ろうか」
「え、でもすごく並んでるよ」
「いいじゃん、せっかくここまで来たんだし。乗ろう!」
けっきょく私よりも彼の方がノリノリで、観覧車の列の後ろに向かってかけていくから、少し重たいブーツで追いかけた。

 

「寒い…」
「だから並んでるよって言ったじゃん」
「でも乗りたいんだもん。ねえ、あっためて」
抱きついてくる彼を、
「人前でいちゃいちゃしないで」
と引きはがす。
「やだ」
またくっついてきて、それをまた引きはがす。何回かそれを繰り返すと、もうめんどくさくなって、されるがままになってしまった。

もう、くっつくことも恥ずかしくないし、沈黙だって怖くない。でも、お互いにすごく気のおけないような気持ちでいても、彼は、無邪気に甘えてこなければならないし、私は、照れたように軽くふざけて突きはなす役目を忘れない。そうやって何の相談もなく、ただ甘いだけでない、楽しい2人のバランスを保とうとするのは、やっぱり私たちは特別なんだって、どこかで思いたいからなのかも知れない。

 

ようやく自分たちの番がやってきて、乗り込むと、隣り合って手を繋ぎながら、静かに外を見つめた。

また、今日が終わってしまう。

「あっ、こらやめろ!揺らすな!」
「こわいの?」
「こわくないけど落ちたらどうするんだよ」
「こわいんじゃん」
「こわくない!」
何も分かっていないようなフリをして、無邪気で優しい目をしながら、こんな風にしか誤魔化すことのできない私を、許して笑わせてくれる。いつまでも下にたどり着かなければいいのにと思いながら、たくさんの光の粒をみた。

/自分大好き/ちきん

2週連続で自分のことを書くことになってしまい、つらい。なんだか壮大なフリみたいになってしまったけど、私は自分がほんとうに本気で変わりたいと思っているとは思えないのだった。つめたいけどあたたかい自分が大好きだ。

 

みんな、私と友達になってほしい。そうやって人任せだからってダメ出しされそうだけど、友達になるためにすごく時間がかかるというところさえ越えてしまえば、きっと最高の相手になれる。私は友達に依存せずちょうどいい距離感で付き合うのが上手だし、暇人だから予定が合わせやすいし、好き嫌いも少ないから一緒に何でも食べられる。人のことを雑に扱っているようで、くだらない作戦やプレゼントなんかも常に本気で考えているし、どうでもいいところで友達の期待を上回る答えを出したい。メンタルが強いので傷つきにくく、ちょっとしたことで人を嫌ったりしない。こう見えてプールや雪での遊び方は小学生男子並みなのでめちゃくちゃ楽しいし、ほら、いいことしかない。

あと、彼女にするのも、まあまあおすすめ。見た目はそこそこ可愛いし、おっぱいは売りにならないけど、健康だし情緒も安定している。恋人にのみわりと素直に甘えるので優越感が得られる。もちろん浮気はしないし、遅くまで遊び歩くこともあまりないし、お酒も弱くないので、気付いたら朝知らない男の人と寝ていることもない。料理は人並みにはできるし、人の趣味にあまり干渉しないし、デートの計画は積極的に立てるし割り勘でいい。どんなに遠くにいても会いに行くし、熱しにくく冷めにくい。すべてが打算ではないけれど、何も考えていないわけでもなく、女として振る舞うときと人として素で付き合う時間のバランスがいい。浮気や暴力をされない限り、DVもしない。いい女かよ。これは、現在枠が埋まってしまっているというのが、だめなところだけど。

 

でも、こんな風に人のことを大事にできるみたいに言いながら、きっと本当は自分のことしか考えていないし、自分が絶対に正しいと思っている。たぶん、自分なりの基準で付き合う相手を選べて、ときには1人でもへっちゃらな自分が好きなだけだ。友達のことをあまり心配しない、親身になり切れない自分が好きだし、彼氏のわがままを却下し、すぐ怒る自分も好き。自分が好きな自分も好きだし、自分を愛せるから人を愛せるし、人に愛されるのだとおもう。

つめたい/あったかい/ちきん

あったかいひとになりたかった。

誰も知らない土地に行けば、人見知りじゃないフリができるとおもう。都会に出てきて感じたのは、当たり前にあったぬるい人間関係が当たり前ではなくて、何か欲しいものひとつを手に入れるにも、約束をするにも、すごく体力を使わなければならないのだな、ということだった。それまでひとりで生きた経験がなかったから、それは都会云々ということよりも、大人としてある程度の責任を負って生きていかなければならないというだけのことかも知れない。だけど、その疲労感も嫌いではないから、飄々とやっていられる。

いつも何もかも平気そうにこなしているせいか、感情のないつめたい人だと思われやすい。自分としては、すごくいい感じに振舞っていると思い込んでいたバイト先でも、半年もしないうちに「塩対応の神ですね!!」とか言われ始めた。どうして隠し切れないんだ。確かに、人への関心が薄かったり、言葉遣いが乱暴だったりすることはあるけど、私、ほんとうは意外とけっこう熱いし優しいのに。

私がこうなってしまったのは、特に女性が気持ち以上に誇大な表現をすることを嫌う、母のせいだとおもう。自分が表現できないとしても、せめて人のことを受け止めるくらいはできたらいいのに、無関心のような引いているような、つめたいリアクションになる。心は寛容な気がするんだけどな。ほんとうはあなたのことを知れてうれしいのに、言葉を尽くすほど墓穴を掘りそうな、好いたら嫌われそうな気がして、恐ろしくなってしまう。

いまは、まわりと適度に快適な距離感を保ちながら、1人ですきなように生きればいいけれど、これからこの冷たさをどうやったら都合よく隠せるものかと、困っている。だって、つめたい人間は、ひとにあまり好きになってもらえないし、みんなとうまくやっていけなければ、仕事ができない。やっぱり、いい仕事をしているひとは、数秒見ただけでわかるような人徳を感じさせている気がする。そう思うのは、仕事をしている人たちの世界の、ほんの一部しか見ていないからかも知れないけど。

あったかいひとになりたいんじゃない。だってもう中身はあったかいし(?)。ただ、あったかさを纏って、上手に見せられるようになりたい。ボイトレしようかな(?)。

刺激強め/食レポ/ちきん

友達が少ないので、外食の6割は1人でしている気がする。でも、特に穴場的ないいお店を知っているわけではなくて、普通においしいチェーン店によく通っている。今回はその中でも、私が鬼のように通っている、冬におすすめな、温かくて刺激強めなお店を紹介したい。

それが東京純豆腐。横浜駅東口の方にもあるが、相鉄JOINUS地下1階のJOINUS DININGの方によく行く。

市営地下鉄横浜駅で降りたら、1~5番出口側の改札を出て、JR南改札に向かう途中に左手に見える、ロッテリアとなんかお洒落なお店の間の通りを進んでいけばある。

 

ちなみに、そもそも純豆腐(スンドゥブ)って何?という人もいると思うので一応説明すると、純豆腐とは、韓国の柔らかいお豆腐のことである。でも豆腐をただそのまま食べるのではなくて、チゲ鍋に入れて他の具材も合わせて食べる。だから、料理自体は正式には「純豆腐チゲ」だと思うのだけど、略して純豆腐と言う。

東京純豆腐では、すべての純豆腐に豆腐、卵、あさり、ネギ、えび、貝柱、油揚げが入っており、それ以外に野菜やお肉や魚介などから、何を入れるか選ぶことができる。

そして、スープの味のベース、辛さのレベル、ごはんの量を選んだら、あとは紙エプロンをして待つだけだ(紙エプロンはかっこつけずにしておいた方がいい)。

私がいつも食べるのは、ホルモンスンドゥブの味噌ベース、辛さ5番。はじめて食べたときは、3番でから〜いとか言っていたが、最近では慣れ過ぎて、5番でも満足できない体になってきた(6番は課金が必要)。

 

沸騰してぐつぐついっているスンドゥブが到着。ランチタイム(〜17時)は、自動的にごはんとナムルとデザートがついてくる。

店員さんは、「生卵をよくかき混ぜてお召し上がりください」って言うけど、そんなことしたら辛さがマイルドになってしまうから、卵は最後に半熟で食べるために触らないよ!チーズのトッピングがすごく魅力的だけど頼まないのも、同じくマイルドにしたくないから。「おいしい食べ方」とかいって、具材を全部崩してかき混ぜ、ナムルと一緒にごはんにかけるとか、紹介されているお店もあるのだけど、ぬるくなってしまうので、それもしない。

とりあえず、そのまま豆腐とチゲスープをひとくち。辛いのにしっかり旨味がある感じ、うわ〜たまらんってなる。熱さ×辛さによって2口目くらいからもう鼻水。ちなみにラーメン屋さんみたいにティッシュは置いていないから、持参した方がいいよ。私は頑張って紙ナプキンで拭いてる。

ホルモン!!!

ホルモンスンドゥブには、基本の具材の他に、チャンジャ(タラの内臓)とニラと、ホルモン5、6個が入っている。このホルモンがすごく上質で、安い焼肉屋のホルモンだったら2個くらいでギブな私でも、5、6個ぺろりと食べられてしまう。日によって質とか大きさが違うときもあるのだけど、あのホルモン独特の、噛めない飲み込めない感もだいぶ緩和されている気がする。スープに入っているから胃もたれ感もないし。じゅわって旨味が溶け出して、しっかり歯応えが残る感じ、もう、私は東京純豆腐にホルモンを食べに来ていると言っても過言じゃないぞ!!

 

韓国料理ブームだか、男性は豆腐なんかわざわざ外食のときに選ばないのか分からないけど、店内は圧倒的に女性客の方が多い。でも、ボリューミーな具材やトッピングもあるし、カウンター席の方が多くて、1人でもすごく入りやすい雰囲気だから、一度行ってみてほしい。

あ、そもそも刺激強めが無理ですという方には、ノンスパイシースープなんかもあるので、誰でも行けないことはないよ!

今日これから何しよう/夢の対決/ちきん

水曜日は学校を休みにしているから、基本的に毎週バイトを入れているのだけど、今日は友達2人と映画を観に行く約束をしたから、1日空けておいた。それなのに、昨日の夜2人に立て続けにドタキャンされ、映画は全員1人で観ましょうということになったので、私だけ、この文章さえ書き上げれば暇になってしまったぞ!

 

 

これから仲良くなろうとしている人と、2人で話したり飲みに行ったりすると、必ず「普段何してるの?」と聞かれるから、困ってしまう。就活でもあるよ、「大学時代頑張ったこと」みたいなの。無趣味な自分が悪いのだろうけど、いやいや、別に何もしていないし、課題したりバイトしたり、iPhoneいじったり本読んだり、人と電話したり買い物したり、家事したり泳いだり、たまに友達と遊んだりいっぱい寝たり、何か作ったりしているだけだよ!!ちきんさん=暇人というイメージが定着しつつあるのかも知れないけど、単純に予定の立て方が下手くそだから、ときどき突然すごく忙しくなったり暇になったりする。

忙しいことは救いだ。今年の6月頃、死にたみが募っていたときには、とにかくいっぱい働くことにしていた。私は普通の喫茶店でバイトをしているのだけど、お客さんがたくさん来て忙しくなれば、自動的に戦闘モードに入ることができるし、声を張って笑顔を振りまいた分、年配のお客さんに可愛いねとか言ってもらえて、私可愛い!!仕事できる!!!と頑張れば、社員さんからご褒美でチーズケーキをいただいたりして、仕事が終わってからも、つらいときにはチーズケーキの写真を見ることで、なんとか生きていくことができる。(なんか峠野さんごめんなさいお仕事がんばってくださいとおもった)

でも、忙しさが過ぎると、けっきょくまた死んでしまうし、最近もうほんとうに、オールとか終電で帰宅すらもしたくないというか、体調を崩すので(もうすぐ22歳)、要はバランスが重要だということだ。心が健康であれば、1日何もないなんて日はすごく嬉しくて、何でもできそうな気がするのに、そうでないときには、ただ1人でお酒を飲んで泣いているだけになってしまうので、「忙しさで死にたみを誤魔化す vs 暇なので好きなことをする」は引き分け。というか、そのときのメンタルの調子に拠る。当たり前だな。

 

 

今日は調子がだいじょうぶ(?)なので、何しようかな。映画の気分じゃないから、クリスマスリースを作るか、かぼちゃの研究をするか、鶏に会いに行くか??

死にたくない/大作戦/ちきん

死ぬことがすごく恐ろしくなる瞬間がある。

それは、身近な人の死とか命の授業を受けたときとか、そういうきっかけではなくて、日常の中でふと沸き起こる。習い事が忙しくて放課後友達と遊べない日が続くと、息苦しく生きているよりずっと楽に眠っていられる方がいいなんて思うのに、ほんとうにちょっとしたことで、不安でいられなくなる。

 

「瞼がピクピク痙攣する、それは実は危ない病気のサインかも!」
CMが終わって答えが知らされてしまう前に、急いでリモコンに手を伸ばして電源を切った。
「こんなテレビ観たっておもしろくないでしょ!」
何を言われたわけでもないのに、半分観ているようで夕食の方に集中していたお母さんに対して、勝手に怒ったように言ってしまった。
「あー、うん、ごはんのときはもっと楽しいやつの方がいいよね」
ほんとうは怖くて不安でたまらなくて、続きが見られないだけだった。だって最近、ときどき瞼がピクピクすることがあるから。

 

夜眠る前に考えた。何があっても絶対に死なない注射を作ろう。

外から物音がしたり、笑い声が聞こえたりすると、誰か悪い人が入ってくるんじゃないか、ふざけて家に火をつけようとしているんじゃないかと、考え過ぎて眠れなくなる。でも、その注射を打てば、刺されたって燃やされたって痛くなくて不死身で、危ない病気にもならなくて、家族全員でそれを打って、終わらない時間を過ごしたい。

 

「死なない注射を作るんだよ」
「えー、そんなのないよ」
「ないからつくるの!」
弟を引き連れて、薬にするための葉っぱを集めに公園に行く。弟はばかだから、何か提案すればよく分かっていなくてもついてくる。
「お母さんが死んじゃったら、悲しくないの?」
「…かなしい」

無心で葉っぱをちぎっていた。ちぎって、土と混ざらないように、花壇の淵のレンガの上に乗せて、近くにあった別の石ですりつぶす。虫を潰したときみたいに、葉っぱから僅かに滲み出た液体が石に擦りつけられる。

「ふっ…うっ…」
声が漏れる隣を見ると、弟が泣いていた。
「え、なんで泣いてんの」
「お母さんが、死ぬと思ったら、」

「お母さんが死ぬわけないじゃん」
不安に駆られそうになるのを誤魔化すみたいに、体重を乗せてレンガと石をぎーぎーいわせ、それと一緒に体も揺する。気休めになる言葉も思いつかない。刻まれた葉っぱはそのうちどこかへ散って、色素だけが汚く残った。

 

眠るとき、お母さんが傍いれば、家族の誰かや自分が死ぬかも知れないことなんて、微塵も頭をよぎらない。だから、お母さんが9時くらいに仕事を全部終わらせて、寝室にいてくれる日がすきだった。

「ねえ、お母さん、絶対に死なない注射ができたら、いくらで買う?」
「ええー」
毛布が剥がれないように、引っ張りながらこっちを向く。

「お母さんは、死なない注射は打たないかなあ」
びっくりした。お母さんはお母さんなのに。ずっと変わらずに、学校であったことを話して、お休みの日には遊びに行って、眠るときには傍にいなければならないのに。
「私は死にたくない…」
動揺を隠し切れなくて、少し声が震えてしまった。寒いフリをして、毛布を鼻まで引き上げる。

「お母さんになればわかるよ」

中間反省会/片付け/ちきん

私の今月の目標は「部屋を片付けられる人になる」だ。いやこれ、「片付け」がテーマだからそういうことを書いているとかじゃなくて、ほんとうに10月末に反省することがあって、11月1日に制定しているからね。

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私の部屋はいつも整然としているように思われがちなのだけど全然そんなことはなくて、ほんとうに、とっさに人を招くことができない。もともと掃除はわりと好きだけど、散らかさないように生活するのが、致命的に下手くそだからだ。だからずっと、3日間かけて盛大に散らかし、1日間かけて全力で片すみたいなルーティン(?)を繰り返していた。

それでもなんだかなあ、という感じなのに、さらに、今年の8月にいろいろと精神的ダメージを受けた日から、一切片付けができない人間に転落してしまった。私の部屋にはもともとゴミ箱が存在しないのだけど、一切っていうとほんとうに、ゴミを一箇所にまとめることさえしないし、血痕(!?)とかがすべてそのままになっていて、すごい。そして、その出来事自体はもうとっくに解決しているのに、片付けのできなさだけが取り残された(怠惰)。午前中は寒いからおふとんから出て動くことができないし、夜はお酒を飲んでいつの間にか寝てしまっているので、片付ける暇がない!

しかし、何かのせいにしたって、このまま汚い部屋に住み続けていたら運気も下がってしまいそうだし、私も気軽に「今日家においでよ!」って言えるような部屋の人になりたいから、とりあえず部屋をひと通り片付けることを、目標として大々的に掲げることにしたのだ。

中間反省

有言実行したこと

  • 散乱していた服をハンガーにかけた
  • 夏服を全部洗濯してしまった
  • 食器を洗って排水溝を綺麗にした
  • お風呂のパイプクリーナーをやった
  • 掃除機をかけた
  • ゴミ捨てをした

今後の課題

1 机の上を片付ける

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最近課題は専らベッドの上でやっているけど、いろいろとつらいのでやめたい。

2 箱を捨てる

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靴の箱、引っ越しのときに使うかなとか、履かなくなって売るときに使おうとか思うけど、絶対に使わない。

11月中に部屋を綺麗にして、12月には根本的に散らかさない習慣をできるだけ身に付けて、今年中にナチュラルに部屋が綺麗な人を目指したい!

 

わかってよ/気になるあの子/ちきん

「男女の友情は成立しない」

というのはフチ子の説の受け売りなのだけど、私も最近本当にそうなんじゃないかと思い始めてきている。いや、むしろフチ子は感情がすごく分かりやすいタイプだし、自分の弱さを素直に表現できるし、人のことを的確に分析する能力もあって、話しやすくて男性からも相談を受けているから、自分さえ惚れっぽくなければ友情成立するだろと思っていて、私の方が、人見知りだし塩対応だし不可解な文章を書くし、男性から見て友達として付き合う価値が圧倒的に低い気がする。「みんな私と仲良くなりたいと思ってない!」とか人に責任を押し付けてばかりいると、ノルニルに怒られちゃうけど。

でも、今でこそ女友達すらいない私なのだけど、中学生のときまでは男女問わずすごく友達が多かった、というかもうクラス全員学年全員友達みたいな感覚で、プラス友情だけではなく、めちゃくちゃモテた。足がすごく速かったからかも知れない。でも、ただのリア充という感じでもなくて、オープンにし過ぎない部分とか1人で努力する時間とか、すごくいいバランス感覚で生きていた気がする。それが、高校に入学したあたりで、自分がそれまでどんな感じで周囲の人と関わっていたのか、突然ぜんぶ忘れてしまって、本当に意味が分からないのだけど、そこらへんからもう1人で動けばいいやとなり、悟りを開き始めたのだと思う。昔の男友達何人もから、「ちょっと苦手」「なんかノリが違う」と勝手に距離を置かれたけど、私はへっちゃらだ。

 

だけどなんとなく、あなたは私のことをわかってくれたら嬉しいなあと思う。

 

あなたが「男女の友情は成立しない」って話したとき、たぶんその場にいた4人くらいに緊張が走った。あれ?前と言ってること違くね?数か月の間に何か決定的な経験でもあったの?ねえ、本当に成立しないかな?私は、今からでは遅い?

「気になる異性なんていない〜同性がいい〜」って逃げようとする私に、「そしたら、どうせフチ子書くだろ」とか言って、いやいやそれは絶対ねえよ、そんなん読まされてもみんなうんざりだろ、私はスタジオではエーオー神推しで好きなんです〜、前にも何回もエーオーのこと書くって言ってるもん!!と心の中でちょびっと怒った。予言通り(?)、冒頭に登場してきてしまったから、怒りの矛先が理不尽にフチ子に向きつつあるけど。あなたが完璧に私のことを分かるはずなんてないのに、たぶん勝手に寂しくなったのだと思う。

また、常に何かを期待しているみたいな楽しさに、でもたしかな安心感があるような、正しい友達付き合いのできる人間に戻ってみたい。勝手にあなたに期待している。