ネズミ のすべての投稿

君の元カレとして/遺書/ネズミ

君と別れて数ヶ月が経ちました。調子はどうですか?今日、これを書き残そうとしたのは他でもなく、君の彼氏としての自分を殺すためです。

君と別れた後の数週間はまるで地獄にいるようでした。なにをしてても脳裏には君の姿が浮かんでいました。どこにいっても君の面影がチラついていて、下手に外に出ることもできない毎日。いっそ死んでしまった方が楽なのではないかと何度も何度も考えました。

でももういいんです。僕は前を向いて生きていくことを決めました。今は毎日がすごく充実しています。君がいなくたって楽しい日々を送ることができるんです。

この間はサークルの仲間たちでディズニーランドに行ってきました。もちろん女の子たちも一緒に。君と一緒に行ったときよりもずっとずっと楽しかったです。そして何を隠そう、僕はその女の子の中の1人のことが気になっています。明るくて笑顔が可愛い子です。話しててすごく楽しくて、時間を忘れされてくれます。君にはないものをたくさん持っています。もちろん付き合いたいなあと思っています。LINEもずっと続いているし、今度デートの約束もしました。とても順調に進んでいます。

どうですか?これでわかったでしょう。君のの彼氏としての僕はもういないんです。死んだんです。だからもう君との思い出も忘れていいですよね。君との写真も消していいですよね。君はどうですか?僕とのことをたまには思い出したりするのでしょうか。写真はもう消したのでしょうか。別れたことを後悔する瞬間があるのでしょうか。

まあ何はともあれ僕は今幸せに向かって歩み始めています。わかっているとは思いますが、君とはもう会うことができません。すれ違ったって挨拶もしません。だから君がもう会おうと言っても無駄です。見かけたときに声をかけても無駄です。もう君の彼氏ではないのだから。

最後になります。君もどうか幸せになってください。さようなら。

無謀なチャレンジ/全部雪のせいだ/ネズミ

 

センター試験一週間前。東京には雪が降った。テレビのニュースでは例によって、八王子駅前の見慣れた風景が中継される。同じ東京なのに都心と違って、大いに雪が降る八王子がそんなに珍しいですか。

まあけど中継をしたくなる気持ちもわからんではない。実際に東京のくせにバカみたいに雪が降るこの地域の気候には、こちらも迷惑している。今日も塾の自習室に勉強をしに行こうと思っていたのに、これでは家から出ることができない。幸い今日は日曜日。塾での授業がある日ではなかったので、一日中家で勉強することにした。はかどる姿はイメージできないが。

次の日、雪はすっかりやみ、雲一つない晴れとなった。3年生は既に授業がないが、結局一番落ち着いて勉強できるところは学校なので、僕は毎日のように学校に通っていた。もちろん今日も。外に出るとまだ雪は残っていた。それでも大通りにでると、除雪車でも通ったのか雪ははじの方へと追いやられていた。学校までは自転車で約40分。この環境でも僕は自転車で行くことをためらわない。

僕は自転車での登下校が好きだ。受験期になってから特に。勉強ばかりの毎日の中で、唯一何も考えずにいられる時間だ。走りながら受ける風も頭が冷えてちょうどいい。だからこのくらいの雪が積もっているくらいで、バスや電車で行こうという考えには至らない。だがその日、自転車を走らせてすぐ後悔をすることになる。ものすごく走りにくい。雪かきがされた大通りを見て、安心していたが裏道に入るとまだまだ雪はたんまりと積もっている。しかも昨夜シャーベット状だった雪が、今朝の寒さで凍り、スケートリンクみたいになっている場所が何か所もある。

いつもより時間はかかったが、なんとか家と学校の中間あたりまで来た。次第に雪の中の運転も慣れている。だがそんな油断が災いを呼ぶ。緩い下り坂にて、前輪がスケートリンクにとられそのまま派手にコケた。ただコケたわけではない。滑ってコケたのだ。今の時期に一番やってはいけないこと。縁起が悪いことこの上ない。

ここで急に話は受験が終わった後にとぶ。僕は全ての受験に失敗した。今でもあの時滑って転んだせいなのではないかと思っている。そう、全部雪のせいなのだ。

分かり合えない2人/喧嘩/ネズミ&杏仁

ねえねえ、今度の休みどこ行く?せっかく2人とも暇なんだからちょっと遠いとこまでデートしに行こうよ!

あー、その日創立記念日で平日だしさ、ディズニー行こうよ。絶対空いてるし。

え、またディズニー?もういい加減さ、事あるごとにディズニー行こうっていうのやめてくれないかな。

え、なんでよ。だって最後に行ったの2ヶ月も前のことだよ?もうそろそろ行きたくなるでしょ。新しいアトラクションもできたことだしさ。

その感覚がおかしいって言ってんの。私からしたら2ヶ月前に行ったばっかだから!新アトラクションだか何だかしらないけど、全く興味ないし!大体なんなの。この際だから言わせてもらうけど、あんたディズニーディズニーうるさい!何がそんなにいいの?ミッキー?ミッキーがそんなに好きなの?あれのなにがいいんだかよくわからない。あんなのたかがねずみじゃん。

ちょ…おま…たかがねずみって!それすごい人の数を敵に回してるのわかってる?!彼はスーパースターなんだよ!ものすごいカリスマ性を持っていて、世界中にファンがいるの。

スーパースターwwあのねずみがwwまあ世界中にファンがいるってのはわかるけどさ、その理由がわからない。だってそこまで可愛くないじゃん。だったらもっと可愛いキャラクターいるし。

もう可愛い可愛くないとかいう世界じゃないんだよ!おれたちは彼を崇拝してるの!

ちょwwww崇拝ってwwwwやばいやばい。そこまでいくと本当に病気だわ。大体なんでそこまでディズニーが好きになったの?

あんまり覚えてない。親がおれに言葉を覚えさせるために見せてたビデオがディズニー系のものだったり、小さい頃からよくディズニーランドに連れてってもらってたから、多分物心つく前にはもうディズニーが好きだった。

あー、英才教育ってわけだ。これはもう取り返しがつかないってやつね。ちなみに私はね、最初から最後までちゃんと見たことのあるディズニー映画ほとんどないよ。

え!嘘だろ!!信じられない!!逆にディズニー映画見ないでなに見てんだよ!普通に生きてれば出会うディズニー映画なんてたくさんあるよ!

ディズニーじゃなくても見る映画なんて山ほどあるよ!大体どれがディズニー映画なのかってあうのもよくわかってないし。

ちょっとお前それ本気で言ってんのか?まさかシュレックがディズニーだなんて言い出さないよな?有名なディズニー映画なんていっぱいあるじゃんか!お前だってアナ雪くらい知ってるだろ!

シュレックってディズニーじゃないんだ(笑)私にとってはどれも同じだよ。ディズニーかどうかなんて大したことじゃないってこと。とにかく今度の休みディズニーなんて嫌だからね。言ってなかったけど、私着ぐるみ苦手なんだから。

え、なんで?

だって目が笑ってなくてなんか怖いじゃん。

いやいやいや。目が笑ってないどころか毎回表情違うじゃん。

それこそ本気でいってんの?怖ッwwwだって着ぐるみなんだよ?表情が違うわけないじゃん!やめてよそんな冗談言うの。

違うんだよ!彼らはちゃんと喜怒哀楽を表現してるの!それもわかんないのか。後ね、着ぐるみって言うな。ディズニーではその言葉NGだからね。着ぐるみだなんて思ってないから。

うわー…そこまで重症だとは思ってなかったわ。もうこれ以上ドン引きするようなこと言わないでくれる?嫌いになりそう。

ドン引きするようなことって?ミッキーは世界で1人だって信じてることとか?

やめて!!アホなの!?ミッキーが世界に1人な訳ないじゃん!

バカ!ミッキーは世界で1人しかいないんだよ!世界中のディズニーランドを移動できる鍵持ってるんだから、いつでもどこでも世界を行ったり来たりできるんだよ!

もういや…こんな頭の中お花畑ふわふわ男…。現実見てよ!

夢の国で現実みる必要なんてないんだよ!お前こそもう少し夢見れるようになれよ!

うるさい!このディズニー馬鹿!!もうあなたとなんか付き合ってられない!

お前みたいな頭カチカチ女こっちから願い下げだよ!じゃあな!!

波風立たさずに/自分大好き/ネズミ

 

常々言っていることは、あまり目立ちたくないということ。まあ厳密に言えば、波風を立たせたくない。変に動いて厄介な物事を抱えたくないし、面倒くさそうなことには巻き込まれないように首を突っ込まない。後のことを考えてしまってあまり怒ることもしないし、文句も言わない。大きなアクションを起こすことがないから、大きな失敗はしないけど大きな成功もない。普通が一番。高校に入ってから少ししてからは、僕はこのように生きてきた。

 

今回、「自分大好き」というテーマを受けて、僕はどんな自分が好きなのだろうかと少し考えてみた。すると生き方とは真反対の自分が好きだということに気づいた。僕は過去の栄光に浸るのが好きだ。つまり輝いている自分が好き。高校の頃やっていたバンドで大勢を盛り上げていた自分や、サークルの合宿でネタをやって爆笑をかっさらった自分を思い出してはニヤニヤしている。このときは紛れもなく自分が輝いていた瞬間であり、自分が好きな自分だ。

結局はそういうことだ。普段から目立ちたくないだの無難で良いだの言っているが、目立つことは嫌いじゃない。むしろ好きなのかもしれない。良い意味での目立つに限られるが。ただ失敗が怖いだけだ。バンドの話もネタの話もうまくいったから、今良い思い出として残っているが一歩間違っていたら大やけどしていたかもしれない。結果が出てからじゃないと、その自分が好きになれない。挑戦している自分が好きなわけではない。良い結果を残した自分が好きなのだ。

だから現在進行形で何かに挑戦している自分を好きになることはまずほとんどない。いい結果が訪れて、そこで初めてその時の自分が輝きだす。こんな形でしか自分を好きになれないが、そんな輝く思い出を持っている自分が結局は好きだ。

輝きたい願望はあるが、なんでもかんでもやっていたら波風が立ってしまう。だからほとんどのことは動かずに諦めてしまう。挑戦するときは、勝率が高いと確信したときだけ。こんな生き方でいいのかと思ってしまうこともたまにあるけど、こんな生き方をしている自分も嫌いではないから多分この先も変わらないのだと思う。

手と手/あったかい/ネズミ

 

いつからか「あったかい」と言われることがたまらなく好きになっていた。

 

12月も中旬になり、寒さは深くなる一方だ。待ち合わせの時間ちょうどくらいの時間に到着し、携帯を開いてみると一件のLINEが入っていた。あいつからだ。

(ごめん!トイレ行ってくるから10分くらい遅くなる!)

またか。なぜだかおれは誰が相手でも待たされることが多い。まあもう慣れてるからいいのだけど。この間なんて、4時に来るって言っていた友達が6時に来た。なめられてんのかな。別に待つこと自体はそこまで嫌いではないのだが、相手に待たせても大丈夫な相手って認識されているのがなんだか気に食わない。だからって怒る気にもなれない。器の小っちゃい男だって思われたくないし。

だけど最近、本当にちょっとのことでイライラするようになっている気がする。バイト先や、通学中や、友人との付き合いなどで。以前なら絶対気にもしなかったことにも過敏に反応するようになってしまい、その度に自分の小ささにまたイライラする。

就活を目前に控え、周りがインターンだの何だのとせかせかとしている。そんな周りの状況についていけているのかという焦りと、将来に対する漠然とした不安。これらが相まって、気づかないうちにおれの中にストレスが溜まっていっているのかもしれない。

ツイッターも見終わったし、特にやることがなくなった。待たされる側の人間にとってあるまじきことだが、空いた時間をつぶすのが圧倒的に下手だ。時計を見ると先程から既に10分が経っていた。顔をあげてみるが、目の前を流れている人ごみの中にあいつの姿はない。これだよ。あいつが「〇分遅れる!」といって提示してきた時間に間に合ったためしがない。遅くてもいいからできるだけ正確な時間をいってくれた方が、こちらとしてもありがたいのに。またイライラしてる。それに気づいてイライラはさらに増す。

それから2、3分後。あいつが遠くに見えた。寒がりなだけあって、全身を完璧に防寒している。ただ手袋はしてない。めっちゃ笑顔。なんだかこっちがイライラしてるのが馬鹿らしくなるほど。

「ごめんごめん、待った?」

「いや、それほど………」

体感的にはすごい待っているが、ここは優しい嘘をつく。

「そっか。じゃあいこ!」

そういうとおれの手をつかんで引っ張っていく。相変わらずこいつの手の冷たさには驚かされる。氷みたいだ。そして振り返るとおれにこういう。

「やっぱり手、あったかいね」

この瞬間、今まで感じていたイライラも溜まっていたストレスも全て報われた気になる。胸の中のもやもやもこいつは簡単に奪っていく。こういう人はきっと手放したらいけない。そう思ったおれは、ぎゅっと手を握り返した。

釜めしを食す(制限時間有り)/食レポ/ネズミ

 

その日、僕ら3人は奥多摩の山奥に来ていた。目的はキャニオニング。川の上流に行き、身体一つで滝を下ったり岩から飛び込んだりする超アウトドアなアクティビティだ。午前10時50分頃、僕らは車を走らせすでにその施設の近くまで来ていた。集合時間は12時と定められており、少し時間があるので早めのお昼ごはんを食べようということになった。だが奥多摩とはくそ田舎で有名な場所だ。ご飯を食べようにも、お店が中々見つからない。コンビニで済ませてもよかったが、これからめちゃくちゃ体を動かすのだ。どうせならしっかりと食べたい。

店探しに苦労する中、先輩がまともそうな店をネットで見つけた。その名も「釜めし なかい」。ちょうど11時開店だったし、とりあえずまともな飯を食べられればそれでよかったので、至急その店に向かった。

そこにはちょうど開店の直前ぐらいに到着した。車を専用駐車場に止めようとしたが、すでに空いていない。僕らは不穏な空気を感じ取った。なんで開店前なのに埋まってるの?不思議に思いつつも、少し離れた第二駐車場に車を止め店に向かう。するとそこには既に多くの人が店の前で開店を待っていた。うそでしょ、ここ有名店なの?こんなくそ田舎の山奥なのに?時間に余裕があるとはいえないが、他にあてもないのでここで食べることに決めた。

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さすがに開店前から来ていただけあって、意外とすぐ入ることができた。座敷に座りメニューを開くと、どれもまあまあお高い。釜めしを食べようと思ったら、一番安くても1550円はする。正直こちらは牛丼屋感覚で入ってきているから、予算はかなりオーバーだ。でもせっかく釜めしが有名なのだから、3人とも釜めしを頼んだ。ふと外を見るとすでに行列ができている。めちゃくちゃ適当にここを選んでいる僕らはなんだか申し訳ない気持ちになった。

注文したまでは良いが、なかなか料理が来ない。気づけば集合時間の30分前になっていた。ここから集合場所までは約10分。もう食べる時間があんまり残されていない。だんだん焦ってきた。集合時間25分前、やっと釜めしがきた。

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めっちゃうまそう。釜めしだけかと思ったら、結構な量の水炊きまでついてる。この時点で食事に割くことの出来る時間は15分。いや15分でこれ食べきれるか?だが四の五の言っている暇なんてない。とにかく急いで食べ始めた。

まず水炊きを口に運ぶ。ちょっと待って。うっま。色だけ見るとただの白湯みたいなのにしっかりとした味がついている。白菜にもちゃんとシャキシャキ感があって食感でも楽しめる。次に本命の釜めし。こちらもまた抜群にうまい。味はしょっぱ過ぎず、薄すぎずといった絶妙な味の濃さ。時々あるおこげがまた食欲を増幅させる。あーこれもっと味わって食べたかった。ただ今の僕らには時間がない。もはや釜めしを水炊きで流し込んでいるような状態。傍からみたら、こいつら早食い対決でもしてんのかって程の速度で食していく。本当においしかった。おまけのお饅頭までおいしかった。

残さず食べたし、なんとか時間も間に合ったが、ものすごいもったいない感を感じながら「釜めし なかい」を後にした。

東京都内の醜い争い/夢の対決/ネズミ

 

いやー自分みたいに市民の分際でホント生意気なんですけど、今日はなんか区民対市民の対決って聞いたんで普段思ってることちょこっとだけ言ってもいいですかね。いやっ本当に勝つ気なんてさらさらないですよ!そんな市民の身分で区民様に勝とうだなんて思う訳ないじゃないですか!ただちょっと………不満………といいますか。そういうことを言える場にしてもらったらいいなと思ってます。

 

いやー東京23区って本当にすごいですよね。新宿、渋谷、六本木!いつでも流行の発信地でおしゃれ。どこに行くにしてもアクセスが良いし、何でもそろっているからその辺にいれば全部済んじゃいますよね。そんな場所が近くにある23区。本当に素晴らしいと思います。

ただね、あなたたちその辺だけが東京だと思っていませんか?区民の人たちと話しているとね、時々感じるんですよ。23区以外の地域を小馬鹿にしている姿勢をね。やー確かに確かに、23区に比べたら何もないですよこっちは。天気予報でも同じ東京都のはずなのに「東京」と「八王子」で区別されたり、バラエティー番組なんかの統計データが東京って銘打ってるはずなのに23区内のデータだけで完結されていたり。あれ?我々も東京都民だよな?って思うことも多々ありますよ。だけどそれが、私たちを見下していい理由なんかにはならないじゃないですか。「八王子?ああ、山梨県ねww」みたいな冗談。まじで笑えないですよ?こっちは腹立ってるんですよ。23区以外だって住所に「東京都」ってついたれっきとした東京なんです。いい加減私たちのことも都民って認めてください。

あとそこにいる練馬区民。ちょっとこっち来て座れ。お前らいっぱしの区民面してるけどさ、ほぼ「市」だからね?「区」なのには間違いないけど、ギリッギリの「区」だしもはや「市」と同じくらい田舎なんだよ。立川とか三鷹の方がよっぽど栄えてるからね。そんなんで区民気取って市民を馬鹿にするなんて良い度胸してるよな。

あとそっちにいる北区民。お前らもこっち来て座れ。お前らに関してはもうほぼ埼玉だからね?おれらのこと山梨って馬鹿にするけど、お前らは都道府県魅力度ランキングで山梨にも劣る埼玉だからね?いや埼玉を馬鹿にするわけじゃないっすよ。いいところだと思います、埼玉。ただおれらを馬鹿にする前にまず自分の立場をわきまえろって話。

あっ、すいません。ちょっとピンポイントで怒りがこみあげてきちゃって口調が強くなってしまいました。以上で市民側の主張を終わりたいと思います。今後とも23区以外の東京をよろしくお願いいたします。

撃退命令/大作戦/ネズミ

 

「メーデー!メーデー!ただいまゲートにて、大量の侵入者を確認した。侵入後、彼らは何手にも分かれた模様。各地の白血球隊員たちは直ちに撃退準備を開始せよ。繰り返す。各地の白血球隊員たちは直ちに撃退準備を開始せよ」

2016年11月16日、私の身体は外部からのウイルスの侵入を許した。それと同時に身体の中は一斉にざわつき始める。

「今の指令を聞いただろう!ここは我々、白血球部隊の出番だ!これより侵入者の討伐にでる。皆の者、覚悟をきめろ!」

「イエッサー!!」

身体の至る所にある白血球部隊のほとんどが動き出した。彼らの役目は外部から体内に侵入した細菌やウイルスを殲滅させることだ。いわば兵隊みたいなもので、彼らの働き次第で今後の体調が決まってくる。

「こちら指令室。状況を説明せよ」

「こちら第三部隊。たった今、侵入者と接触し戦闘を開始しました。どうやら我々が危惧していたインフルエンザウイルスではないようです。ですがとにかくすごい数で、それなりに強いウイルスだと思われます。苦戦を強いられるのは間違いありません。おまけにこの身体の主人は最近、不健康な生活を送っていました。免疫が下がっており、我々の戦闘力も20%程落ちていると考えておいた方がいいかもしれません」

「了解した。状況は逐一報告するように。その状況に対応した策をとっていく」

 

それから6時間後。戦況はあまり良いとは言えなかった。ウイルス勢は思った以上に強く、暴れることをやめなかった。

「こちら第5部隊!戦況は極めて不利です!すでに半分以上の白血球たちがやられました。なにか対策をお願いします!」

「こうなっては仕方がない。体温をあげるぞ。体を震わせろ」

(あれ、ちょっと寒いな。風でも引いたかな)

 

熱を上げることによって、白血球たちの活動は活発になる。熱を上げるにはまず寒気を感じさせ、体を震わせるのだ。ここから約3時間後、体温は38.0℃にまで上がっていた。

「こちら第4部隊!我々の戦闘力は上がったのですが、それでもまだ敵いません!今回の侵入者はかなりの強さです。さらなる熱の上昇を要求します」

「それはできない。これ以上あげると他の器官に負担を与えることになってしまう」

「ですが、これでは我々が負けてしまいます!負けてしまえば他の器官に負担がかかるどころではなくなってしまいますよ!」

「むう………。やむをえないか。他の器官たちよ、すまない。もう少しだけ熱を上げさせてくれ」

 

(やっばい。身体めちゃくちゃだるい。また熱上がったかな。………。え?39.6℃?これおれ死ぬんじゃないの?)

その頃体内では。

「うおらーーーー!!!力湧いてきたーー!!!覚悟しろよウイルスども!!」

その2日後、白血球部隊は完全勝利をおさめ、3日後には熱も下がったという。

あの日のかえりみち/片付け/ネズミ

 

いつもの帰り道。変わらない景色。足取りは重い。今、自分の身に何が起ころうとかまいやしない。そんな気分だ。

今日は人生最悪の日だ。2年間付き合っていた彼女に突然別れを告げられた。今もまだ状況を整理できていない。予想外すぎることが起きて頭はパンク状態だ。ただこれだけは確実に言える。心は砕かれた。粉々に。

駅のホームに着くと、そこにはすでに電車が到着していた。発車のベルが鳴り出すが、走る気すら起きない。どうせあと7、8分後には次のが来んだろ。電車を目の前で逃し、ベンチに座った。

今日起きたことを冷静に振り返ってみる。もう彼女には会えない。この残酷すぎる事実が僕の体に重くのしかかってきた。うそだろ?もうあの笑顔を見られない?もうあの手を握れない?もうあの体を抱きしめられない?もうあいつに会えない?だんだん現実味を帯びてきて、涙が溢れ出しそうになる。頭をうなだれながら、あいつのことばかりを考えていたら、いつのまにか次の電車もすでに発車していた。もう7、8分待つしかない。

 

「まもなく〇〇行の電車がまいります」

重い腰をなんとか持ち上げて、電車に乗り込んだ。いつもと同じ景色が流れていく。ついこの間までは、デートの余韻に浸りながら、この景色を見ていた。いつもなら「今日は楽しかった!ありがとう!」なんていうLINEを送ろうとしている頃だろう。今日はただ一点を見つめることしかできない。もはや眼球を動かすことすら面倒だった。次から次へと表に出てこようとする悲しみを抑えることで精一杯だった。

好きだった。本当に好きだった。この気持ちがもう彼女に伝わることが決してないと思うと、胸が締め付けられるような思いになる。もうあいつの中にはおれがいない。おれがいることのできる場所がない。出会い、付き合ったという事実は今更、ひるがえすことなんてできない。忘れることなんてできない。というか、できるというのならとっくにやっている。この悲しみのうえで生きていく他ないのだ。この電車を降りたら、全てを受け止めて気持ちを切り替えよう。そう決めた。

砕けた心はまだひとかけらも片づけられてなんていない。

頑張って/気になるあの子/ネズミ

 

先日行われたスタジオでの1年生の自己紹介。さすがに清田スタジオに入るだけあって、みんなおもしろいこと言うなーとか思いながら聞いていた。その後にあった、顔とペンネームを一致させるゲーム。あの時こそ、直後であったからなんとか全問正解をすることができたけど、今となっては顔とペンネームが一致するような人なんて片手の指で数えられるくらいしかいない。

そんな人を覚えるのも人から覚えられるのも苦手な僕だ。すいません、既に本名はおろかペンネームすら覚えてないのだけど、1人印象に残っている人がいる。「大学が楽しくない」とひたすら連呼していた女の子だ。何かに取り憑かれてるのって思うほど楽しくないことを主張してたし、それでもなんとかして楽しもうとしている姿が垣間見えておもしろかった。それと同時に入学して間もない頃の自分を思い出した。

入学したての頃は楽しくなかった。なんでだろうって今考えても明確な答えはない。ただそれは大学だけでなく、高校に入学したときも同じような感情を抱いていたような気がする。中学も高校もそれなりに楽しかった。前にいた環境が楽しいとどうしても新しい環境が受け入れがたくなる。「あれが前と違う、これが前と違う」と違ったところばかり目立ってしまって、違和感を感じながら過ごしていくことになる。それが居心地の悪さになってしまい、楽しくないと感じるようになる。僕の場合、楽しくなさの正体を自分なりに考えてもこんなことしか出て来ない。

まあ新しい環境が受け入れられいというのが原因なのだとしたら、それは慣れを待てば解決する。実際、大学3年目となる今は中学、高校同様、大学がそれなりに楽しいと思えるようになった。ただ僕は普段から、浅い考えで生きている。良くも悪くもあまり深く考えることなんてない。僕の考えの深さなんて多分、浸かったとしても膝上くらいだと思う。子供のプールレベル。

女の子は男よりも精神年齢が全然高いっていうし、楽しくないっていう悩みのレベルもきっと僕からしたら高次元なものなんだろう。だからアドバイスなんて出来やしないし、きっと楽しくなるなんて無責任な言葉は言えないけど一瞬ではあるがなんとか大学を楽しもうとしている姿を見ると、救ってあげたくなる。大学の楽しさをなんとか見出してほしい。ここから約3年半後、大学がすごく楽しかったって言えるようになるといいですね。