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夢の棺がめらめらバーニング/遺書/ノルニル

◆クランク・イン

     野菜はハリがあるものを、お肉は汁が出ていないものを。家庭科で習う、あたりまえの常識。そんなルールに歯向かうのが、近ごろ全わたしの間でちょっとしたブームだ。
     たとえばさっき仕事帰りに買った牛乳の紙パック、棚の奥を検めましたところ消費期限が二日ほど長いものが隠れてござった。でもそこであえて短いほうを選ぶ。余ったらオムレツに混ぜて火を通せばいいか、なんて考えながら、小ぶりで傷んだトマトのパックに手を伸ばす。

     見栄えも品質も、どうでもよかった。どうせ帰っても誰にみせるわけでもない。なにより、わたしが買わないことで売れ残り、捨てられてしまうかもしれない野菜やお肉、魚がなんだかかわいそうで、見ていられなかったのだ。

◆タングステン・デイライト

「やる人がいないならやるよ。私暇だし」
「まじ、助かる!いやあ、宮辻ちゃんいつもありがとね!」

     さっきまで人事部長についての愚痴で固まっていた莉央の表情がぱあっと明るくなった。浪人と留学で2年ほど年上だからか、同期のはずなのに何かと上からプレッシャーで押さえつけてくる。きょうだって結局のところ、仕事を体良く押し付けられた形だ。「もし宮辻ちゃんが困った時は任せてね」、それ何度目ですか?
     でも慣れとは恐ろしいもので、今では少しも心が動かない。もしかしたら、きょうはお店に行こうと決めていたから特に気が滅入らなかったのかも。なんにせよ諦めが肝心だと、年をとるごといやおうなしに実感させられている。

     退社する途中、ひとりデスクに向かう同期の鴻原くんを見かけた。どうやらまたお残りさせられているみたいだ。「おつかれ」と声だけかけて、返事を待たずにそのまま足を前へ運ぶ。エレベーターのドアが閉まる寸前でようやくおつかれ、と遠慮がちな山びこが肩にぶつかった。

◆クローム・ミッドナイト

     くらくらするほどに甘い香の薫りが脳を刺激する。落ち着いた内装に、グロテスクな調度品。例えようもなく異様なはずの空間は不思議と居心地がよくて、サトミ店長の趣味はわたしに合っている。その旨を伝えると店長は大きな目をさらに見開いて、それは結構、と大声をあげて、それから早口で続けた。

「お客さんにはコレを用意しておきました。なんでも、家出してきた女の子がしまっていったブツでして。若いほど感情の鮮度も高いと言いますし、オススメです」

     「いやなことを忘れさせてくれる店がある」、そんな噂がこの街ではまことしやかに囁かれていた。最初は全く興味を持てなかったが、あるとき閃いたのだ。すなわち、忘れさせることができれば逆に植え付けることもできるのでは、ということ。
     そうしてこの店を突き止め、月に数度ほど通うようになってしばらくになる。名前も意味もなくした記憶、忘れてしまいたいほどに辛い悲しみや苦しみは凝り固まったわたしの心を動かしてくれ、次第により強い刺激を求めるようになった。何にだって振り回されないほど揺るぎない、そんな絶対的な感情がほしかった。
     結局、まるでDVDでも借りるように家出少女の記憶を手に入れて、わたしは家に帰ることにした。

◆フェード・アウト

     危うい蜘蛛の糸に縋りながらの生活、当然転機は急に訪れた。自分の感情の在り処がはっきりしない。きっと悪いものでも食べたのだ。原因はわかっている、この間買った若い男性の記憶だ。それは夢を失う痛みを人形に託したものだった。自分をしっかり持ち、他人を幸せにする正義の味方になる。そんな希望に満ちた夢は、やがて現実と直面し、毒となってその身を蝕んだ。
     他人の夢を食べて生きながらえる、バクのような魔物になったわたしは、その毒をそのまま受けてしまった。なにより、この人が抱えていた痛みがわたし自身にも染み渡って、どうしてかと理由を考えたけど、きっとこれはわたしの夢だった。わたしがなくした夢だった。

     もしもこの身が他人の感情の容れ物なら、「わたし」なんていなければいい。もう無理だと悟ったその日、わたしはわたしの感情をしまった。サトミ店長の術式によって薄れゆく意識のなかで、ふと記憶の持ち主を身近に感じ、そしてわたしは、夢を追いかける痛みを失った。

◆レンズ・フレア

     きょうも会社でミスをした。莉央はなにやってんの、と言いながら残業に付き合ってくれた。申し訳ないけど、感謝の気持ちでいっぱいだ。きょうはお酒でも買って、明日お礼を言おう。そう思いスーパーに立ち寄ると、目の前でおじさんが缶チューハイを取り落とした。
     おじさんは潰れた飲み口をじっと見つめると、元あった棚に缶を戻した。同じ棚から代わりのチューハイを持って立ち去るおじさんの背中を見ながらわたしは迷う。なぜ迷うのか、何に対して迷っているのか、自分でもわからなかった。するとそこへくたびれたスーツの男の人がやってくるとへこんだ缶をつかんで、

「あ、」

     鴻原くんだった。彼はすこし驚いた顔を見せて、宮辻さんおつかれ、というとすこし寂しそうに笑った。

「あー、この缶?いや、なんかさ、このまま俺が買わなかったらこれ売れないままかもなーって。そう思ったらなんかかわいそうになっちゃって」

     なにか、大切にしていたはずのものを思い出せるような気がした。どこかから、もう自分のために戦えないから人のために生きるよと、そんな声が聞こえた。

◆リ・テイク

     夢をみた。誰のものかわからない、でもきっと自分のものではない宝物を、ずっと大事そうに抱えてわたしはひとり立っている。時が経ち、宝物はきんいろの砂になって、指の間からこぼれていく。なくすまいと必死になるけれど、みんなまっくらな底に落ちて、みえなくなってしまった。
     涙がとまらなかった。自分のものなら諦めもついた、でも違ったのだ。誰かからもらった大切なものだった。やがてどろり、となにかが落ちる音がした。それはきっと、わたしの目玉が溶け出したのにちがいなかった。

◆クランク・アップ

     わたしも鴻原くんも、きょうも今日とて残業だ。なにか変わったことがあるとすれば、お互い「おつかれ」に加えて、一言二言、三言ぐらい交わす言葉が増えたことだろうか。ふと思い立って、聞いてみた。

「鴻原くんはさ、なんか夢とかあるの?」
「ん?強いて言えば、まあ、人に認められたい、とかはあるかも。でも微妙」
「えっとね、君の本当の夢。わたし、知ってるよ」

     これでいい。もし誰かが夢を棺にしまうというのなら、いっそのこと火葬してしまえ。終わりぐらいは派手にいこうぜ、燃やせ、燃やせ。ちゃんとお別れができるように。そしてもし奇跡が起こったら、いつかまた会えるように。わたしはその輝きを、ずっと待っている。

年々歳々花相似/ぜんぶ雪のせいだ。/ノルニル

     モノクロの景色のなかに、あなたの面影が浮かぶ。目が合わせられなくて、視線を落とすとコートを着ているわたし、認識した途端にコンビニにはおでんや肉まんが並び、乾いて澄んだ空気がひんやりと肌を刺す。どうやらここはまだ冬のままらしい。

     思い通りにできるのならと、あなたの隣では雪が降る、なんて特別な思い出にしようとしてみる。一面が雪に覆われた公園で、ふたりぶんの足跡だけが水気の多い、べちゃべちゃとした灰色の染みをつくる。
     息が白いね、とつぶやいて、返事がないことはわかっていた。先を行くあなたの背中へ手を伸ばしても届かないことも、もうわたしは知っているから、それはせずにただほうと息を吐く。結局、わたしは何も言えないままだったのだ。

 

     それは終わらない冬の夢だった。いちばん好きなあなたがいた。いちばん嫌いなわたしがいた。そうであってほしかった。そうでなければいけなかった。
     目を覚ますと季節は夏で、雨だから映画館に行こうと決めた。わたしはだんだんと遠ざかっていく思い出を懐かしむばかりなのに、窓辺では紫陽花が去年のそれと変わらず雨露に濡れてひかって、そうして毎年同じ季節ばかりが巡る。変わるのは、それを見る人のほうだ。
    昨日の続きが今日だとしても、あの日と今はどこが繋がるのだろうか。今日の続きが明日だとしたら、わたしたちの世界もいつか重なるのかな。

     心の中に、伝えられなかった言葉ばかりが降り積もる。それをぜんぶ雪に埋めた。もし、万が一でも春が来たらまた会えるように。あなたに届かなくても、いつか心のふちから溢れて、誰かに届きますようにと祈る。これはきっとわたしの中で融け残っている光だと、そう信じたかった。冷たく湿った空気で澱んだ梅雨の曇り空は、どこか夢で見た、くすんだ雪の色にも似ていた。

男の/喧嘩/ノルニル

今回はrascalさんとの共同制作で、「喧嘩」をテーマに選びました。ぜひ、こちらの記事をご一緒にどうぞ。

女の/喧嘩/rascal

 


 

「もういい。お前の言いたいことはよーくわかった」
「俺ももういいや。これ以上話し合っても時間の無駄」

rascalが書いた女性の喧嘩と違って、男の喧嘩は主にエゴのぶつかり合いで起きる。
ふつう円満な解決のためには、お互いの意見を受け入れ、妥協点を探すのが最適解だ。自分から謝れば相手も矛先を収めることが多く、その際に相手のいいところをほめればなおよい。喧嘩を経て話し合うことで相手への理解が深まり、関係性がより強固に結びつくことすらある。

でもそれではあまりにも面白くない、そうは思わないか全国の誇り高き男子たちよ?
喧嘩はすなわちバトルであり、己を貫き通せたものだけが勝利の栄誉を手にすることを許される。どうせ戦うのなら、勝ちにいこうじゃないか。どんな手段を使おうが、勝ったものが正義。勝てば官軍なのだ。
そこで、今回は文字通り、何としてでも喧嘩に勝つ方法を、スタジオブログの読者だけに特別に伝授しよう。

 

明日から使える!タイプ別攻略法!

喧嘩において重要なのは、自分の置かれている状況を客観的に把握することになる。有利不利、すなわち勝算があるかないかを判断したら、以下の2つのパターンに分けて攻略していこう。

①勝算があるとき

冷静に考えた結果、自分のほうに勝ち目があるとなれば、そこからは持久戦に持ち込むのが利だ。
急いては事を仕損じる、人事を尽くして天命を待つ。古くから勝利や成功に繋がるのは「待つ」ことだとされている。大義は自分にあるのだと自信を持ち、大きく構えよう。決して相手を感情的に刺激することのないように。時間とともに相手の感情も落ち着くので、それを信じて待つことが肝要になる。

また、この「待ち」の間に相手方と意見をたたかわせるのは得策ではない。喧嘩に勝つためには、あくまでも折れるのはこちらでなく、相手からである必要がある。
よって、相手の意見を聞きながらも、自分の意見で譲れない部分はしっかりと保持しておこう。また、喧嘩の最中でもその話題以外はいつも通り接して構わない。相手を思いやりながらも、信念を持ち続けることが大切なのだ。

②勝算がないとき

正直理屈では勝てる見込みがない、そういう場合もある。勝負は時の運と天に任せるのもいいが、本当に勝ちたいと思うのであればまずは勝つ見込みを最大まで高める努力がいる。
具体的に必要になってくるのは、相手への人格否定を行うこと、また周囲を味方につけることのふたつ。

簡単に言えば、周りの助力を借りながら相手を孤立させドン底まで叩き込み、そこから自らの手で相手を救うことでマインドコントロールを行うという手法だ。このやり口は幾つかの宗教法人でも用いられている、なかなか業の深い手法である。
やり方を間違えると、極めて高い確率で友情ブレイクするし、そうでなくても自分が罪悪感に囚われてしまう結果に終わることも。周りの人を巻き込むので、自分への評価が地に落ちないよう常に気を払う必要もある。他の方法としては、ひたすら論点をすり替えたり、相手の責任感を挑発することでも人は動かしやすいだろうが、総じて上級者向けだと言えるだろう。

結論: 男を怒らせたとき、自分が優位なら持久戦。逆に分が悪ければ人格否定する。ただし勝ちに行くと友情には高い確率でヒビが入る

 

おまけ: 究極奥義『威圧』

残念ながら、これまで挙げた攻略法が通用しない猛者もいる。そんな相手には身体を鍛えることで対抗できる。ある種のウラ技だ。体格や態度で相手を萎縮させ、男としての格の差を見せつけよう。

これまでは策を弄し、言葉を尽くすことで相手を負かしてきたが、それに反して今回はいたってシンプル。ドスの効いた「あ?」の一音で勝敗は決する。場合によっては言葉すらいらない。オプションで「眉剃り」「スキンヘッド」「グラサン」なんてのもいいだろう。
男の喧嘩の場合、多く喋ればしゃべるほど相手が頑なになるので、ただ純粋に勝つためだけならこれが一番効果的かもしれない。おすすめだ。

 

さよならソリチュード/自分大好き/ノルニル

     久しぶりに顔を合わせた友達に最近どう、と聞くと留年するかも、と相談された。

「学校あんまり行ってなかった?でも君とよく会ったけど」
「いや、3年間ほとんど行ってなかった。お前とは本当によく会うほう」
「あー。僕、結構いろんな人と『よく会うほう』なんだよね」

 

     学校はほとんど毎日顔出してるからわかるとして、出先で知ってるひとに会う。それも尋常じゃない頻度で。おそらく、人としてずっと「幸運」の方にあたる。
     例えば川崎で映画を観た帰り道、三渓園に紅葉を撮りに行ったり、全休の日に図書館に寄ったとき、友達や先輩後輩が一人でいるのを見つけて声をかけるし、時には相手から見つけてもらう。

     それが起こるのは、大概はヒマな休日。結果、何も約束しなくても、知り合いを見ない日というのがない。
     横浜を中心とした生活圏が近いから、と言われればそれまでだけど、それでも他人と比べると遭遇率が高すぎる。

     たぶん、実のところみんなお互いに気付かなくてもすれ違ってはいるのだろう。自分はそこで、気付きやすいし気付かれやすいのだと思う。
     大勢のなかから知り合いを見つけ出すために使われる、アイコンが何なのか気になった。「この人だ」と見分けるために、何が目印になるのか。

     記憶を辿ると、自分の場合は持ち物なのかもしれなかった。目に突き刺さるカバンの色や、変わったかたちの帽子に、丈の長いコート。
     そんな、誰かにとって大切なものたちが視界の端にひっかかって、目が離せなくなる。知らない人だらけの街で、自分が相手を知っていて、相手も自分を知っている。それがうれしくて、思い切って声をかけてみる。

 

     留年する、と言ってきた友達とさよならして、そのあと連絡が届いた。

「一緒に話せて、なんか救われたわ。ありがとう」

     正直驚いた。僕は救ったつもりも感謝されるいわれもない、と一瞬引こうとした。すこし考えて、そう返すのをやめた。
     「救う」行為は存在しない。人は勝手に救われるものだ。人を助けるのにもその人の協力がいるし、結局は一人で「助かる」しかない。ただ、相手が助けられた、救われたと感じたのであれば、それを否定する必要はないのだろうと思った。

 

     この件に限らず、だいたいいつもそうだ。「傷つけた」「困らせた」「迷惑をかけた」そう勝手に自分で思い込んで、自己完結して行動する。相手が実際にどう思っているかが一番大切なのに、ひとりで先回りして悪いように考えていた。お前は何様のつもりだと言いたくなる。
     「だって自分が悪いから」、そうして片付けることは、逃げないふりをして目を背けることだ。結局自分が一番可愛いかっただけだ、他人にちゃんと目を向けることもせずに。

 

     そんな自己嫌悪と自己憐憫にはまっているとき、助けてくれるのはいつも、見知った人たちだ。気持ちが沈んだまま買ったものをレジ袋につめていると、ふと見上げて先輩のほっとするような笑顔がある。息が詰まって出かけた先で、懐かしい顔に出会って、顔から険がとれていたことに気がつく。

 

     でも、この幸運は自分がそれなりに人付き合いをしてきた結果だとも言えて、もう一人で戦わなくてもいいよと、そう言われた気がした。数学のベン図みたいに、自分の好きな人たちと自分の重なる領域を増やしていけば、僕もいつか自分のことを素直に好きになれるだろうか。もっとちゃんと人と関わってみるよ、うれしかったその言葉を、深くふかく、胸に刻みこむようにそっとささやいた。

 

Tu es mon soleil/あったかい/ノルニル

 

     鼻から2回吸い、口から2回吐く。規則正しく呼吸を繋ぎながら、リズミカルに足を交互に前へと運ぶ。
     足裏に伝わるタータントラックの感覚が心地いい。手元の時計を見て、ペースを即座に計算。ここまでキロ3分越え。いい調子だ。

     ラインを越えた瞬間にスプリットボタンを押す。「有瀧ファイットーゥ!」誰かの声援が聞こえた。これで3400、残るは1600。ゴールライン脇に示されたラップ数と照らし合わせて確認。よし、大丈夫。
     そろそろペース上げるか。そう思って意識を戻すと、さっきまですぐそこで聞こえていたはずの息が、止んでいた。
     自然と視線が下を向く。目に映るのは自分の両脚ばかり。予感はしていたのだ。俺は、隣を見れなかった。ましてや、振り返るなんて決して。

 

 

 

     河川敷の風が音を立てて容赦なく吹き付ける。身を切るような向かい風に、指先の感覚はすでに消えた。手袋を通しても、12月の冷気は末梢を冷やすには十分だった。
     首を触って感覚を取り戻そうとしても、それが使えるのは最初のうちだけ。どうやら身体じゅうから体温が奪われたらしい。よく物語なんかでは「生きているからあったかいんだね」とかいうけど、現実は死ぬほどつめたい。水分を失って粘り気を含んだつばを道端へ吐き捨てると、アスファルトに黒く小さな染みが広がった。

     上流側へジョグで片道8km、往復で16km。長丁場のメニューを終え、クーリングダウンを兼ねて小走りでグランドへと戻る。
     すっかり冷えきって動かない両腕を、水道の水で無理やり刺激する。蛇口から出るのは氷水みたいな温度のはずなのに、今はまるでお湯みたいに思えて、あたたかかった。

     その日、西原が列から落ちた。あいつはペースメーカーを任されていて、今まで一度もメニューを破ったことがなかったから意外だった。
     原因を聞くと、貧血らしい。鉄分補給にいい、といってササミを取り入れた献立を教えてくれた時の笑顔が思い浮かぶ。加えて、持病の喘息がぶり返したと聞いた。

 

「地区予選の出場枠、5000mは西原と有瀧」

     グランドでの試走を終え、アイシングの合間に顧問の中重先生がメンバーを伝えにやってきた。いくらタイムが良くても、西原の他にも総体の出場歴があるやつはいるのに、自分が選ばれた理由がわからなかった。今年はインターハイにも力を入れていく、先日のミーティングでそう言われたばかりだった。

 

 

 

     そろそろ第4コーナーにさしかかる。ラスト一周、つまりあと400メートル。走っていると、全力だとなおさら、とりとめもないことを考える。足はそれでも先へ先へ、途切れず進む。

 

「有瀧、やっぱお前すごいよ」

 

     あの日、西原がぽつりとつぶやいた言葉が追いかけてくる。

 

「オレなんかさ、中学からやってるけどダメだ。才能がないんだろうな」

 

     そうじゃない。やめろ、そんなこと言わないでくれ。お前の方がずっとすごいよ。伝えたかった言葉はしかし、喉元で引っかかる。

 

     突然、後ろから猛烈な足音。荒い息遣いとともに、一気に追い越される。まさかラストスパート?いや、自分たちが先頭集団のはずだ。だから少なくともあと一周残っているはずで、でも離されまいと食らいつくと、西原だった。あいつ、まだ二周残っているはず、これじゃこの周回は良くても絶対ゴールまでに倒れてしまう。そう思ってふと気づいた。あいつは俺のために全力で走っているのかもしれない。このラスト一周オレについてこいと、そういっているのかもしれない。

     いま、俺たちは誰よりも先を走っていた。西原は黙って、風を掻き分けて進む。ああそうだよ、俺はいつもお前の背中を追いかけていた。お前はいつでも格好良かった。そして今も、お前は自分のタイムを投げ捨ててさえ、俺を導いてくれる。たとえ一緒にフィニッシュを切れなくても、今だけは二人で走っていたいと思った。この時間が永遠であればいいと、そう願った。

【閲覧注意】24色いろえんぴつ食べくらべ/食レポ/ノルニル

それはバイトの先輩と話していた時のこと。

「こないだもらった就活の資料から杏仁豆腐の匂いがして。最近だとティッシュ食べる人もいるらしいですね」

「キムワイプでクレープ作るやつでしょ、今日TLで見たわ」

「その方向性でひとつ、なんか案ないですか?」

「……カラー刷りの紙面の赤インクの部分ってさ、海老っぽいにおいがするよね」

「たしかに甲殻類の匂いします。でもインクって身体に悪そうですけど」

「色鉛筆」

「はい?」

「色鉛筆なら大丈夫だよ」

なにが大丈夫なのかわからないが、WebやTwitterで検索をかけるとそこは前人未到の地であった。
全世界、全宇宙の誰もが24色いろえんぴつを食べくらべしようとは夢にも思わなかったのである。まさに青天の霹靂、ネタ界のコロンブスの卵。ノルニルの腹は決まった。

 

 

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16色しか持っていなかった少年時代、その反動なのだろうか。大人の財力がダメな方向に使われている

夜勤を終えた筆者は、さっそく友人を呼びつけ検証を開始。今回使用するのはトンボ「24 COLOR PENCILS」。
幸いながらこれはスタジオ本のpop制作時に買ったときの残りもの。今回はこちらをいただこう。

 

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ずらっと並んだ姿は壮観。シンプルだが美しい

フタを開けるとその見栄えのよさに、想像以上にアガった。さすが全国の小学生の垂涎の的、その実力は伊達じゃない。
金と銀の鉛筆が最大の魅力だけど、アレあっという間になくなるし、ひどいときにはパクられたりもするよね。

 

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色の一覧表がコチラ。筆者が映り込んでいるのはご容赦を

さて、トンボ鉛筆が自信をもってお送りする色鉛筆。24色のラインナップはこちらになります。

おうどいろ(YELLOW OCHRE)
ちゃいろ(BROWN)
こげちゃいろ(VANDYKE BROWN)
くろ(BLACK)
きみどり(YELLOW GREEN)
みどり(GREEN)
ふかみどり(DEEP GREEN)
あお(BLUE)
ぐんじょういろ(ULTRAMARINE)
みずいろ(LIGHT BLUE)
ねずみいろ(GRAY)
しろ(WHITE)
ももいろ(PINK)
うすだいだい(LIGHT ORANGE)
きいろ(YELLOW)
やまぶきいろ(CHROME YELLOW)
だいだいいろ(ORANGE)
しゅいろ(VERMILION)
あか(RED)
あかむらさき(MAGENTA)
すみれいろ(VIOLET)
むらさき(PURPLE)
ぎんいろ(SILVER)
きんいろ(GOLD)

 

そうそうたる顔ぶれだ。このメンツならできないことはない(あくまでもお絵かき的な意味で)。

何から食べようか迷うところだが、ここでちょっと待ってほしい。
これがフルコースの料理だとすれば、トンボ鉛筆おすすめのメニュー表にしたがい、上から順にいただくのが作法というものだ。
一番そそられる金と銀は最後に取っておくとして、まずはおうどいろを試してみよう。

 

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彫り込まれた金字といい、バーコードの配置といい、つくづく画になるデザイン。子供向けの商品ってこういうとこ凝ってるのが多い

試食に移る前に、ひとつルールを決めておこう。「芯の部分のみをカッターナイフで粉状に削る(木の部分は含まない)」というのがそれだ。

 

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カッターで削っていく。ガリガリ系かと思ったが、予想に反してサクサク切れる

色鉛筆の芯はふつうの鉛筆のそれと比べ、ずいぶんとソフトで削りやすい。可食部(見えてる三角錐状の部分)を削り切り、ティッシュに並べたところ十分な量になった。ティッシュって便利だよね。薬包紙なんてなかった。

 

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三角錐をひとつ削りきると結構な量になった

見づらい。一か所に寄せてみる。

 

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どうみてもスパイスです。本当に(ry

いいね。なんかターメリックとかコリアンダーとか、カレーに混ぜときゃバレないんじゃないかっていうぐらいの絶妙な色味。

どうやって口に運んだものかと考えた結果、ひとまずスプーンに盛ってみることにした。

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スプーンに盛っただけで食材に見える!ふしぎ!

スプーンに盛ったとたん、ブラウンシュガーとかにも見えてくる。食器によってこうも違って見えるとなると、今後の食器選びにも精が出るというもの。さっそく味見だ。いただきまーす!

 

……

……

……

あれっ……

おかしいな……

味蕾をフル活用してるんだけど……味がしない……

 

おうどいろ:完全に無味。香りからはそこはかとなくただよう鉛筆感(というかにおい)

あじ:☆☆☆☆☆
たべごたえ:★☆☆☆☆
におい:★★☆☆☆

やばいぞ。早くも暗雲が立ち込めてきた。

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カカオ**%とかで見たことある。今回は絵面的に既視感のあるものが多い

残すは23色。長丁場なのでさくさく進もう。続いてはちゃいろ。おうどいろがサラダなら、スープにあたる立ち位置だ。見た目はミルクチョコの色だが、その実力やいかに。

 

うん、味がある。微妙だけど、これは……苦み?

ひょっとすると、コレ美味しいんじゃないかな?味があるってうれしいね!

ちゃいろ:味がする。おうどいろによる無味の衝撃が大きく、おいしいという結論に

あじ:★★☆☆☆
たべごたえ:★☆☆☆☆
におい:★★☆☆☆

 

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あれだ、磁石にひっつけて釘とか吊ってくやつ。そう、砂鉄だ

おおっとここで茶色系の親玉、こげちゃいろの登場だ!削るとなんか黒い粉にしか見えなくて個性が死にかけだぞ大丈夫か!

こげちゃいろ:一口目は木っぽい。なぞの甘い?後味(唾液の味かも)

あじ:☆☆☆★★(後味)
たべごたえ:★★☆☆☆
におい:★★☆☆☆

 

 

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見た目はバーベキューの後に残る粉そのもの。つまり炭

暗色系のトリを飾るのはくろ。多少いぶし銀っぽい鉛筆の黒鉛と異なり、見事に真っ黒だがその味は果たして。

 

おお、舌触りNo.1。あまい、しょっぱい、にがい、すっぱい……などの味で表すなら、「渋い」にあたる。

くろ:意外と破片のツブがたっている。後味が若干の余韻を残す。シブい

あじ:★☆☆★★
たべごたえ:★★★☆☆
におい:★☆☆☆☆

 

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伊○衛門に石臼挽き抹茶入ってるけど、カッター挽き色鉛筆はどうでしょうサ○トリーさん

ここからは鮮やかな色がつづく。まずはきみどり。黒と合わせればバッタカラーだ。ずんだの色とも被る。先日羽生SAで食べたずんだシェイクは単純にハマる味わいだったが、こいつはどうだ。

 

あ、なんか懐かしい味がする。緑茶に入れてもバレないんじゃね?

きみどり:粉っぽい。甘くしないきな粉と似てる

あじ:☆☆☆☆☆
たべごたえ:☆☆☆☆☆
におい:★☆☆☆☆

 

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手元に抹茶の味付け粉があったので、比較してみることに
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砂糖の粒が見える。粉の目が細かいというだけでもううれしい

うん。抹茶って、おいしいね……。なんか涙出てきそう。もう一回食べたいぐらいだけど、それはあとにとっておこう。

 

意外と色味が明るい。緑は目にやさしいそうだ

満を持して原色系であるみどりの登場だ。理科の授業で使う試料みたい。

 

あれ、甘い……と思ったら、先ほどの抹茶が手に残ったままだった。気を取り直して口に運ぶと、心臓がドキドキしてきた。こないだブランデーのお供に中国産の干しブドウ食べたんだけど、あれと似た感じで動悸が早くなっている。

みどり:胸騒ぎを覚える味。安心感を与える見た目に反して味はワイルド

あじ:★★★☆☆
たべごたえ:★☆☆☆☆
におい:★★☆☆☆

 

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破片が\でけえ/

緑シリーズもこのふかみどりをもって終了となる。削る際にずいぶんと大きなクラストができたので、食感には期待が募る。削るというより、やわらかな芯を切っていく感じだった。

 

うん。見た目通りザクザクいってる。ただ、スナック感覚で行くにはハードルが高い。はじける味がした。ただし爽快感とは無縁。

ふかみどり:食感はかなりのもの。たんに目の粗い砂を食ってるような感覚ともいう

あじ:★★★☆☆
たべごたえ:★★★★☆
におい:☆☆☆☆☆

 

続いての原色はあお。色鉛筆の中では個人的にいちばん好きな色である。ただし金は別格。

 

ざらざらする。食べづらい。なんとか飲み込むと後味はすっと消えて、潔かった。

あお:無味。すっきりしてるとかそういうレベルじゃない。食感は改善の余地あり

あじ:☆☆☆☆★
たべごたえ:★★★★☆
におい:☆☆☆☆☆

 

さて、ここで残念なお知らせです。1/3来たところで、文字起こしする気力が尽きました。
代わりといってはなんですが、明日のコアタイムまでの間、野郎二人での取材風景を録音したものを公開します。投稿の最後に載せておいたので、気になる人は聞いてみてください。
深夜3時のテンションなので滑舌とクオリティは保証しませんが。よろしくお願いします。

 

 

ぐんじょういろ

 

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みずいろ

 

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ねずみいろ

 

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しろ

 

 

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ももいろ

 

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うすだいだい

 

 

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きいろ

 

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やまぶきいろ

 

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だいだいいろ

 

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しゅいろ

 

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あか

 

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あかむらさき

 

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すみれいろ

 

むらさき

 

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ぎんいろ

 

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きんいろ

 

さて、無事24色をたいらげることができました。思ったより味に違いがあってびっくりでした。そんな中、ひとつ疑問が湧いたのですが。

 

「色えんぴつ食ってホントに大丈夫なん?」っていうね。

 

調べてみたところ、子供が扱うものなので身体に有害な材料は使っていないとのことでした。さすが長年愛されているだけあって、すばらしい配慮です。

色鉛筆の原料は、主に蝋と糊、あとは顔料が2割ほど。例外として、ぎんにはアルミニウム、きんにはが使われているそうです。
やたら変な味したのはそういうことだったのかも……ちょっと怖くなってきた。

まあでも、丸一日経ったいま、身体に全く異常ないので、大丈夫だと思います。

折角だし、今回のワークショップはやっぱり勝ちたいですね。鉛筆だけに尖ってますし。

さて、色鉛筆の食レポは以上です。ここまで読んでくれてありがとう。

 

次は36色かな。

 

死にたいvs生きたい/夢の対決/ノルニル

西洋の静物画のジャンルに、ヴァニタスというものがある。おもに髑髏のモチーフを取り入れるそれらの作品は、不気味でありながらどこか心惹かれるものがあり、美しい。
そもそもヴァニタスとは、ラテン語で「空虚、むなしさ」を指す。つまり描かれるのは人生の儚さや虚しさだ。これは仏教での「色即是空」とよく似ている。

歴史的な背景を踏まえると、根底にあるのは「メメント・モリ(Memento Mori, ラテン語で『死を想え』)」の概念だ。「汝がいつか死することを忘れるな」、そういう意味合いも含んでいる。
西洋のキリスト教に限らず、多くの宗教では死後についての世界観が存在する。仏教では輪廻であり、イスラム教はキリスト教と同じく「審判の日」を有する。
そして、宗教が支配的地位を失った現代でさえ、死はなおも人を惹きつける。

かくいうわたしも、死に憧れた時期があった。救いでないことを知りながらも、頭から離れなかった。
いま、かつての自分と向き合うときだと思う。二度と振り返るべきではないと考えていたが、そうではなかった。だから顔を背けずに、改めて親しいあなたへ、こんにちはを言いたい。

 

「君には無理だよ」と、いわれた。本気で死のうと思ったら魂はんぶんあっちに持っていかれるよと、その人は言った。
わたしは以後、「死にたい」と口にするのをやめ、戦うことを決めた。もう5年ほど前になる。

はじめに、イマジナリー・ホスタイルを脳内に住まわせることにした。フレンドではなく、ホスタイル(敵対者)。
「お前がどんな奴か知っている」というのが彼の口癖で、わたしのやることなすこと考えること、全てを等しく否定してくれた。

自分由来だから当然だが、彼とは利害関係が生まれない。だからその否定はどこかに偏ることなく平等であり切り口もすぱっと鮮やかで、むしろ心地よかった。余裕のない時には、こうだ、と決まっているような、制度化されたシステムがいちばん信用できる。

人間というのは不思議なもので、「早く死ねよ」と言われると、はいはいそうですね、といいながらも、だんだんとそれに甘えだす。「死にたい」と自分で呟く必要はなくなって、かわりにそれは他から与えられるものになった。

やがて時間が経つにつれ、自分から死にたい、と思うことはなくなった。自分のなかから出たはずのものが、完全に切り離されていた。仮想の敵はわたしを救ってくれ、わたしが幾分立ち直ったころには、いつの間にか姿を消していた。

「死にたい」という気持ちは日常が「死」に近いから生まれる。逆に生気を取り戻すと、「生きたい(生きていたい)」という思いが強まった。それも「死にたくない」というのとは少し違う。
いろいろ考えたが、まだ死ぬには早い、むしろ「心残りをなくして死にたい」というのがすなわち「生きたい」ということなのだろう。死は頑張った自分へのご褒美、みたいな。実際には心残りがなくなるなんてことは、おそらく永遠にないのだけど。

 

死は生を意識させ、生は死を意識させる。「死にたい」はいつか生きていたいという気持ちの表れで、「生きたい」というのはいつか死にたいということを予感させる。
おそらく「死にたい」も「生きたい」も抽象的なもので、ふつう生物学的な死と直接結びつくことはない。
強い不満が、苦痛も幸福も全て飲み込んで終わらせる「死」という極限のイメージに漠然と救いを求め、それが憧れに繋がるのではないだろうか。

とはいえ、考えすぎると直接的、現実的な死の方へとのめり込んでしまうこともある。そんな時のために、イマジナリー・ホスタイル、ドMの方にはなおのことおすすめです。いや、ほんと。

あ、ひあかむずざにゅーちゃれんじゃー?紹介を忘れてたけど、第三勢力の「消えたい」派もあったんだった。
死にたい消えたい生きたい、三つ巴の乱闘となるその結末は、まだ誰も知らないみたいです。

あなたの就活、代行します!/大作戦/ノルニル

 すべての大学生は、在学中等しく勉学に励むことを旨とする。就職活動については、原則として大学校の課程を修了後に行うものと定める。ただし、代理の者を立てることのできる場合は従来通り、在学中のこれを認める。

────20XX年、文部理科学省答申より


 

     かたかた。ガス火にかけたやかんが音をたてて沸騰をしらせる。火を止め、ドリップのパックを開いてすこし濃いめのコーヒーをいれる。
     事務所の朝は早い。2月の冷え込みが淡く実体をもって降り注ぐ、そんな日に彼女はやってきた。

「あの、すみません」

「いらっしゃいませ。就活代行のご利用は初めてですか?」

     お酒が回っていても言えるぐらい言い飽きた文句を述べたところで、はい、それでは品定め。真っ白に統一された服装に、黒い髪と困ったようなかたちをつくる眉毛がアクセント。見たところ、自分に自信がないタイプです。あなたぐらい可愛ければ永久就職も簡単だろうにね、と心のなかでちょっと毒づく。と、後ろを通りがかった後輩の望月くんに見透かされたようで笑われた。いつも記録や管理ばっかりで分析も実務もしないくせにこういうことしてくるから、なおさらむかつく。

「えっと、すみません、そうです。……よろしくお願いします」

     ──予想的中。料金体系など事務的な事項を伝え、とりあえずこれを埋めてください、といってB4の角ばった紙を手渡すと彼女はまた、すみませんとあやまった。

 

     静かな室内に、彼女がペンを走らせる音だけが響く。住所、氏名、生年月日、家族構成、学歴に特技。依頼人が埋めるワークシートはじつにシンプルだ。ちょうどわたしが就活に明け暮れていたころまでぎりぎり使われていた、履歴書のそれに似ている。

     俗に就活代行と呼ばれる、こうしたビジネスが定着してもう4年ほどになる。「学生は勉学に専念するかわりに、別人に就職活動を委託してもよい」。天下の文理科省がこんなお触れを出したものだから、経団連や企業を巻き込んで、当時はお国全体が上へ下への大騒ぎ。結果、以下のルールが定められた。

     ひとつ。代理人による就職活動において、就職を希望する当人の能力を越える行為をおこなってはならない。ふたつ。代行業務に関しては、監督署の指導のもとに官民協働で設立・運営される第三セクターが請け負う。みっつ。代行を依頼した人物の個人情報は極めて重要なため、その機密性を保持する。

     そしてその結果生まれたのが、この事務所のような代行業者。わたしはこれから彼女の担当者として、彼女の就活を肩代わりすることになる。
     まずは希望する職種と本人の能力をマッチング。できるだけ意向には添いつつ、それでいて妥当な落としどころを探す。候補が絞り込めたら、そこではじめてエントリーを行う。完全にシステム化されてはいるものの、企業からの評判はおおむね上々。どうやら足切りや一次面接を設ける手間が省け、必要な人材から適任のものを選べるというのがいいらしい。
     必要とされれば事前のインターンとか職場にも顔を出すし、教育実習や医師国家試験すら代行する業者もいるらしい。そこまでくるともう誰のための就活かわからないけど、って彼女、ワークシート書き終わったんだ。おつかれさま、と心のなかで労いの言葉を浮かべて、声をかける。

「終わりましたら、ペンもご一緒にお渡しください」

「ああ、すみません。もうちょっとだけ、すみません」

     どうやらどこか埋まらないところがあるようで、紙きれを大事そうに抱え込まれてしまった。ああ、そんなにしたら曲がっちゃうよ。それにそんなにぺこぺこ謝られたら、まるでわたしが悪者みたいな気持ちになってくる。どうやらこの子、思ってた以上にしおらしい。

「いえ、ごゆっくりどうぞ。かっちりしたのを書こうと思わなくても大丈夫なので、お気軽に書いてみてください」

「はい。すみません」

     彼女はその後も何度か「すみません」を連発して、やがて観念したようにシートを提出して帰っていった。フォルダにしまう前にちらと盗み見ると、「希望する職種・業界」の欄がまっしろだった。これは骨が折れるかもしれない。

 

 

「……で、23連敗っすか。先輩も大変ですね」

「いちいち数えなくてよろしい。てかあんた、そんなに言うなら代わってよ」

「うひひ、無理ですよ。だいたい僕、女装は趣味じゃないんで」

     2ヶ月後。わたしは相変わらず事務所で腐っていた。これも相変わらず暇そうな望月くんをあしらうのも、いいかげんめんどうになってきつつある。
     ため息をついて、よせばいいのに、内定数を示した業績表を見上げてみる。うちの事務所は歩合給じゃないけど、わたしの業績はここしばらくの間低空飛行だ。世が世なら無駄飯ぐらい!と野次が飛んできそう。椅子に深く沈み込むと、業績トップの花巻さんを表すマグネットがさらに遠く、高くみえた。

「やっぱり、花巻さんみたいに、こう、女性の強みを活かした方がいいのかな」

「いやあ、花巻さんならいいですが先輩にはちょっと……ああいやすいません、先輩には先輩の良さがありますよ」

     冗談のつもりで呟いたはずが、なぜかなぐさめられた。おい望月、にやにやしてんじゃねえ。お前ちょっと殴らせろ。

「まあでも、志望が固まってないってのは厄介ですよね」

     そういう望月くんは、似合わないのに、えらくまじめな顔をしていた。

 

 

     なにをしてもしなくても、時間は等しく無情に過ぎる。彼女から依頼を受けてから、もう半年が経とうとしていた。普通の商売とはぎゃくで、依頼料は時間とともにディスカウントされていく。つまりもうほとんど利益が見込めないわけで、それでもわたしは、彼女の依頼にかかりきりだった。

     むかし通り抜けたはずの、自分の就活を思い出した。試験を受け、面接をこなし、会社で挨拶回りをして、それでも落ちる、何度も、なんども。正確には落とされているのは彼女なんだけど、自分に、彼女に、価値がないと言われているようで、そうではないといいたかった。でも何がしたいかわからなくて、何ができるかわからなくて、必死にもがいている。抜け出せる日は、果たしてくるのだろうか。

 

「先輩」

     声をかけられ振り向くと、顔になにかが飛んできた。よける間もなくて、思い切りぶち当たる。いたい。ばさっと落ちるそれを拾い上げると、彼女の書いたワークシートだった。

「望月くん、これ」

「あれ、先輩ファイル知りませんか?電話番号も住所もバッチリ載ってるやつ、どっかいっちゃって」

     そういって、望月くんはいつものいたずらっぽい笑いをうかべた。やっぱり、よくわからない。だけど。

「ありがとう」

「ん?何の話ですか?いやあ、まいったな。これでも管理に自信あるんだけど。いざとなったら、責任取らなきゃなあ」

     わたしはファイルを大事に抱えて、事務所をとびだした。

 


「この企業はどう?」

「すみません、そこは文章力は活かせるんですけど、リーダーシップが必要なのが私に向いてないかなって」

「じゃあこことか」

「そこは個人主義ですけど、残業が多いそうなので体力のない私には難しそうです、すみません」

「ならここは」

「すみません、いいと思うんですけど、どうにも熱意ある人材!のびっくりマークがひっかかって」

「そっか。あのさ」

「なんでしょう、すみません」

「いや、あなたどこにも行くところがないっていうけど、会社のことよくわかってるんだなって。わたしなんかより、ずっと」

「すみません、ありがとうございます」

「すみません、はいいよ。でも、そこはまあ、一緒にゆっくり直していってもらえばいいか」

「あの、それってもしかして」

「そうだね」

     幸い、うちの事務所には分析部門がある。だから彼女の能力はじゅうぶん役に立てる。

     大丈夫、あなた自身を活かせるところがきっとあるよ。心の中でそう叫んでみる。これは自分に言い聞かせているだけなのか、それとも彼女と踏み出した一歩なのか。でも。それでもなんとかなる気がして、

 

「ようこそ、我らが事務所へ。これから改めて、よろしくね」

     そういって、わたしは彼女、神原さんに向けて手を差し出した。

しまっちゃおうね?/片付け/ノルニル

     行き交う車のヘッドライトが濡れた路面に反射する。雨上がりの水たまりが所々に広がって、色づいた楓の落ち葉にまだら模様の染みを作る。仕事終わりの飲み会明けか、街角で浮かれるサラリーマンを横目に路地へと入る。

     嫌なことを何でも忘れさせてくれる店がある。そう聞いたのは、季節が変わるころだった。聞いたところ黒魔術や闇の儀式のようでワクワクする気持ちはある。だが俺もさすがに馬鹿じゃない、最初は眉唾程度に考えていた。

 

     今日の夕方、人事部長に仕事を頼まれた。どうやら先日の失態に関して他の部署に申し訳を立たせる、というのが理由らしいが、その見栄を押し付けられるこっちはたまったもんじゃない。これはまあ仕事だから仕方ないとして、最近思い当たるフシはいくつかあり、結果として慢性的な疲労がある。

     同期入社の宮辻さんと「おつかれ」を交わすのだけが唯一の救いだ。だいたい部長からの頼まれごとにイヤな顔ひとつせずやってのける、彼女はすごい。いっぽう俺のほうはといえば、やっていけないわけじゃないが、時おり大声で喚きたくなるのを必死に抑えることがあって、正直すこし辛い。それで、もしや本当に、と思って残業後にこんなところまで来たわけで、ああ、やっぱり俺は馬鹿だな。

 

     ──魂の買い取り・販売 サトミ洋品店

 

     噂の店は果たして、雑居ビルの地下に居を構えていた。繁華街の中にあって、辺りを異様な雰囲気が覆っている。薄暗い階段を降り、ドアに向かい合う。すこし躊躇いがあったが、心を決めてドアを開いた。

「いらっしゃい。……と言っても、もう店じまいですが」

     店内に入るやいなや、椅子に腰かけた店主らしき人物に声をかけられた。瘦せぎすで背が低く、腰が曲がっているものの顔はそう老けては見えない。年齢不詳、という感じだった。

「お客さん、『しまい』に来たのかい?」

     さらに言葉を投げかけられる。ニガヨモギにも似た、香の甘い香りが鼻につく。アンティーク調の調度品の中に、動物のホルマリン漬けや拷問の器具、怪しげな洋書、昆虫の標本、花が咲いたサボテンに民族の仮面が並ぶ。ひとしきり視線を巡らせ、俺はようやく店主へと向き直った。

「しまう、というか、イヤなことを忘れさせてくれる、と聞いて来たんだが」

「それはそれは、よくぞいらっしゃいました。ではさっそくご説明します。コチラをお手にとってみてください」

     店主はそう言うと、人形を手渡してきた。小さな頭と四肢が、これまた小さな胴体に無造作に縫い付けられたものだ。

「それはブゥードゥー教の儀式で使われるものでして、その司祭は一切の雑念を捨てるために人形に煩悩を託すと言われています。実際、モノは小さいですが、効果はテキメン!ですよ」

     いつの間に近寄ってきたのか、店主が興奮気味に耳元でささやきかけてくる。その目は血走り、上目遣いなのに妙な威圧感がある。

「いじめっ子のグループに入っていじめをやめさせた自分に感じた偽善者っぷりも、クラブの先輩に体操服をアクリル絵の具で染められた記憶もアナタ自身の親御さんのことも何なら恋の悩みだって、ぜんぶイヤなことだけ忘れられます。どうしますか?」

     なぜ知っているのか問おうとして、やめた。重要なのは原理やからくりじゃなく、本当に忘れられるかどうかだ。もはや怪しさしかないが、ここまで来ればもう後には退けない。俺は黙って頷いた。

 

「深く腰かけて、目を閉じてください」

     拘束具のついた椅子に縛り付けられ、言われた通りに目を瞑る。目の前は真っ暗なのに、むしろ視覚は研ぎ澄まされるかのようだ。

「さあ大きく息を吐いて、そのまま記憶を遡ってイメージを大きく羽ばたかせて。そこで形になったらぎゅっと押し固める!……そう、それがアナタの苦しみ。アナタの不幸のもとなのです」

     いくつもの後悔が、形を得て結びつく。記憶は輪郭を失い、ぼんやりとした靄へと姿を変える。

「最後にひとつ忠告です。たとえ思い出したくなっても、決して自分では思い出すことはできません。それでもいいですね?」

「ああ。構わない」

     俺は迷いなく答えた。店主はなおも尋ねる。

「しまっちゃおうね?」

     俺は人形を握りしめた。店主が何やら呪文を唱えた。

「結構。これでもう済みました。効果は一晩明けたあたりで現れるはずです。さ、人形はこちらにいただいて。さて。お代ですが、一件につき5千円。しめて2万5千円いただきます」

     意外に呆気ないものだ。魔法陣とか悪魔召喚とか、そういうのを期待していなかったといえば嘘になる。代金を渡すと気味の悪い手つきで札束を数え、確かにいただきました、とニヤニヤ呟いて店主は続けた。

「実はここ、質屋もやってまして。アナタの辛いこと苦しいこと、売りに出すこともできますがいかがいたしましょう」

「他人の苦しみなんて、いったい誰がわざわざそんなもの望んで買うんだ」

「まま、そこはモノ好きな方もいらっしゃるということで。どうします?」

「いいよ、好きにしてくれ。どうせもう二度と思い出したくもない記憶だ」

「わかりました。もし売れたら、ご連絡を差し上げます」

お客さんの秘密は守りますから、そういう店主の言葉を尻目に俺は店を出た。

 

     夢を見た。子供のころの夢。絵本、レゴ、ひとりぼっちの人生ゲーム。夢中になって遊んでいるところに、母親がやってきて「しまっちゃおうね?」と片付けをはじめた。いやだ、あと少し、もう少しだけ遊ばせて。伸ばした手はやはり、届かない。たいせつなものを手放すのにはいつも後悔がつきまとう。

 

     夜が明けた。目を覚ますと、目元が涙で濡れていた。店に行った記憶は残っている、だが何が嫌だったのか、それだけが思い出せない。

     会社に着いてすぐ、頼まれた仕事に取りかかった。いつもに比べて妙に集中できて、一週間かけてやろうと思っていたのが2日で終わった。

     仕事ができるようになると最初は褒められ、それがうれしかった。できることが増えるとだんだん褒められなくなり、失敗したときだけ怒られるようになった。一見損な役回りにも思えるが、それは「できて当たり前」という最高の評価をはじめにもらっている、という風に思えるようになった。そんなある日のこと。

     繁華街で宮辻さんを見つけた。考えてみれば、仕事に精を出してから、彼女と話す機会はほとんどなかった。あまり飲み会にも顔を出さず、終業後はすぐ帰り支度をはじめる彼女が、遅くにこんなところに一人でいるのは妙だ。悪いとは思ったが、気になったので後をつけてみる。

     追いかけると、宮辻さんは『サトミ洋品店』の前で立ち往生していた。ずいぶんと悩んでいる風だったが、やがて心を決めたようで地下の店内へと向かっていった。

     目の前で見たというのに現実味がなかった。どうしてあの人が、まるで信じられなかった。近所の牛丼屋で時間を潰し、閉店間際のサトミ洋品店へ駆け込んだ。

 

「ああ、お客さんご無沙汰です。また何かイヤなことでもありましたか?」

「違う、そうじゃない。さっき女性が来ただろう。彼女の悩みを教えてほしい」

「残念ですが、それは無理な相談です。お客さんの秘密は守る、言ったでしょう?」

     むかし世話になったとき、確かに店主はそう言った。そうだ、質問を変える必要がある。考えろ、落ち着いてよく考えるんだ。

「なあ、彼女は『しまった』んだよな?だったら、彼女がしまったイヤなことを買う、というのはできるのか?」

「ほう、良いところに目をつけられましたね。先ほどのお客さんは質に入れていきましたので、それは可能です」

「買わせてくれ。今すぐ」

「わかりました。ただ、もちろんお代はいただきます。それにしても……いや」

「なんだ?言いたいことがあるなら言えよ」

「いえ、お客さんもモノ好きだなあと思いまして。せっかくイヤな思い出から逃れられたのに、わざわざ好き好んで他人の分を背負うなんて。まったく、面白いです。ああ、これは失礼」

     店主が心から可笑しそうに笑っている。俺は黙って拘束椅子に座った。

 

     かつて望んだことと真逆の目的で、俺は目を閉じる。いったい俺は彼女の苦しみを知って、それでどうするというのだろう。俺は主人公にはなれないかもしれない、それでもいい。秘密を共有できるのは今夜だけで、明日の朝になって彼女が苦しみを忘れたとしても、俺だけはずっと覚えていたいと思った。でも、ひょっとしたら。迷いだらけだったが、それを打ち消すように人形を握りしめた。

好きなひとほど写真が少ない/気になるあの子/ノルニル

     数打ちゃ当たる、ということわざがある。
     サークルの仕事で、写真の整理をした。去年の夏にカメラを買ってから400日ほどになる。毎日欠かさず持ち歩いて、これまで撮りためた写真の数はぜんぶで2万枚弱。均すと一日あたり50枚、フィルムの時代では到底考えられない枚数だ。

     自分の写真をひとつひとつ確認するのは初めてだが、一人で出かけた先でたくさん撮っている割に、あんまり風景写真が上手くないということに気づいた。逆に人物のポートレートは上出来だ。それも作った写真ではなく、日常の一瞬を切り取ったようなオフショット。
     その時どんな状況だったか説明できるような、物語性のある写真が多くて、見返しているうちにクスッとなる。日を追うごとに上手く撮れているものが増えるので、撮影をこなし、構図を勉強するうちに少しずつ上達しているらしい。数打ちゃ当たる、たしかにその通りかも。
     とはいえ、腕が上がってもベストな表情を掴むのは難しい。目をつぶっていたり、顔が死んでいたり。いい写真を撮ろうとすると連写することになるので、必然的に枚数が増える、はずだったのだが。

 

     2万枚に目を通して気づいたのは、好きなひとほど写真の枚数が少ないということだった。好きなひと、というより「自分から見て距離の近い人」と言い換えてもいいかもしれない。
     フォルダを確認しても、ベストショットが2,3枚のうちに撮れている人は数人に偏っている。その他は20枚ほど撮ってようやくそれなりの写真が撮れる、というレベル。この傾向は男女問わず当てはまるので、たんに気恥ずかしいからとかじゃない。しかも、そういう写真はカメラに慣れてないうちからすでに上手いし。

     すこし理由を考えたが、自分が知っているからだと思った。その人がどんなときどんな表情の動きをするのか、どんな仕草をみせるのか。
     この人がこんな笑い方するときは喉元を覆ってるなとか、声に緊張が乗ってるから鼻に手を当ててるんじゃないかとか、そういうのがなんとなくわかる。耳で聞いて被写体を狙うこともあるから、写真には残らない音も重要な判断材料だ。
     とうぜん好きなひとほどよく観察するだろうから、笑った後に目を伏せて表情が曖昧になる、そのタイミングがわかる。ファインダーで一瞬を捉えてからシャッターを切るまで、場当たりでは心に垣根のようなものがあって、若干のタイムラグがある。知っていればそのチャンスを逃さずじわり感を切り取れる、すると渾身の写真があるならもういいやとなって枚数が減るという単純な仕組み、

 

     頭が痛い。こんな簡単なことに今ようやく気付いた。ちがう。ずっと前から知っていたのに見ないふりをしていた、たぶんこっちだ。
     ひとはきっと、思った以上に他人を見てる。他人も同じように、思った以上に自分を見てくれてる。人間味がないといわれるのが辛いと言いながら人を遠ざけてたのは自分自身で、こういう気づきすら人に伝える前に自分が救われたいから言葉にして、そうして人に伝えたはずのものが自分にかえってきて、それがようやく腑に落ちて染み渡ることで助けられてる。それでもきっと大丈夫だと教えてくれるのはいつもひとで、辛くて苦しくても、いつかはどうにかできると信じたい。

     ひとに大切なものをもらって、おかげで余裕ができた。周りにちゃんと目を向けたら、困っている人が大勢いた。でも本人が助けを求めないかぎり、自分から手を差し伸べることはできなくて、いま自分にできるのは話を聞いて、自分の言葉で語って、君のことを見てるよ、と全力でエールを送ることぐらい。もちろん、それでもうまくいかないときもある。
     でも、もしその人に勇気が出て、一歩でも踏み出すことができたら全力で支えたい、一緒に歩いてみたい。ひとからもらったやさしさをそのまま返すことはできないけど、それを誰かに受け渡していくことで自分も誰かのためになれたら。ずいぶん時間がかかったけど、そんな風に思えるようになった。

 

     だめだ。何度書き直しても小手先が使えないし、全然うまく書けない。つかそれ以前に話飛びすぎだし勝手に盛り上がって何言ってるんだこいつ、どう見てもやばいし普通じゃない。そもそも小学生のころ好いてくれた子を恥ずかしさのあまり泣かせて以来、女の子と友達以上に踏み込まなかったやつにこんな文章書かせる時点で無理がある。
     でも、どうやったってもう自分もひともちっとも嫌いになれなくて、だからなんとかなるって、いまはそう信じています。

 

     ええっと、本題に戻ると、ですね。ぶっちゃけフォルダ見られたら好きな子とか一発でバレます。なんかこれだけやけに上手くね?ってのがあるんで。そういうもんだと思います。読者のみんなもきっとそう。
     さあ、今日は楽しいパーティです。お話はこのぐらいにして、そろそろ目線をよろしくはいチーズ!カメラ向けたらどうか、笑ってくださいね。