仄塵 のすべての投稿

まさに/遺書/仄塵

私はもうこの世にはいないということでいいでしょうか。どのような死に方をしたのか、最期にはどんな顔をしていたのか、あなたがそれを知っているのなら教えて欲しい。いや、多分魂が抜けていった時は、上空からその様子をじーと見ていたと思うから、きっともう知っている、死んだ自分が。

霊感がないからか、幽霊やおばけの存在は信じない。けれど人に魂があることと、死ぬ時にそれが肉体から抜けていくことと、来世があることは、無信仰だけど信じている。そのいつか肉体から離脱する意識の塊は私の死を見届けてくれることを期待している。まあその時が来たらもう「私」は「私」じゃなくなるけど。

ここまで読んだあなたは、突拍子もない話に困惑しているのかもしれない。言いたいのは、私は死そのものに恐怖を感じないこと。しかし人間として生きることは、ただ呼吸と脈拍を維持すれば良いのではなく、価値の創出が期待されるわけである。私はそれが出来ないまま死んでしまった。だから本当に両親に対して申し訳ないとは思っている。稼ぐようになったら最低でも月1万は家に入れると決めていたのに、それが出来なくてごめんなさい。

そう、死ぬ前の私は、財産も何も、「価値」と言えるものを残すことができなかった。だから遺書を書く立場ではないと思うが、唯一残るのは、私の体だ。唯一自分のものは、自分の思う形で始末してほしい。

まず臓器提供については、移植出来るものはすべて提供したい。私の角膜で誰かが見えるようになるとか、私の腎臓で誰かの命が救われるとか、そんな偉そうな理由ではなく、ただただそのまま焼かれてしまうのは勿体無いから、まだ30年は問題なく使えるのに。だからもし移植が成功したとしても、その患者からの感謝状とか、両方の精神的負担になるようなことはしないで頂きたい。人道的な考えで提供したわけでもないから。

それでも私の体はやがて焼却炉の中で焼かれて、焼骨になるのは知っている。そして実際に親族が貰えるのはほんの少しだけで、骨壺に入りきれなかった分は廃棄されてしまうことも知っている。その遺骨だが、是非樹木葬でお願いしたい。墓石が冷たくてその下にずっといるのは嫌いのと、自分が木の養分になれるのが不思議でやってみたいから。できれば果実が実る木がいい。養分としての私の成果がちゃんと出る。でもできれば食べて欲しくないな、その果実。

というわけで、これでもうこの世に思い残すことはない。今は空中に浮いてこの俗世を淡々と見渡しているのか。それともすでに別の世界に行ってしまったのか。もしくは今までの記憶が消されて転生させたのか。いずれにせよ、もう私はあなたに会うことはないだろう。
さようなら。

雪の宿/せんぶ雪のせいだ/仄塵

去年の12月、雪のせいで転んちゃったけど、基本的にわたしは雪が大好きなんだ。生れも過去に住んでいた場所も冬は常に雪が積もるような地方ではなかったから、雪が降ると街が非日常的な感じに溢れる。

わたしは非日常的なことが狂気になるほど大好きなんだ。それこそ出演アーティストと関係なくイベントになると高まるからライブ会場でバイトしているとこもある。雪か人身事故で電車が止まって巻き込まれたとしても、迷惑だなと微かに思ってはいるが、SNSを開き路線の名前で検索をかけ、見知らぬ人の愚痴を見てニヤニヤする。最後に非常に不謹慎だと承知ですか、一時期地震や津波の映像や、発生当日のNHK緊急報道を動画サイトで釣り一日中布団にこもって見ていた。もしこのような災害がわたしに襲った時、心の中「うぉぉぉぉぉーー」になりながら死んでいくのに違いない。

死に興味を持っているのも、死ぬ瞬間も死んだ後の体験は非日常的すぎて、その上にこの世に生きている人間誰も経験したことがないからだ。飛行機に乗っている時に、もし今墜落して爆発したら、わたしは痛みを感じる余裕があるのか?絶望するのも、もがく暇もなく一瞬でわたしの死亡が決まるもんなら、そこまで怖くないかも。

ここまで来て「死」の文字が一行に3つもある文章を書いてしまったのは、リアルに雪のせいかも知れない。以上の内容を決して誰かに向かって話すこともないだろう。何よりわたしのぶっ飛んだ脳に不快を感じた震災地の人々に深くお詫び申し上げたい。

誰にも迷惑をかけない程度でもう少し考えると、世の中はどうせネガティヴをポジティヴに転換しないと生きていられないから、わたしの脳は今の人類から進化を遂げたものかもしれない。そう、事件や事故が発生した時、状況と危険性をきちんと認識した上で、ある意味それを楽しめるという新種だ。自己分析では「臨機応変な対応力」と言えるだろう。この新種はハプニングが命で、生きていればそれが尽きることはない。

最後に、キチガイっぷりを首尾一貫にするべく、今回のテーマで書こうと思っていたせんべいの雪の宿で締めたいと思う。子供のころ大好きで食べていた雪の宿、つい最近表面に散りばめているのは砂糖ではなくクリームだと知り少し驚いた。そこそこ大きい地震が起こると次の日に慌ててスーパーに非常食を買いに行くが、高い確率で雪の宿を買ってしまう。理由は甘みと塩み両方持っているから、それしか食べるものがなくなったときも、一週間くらいは飽きずに食べられる、といったところだ。その雪の宿だが、多くの場合災害時に活躍することもなく、わたしのさりげない日常の中で食べられる運命を辿ることになる。

殺し合い/共作/いせ&仄塵

#その一    by仄塵

課題のレポートを書こうと思いパソコンを開いているけど、中々書き進めない。最上階の5階に住んでいるのに、1階ロビーの音がやはり聞こえてくる。

そう、今日はクリスマス。学生会館に住んでいる暇な連中がロビーでクリスマスパーティを開いているのだ。バンドを組んでいる男子たちは機材も借りてきて、スペシャルライブもやるらしい。だが私は興味なし、そもそもそういう集まりが苦手なんだ。

イヤホンをつけて音楽でも流そうと思って立ち上がり、コートを掛けた玄関の方へ向かう。そのポケットにイヤホンが入っている。

「キャーー!!」

突然玄関ドアの向こうから女の子の悲鳴が聞こえた。

それは聞いた人にも恐怖が伝染するような声で、私はすぐパーティ騒ぎではなく何かの危険が彼女に迫っていると判断し、深呼吸して廊下に出た。

まず左を見た。そこに同じく状況確認に部屋を出た501号室のユウヤくんと503号室のサキちゃんがいた。3人は目線を交わしてから、一斉に右の方を見る。そうしたら一番奥の部屋の前に、同じ5階住民のハナコちゃんの固まった姿がいた。

嫌な予感がした。そしてこの嫌な予感が的中したのだ。

私たち3人が一番奥の部屋に行き、中を覗いたら、ここに住んでいるいせちゃんが座卓の横に倒れ、おでこから流れた血がベージュのカーペットを赤に染めた。

この中で一番年上というのもあり、私は率先して部屋の中に入った。いせちゃんの名前を呼びながら彼女の鼻の下に指を当て、息を感じなかった。

私の動きが止まったのを察して、ついてきたハナコちゃんとサキちゃんが鼻を啜り始めた。

「英語の課題をLINEでいせちゃんに聞いてて、ずっと返信こないから直接来てみようと思ったら、鍵がかかってなくて、ドアを開けたらいせちゃんが血を流して倒れてた」

いせちゃんと普段から仲がいいハナコちゃんが第一発見者なんて残酷すぎた。

座卓の上を見たら、食べかけのうどんと冷奴みたいなものがあった。晩御飯を食べている最中に何が起きたのか?

「とりあえず警察を呼ばないと」

サキちゃんが言った。そうだ、犯人が今どこかに隠れているのかも知れない、この学生会館はすごく危険だ。

「お前たち余計なことはしないよな」

この声はユウヤくん。私たち3人が立ち上がって見てたら、彼はいつの間にかキッチンに入って、今出てきた、包丁を右手に持って。

「おとなしくしないと、あいつと同じ命の絶え方をしてしまうぞ」

「お前たちのスマホを出せ。警察とか呼んでどうするの」

包丁の刃が私たちに向けられた。しかし私は急いで自分の部屋を出たから当然携帯なんで持っていない。サキちゃんも持っていないようだ。唯一ハナコちゃんがパーカーのポケットからスマホを出して、床にそっと置いた。学園祭の福引きで当たったクマのぬいぐるみのスマホケース、この前デパートで売っているのを見かけて、結構な値段がした。

そうするとユウヤくんは学習デスクの上に置いてあるセロハンテープを取って、私たちお互いの手首と足首を縛らせた。

「もうほんとになんなの!このクソ野郎。みんな死ね!!」

先まで正気っぽかったユウヤくんは突然暴れ出して、包丁を空気に向かって振り回し始めた。もう殺されてしまうと思って、私は目を強く瞑った。

だが殺されることはなかった。

「もういい。明日になったらお前らを解放するから。その時警察を呼びたいなら呼べばいい。とりあえず今夜はおとなしくしろ!」

そう言い放って彼は包丁を持って部屋を出て行った。

 

突然静まった部屋。強く縛られている手首は痛いが、ようやく少しだけ冷静を取り戻して状況を考えることができた。

なぜユウヤくんはいせちゃんを殺したのか。彼は確か前までいせちゃんに片思いをしていて、告白はしたが断れた話が小耳に挟んだ。でもいせちゃんは学部全体の中でもかなり上位の成績を取っていて、彼の方は学校をサボりまくりの上に連んでる学外の友達はよくやらかして警察沙汰になる噂も聞いている。

周りを見て、いせちゃんは一人暮らしを始めたばかりの一年生なのに部屋は綺麗に片付けされている。そしてやはり気になるのは部屋のあちこちに置いてある教科書や本の数。そもそも私はあんな分厚い英語の辞書を持っていない。こんなに真面目でいい子だったいせちゃん……

隣のハナコちゃんはずっと泣いている。かなりのショックを受けたのもあるだろうけど、二人は本当に仲がいいよな。何より出身が同じ福井県なだけでなく、実家もすごく近いみたい。ここの大学に来てから知り合ったのだけど、一緒にいるのを見てなんだか地元の友達同士の雰囲気が出てて羨ましかった。

こんなことを考えている時に、スマホのメッセージ受信音がこの部屋に響いた。ハナコちゃんのスマホはユウヤくんが持っていったはず。この音は…私はデスクにあったプリントの下から弱く光ってる光に気づいた。いせちゃんのスマホだ!

3人でなんとかデスクまで体を引きずり、緊急電話をかけた。

「警察です。事件ですか?事故ですか?」

 

私たちはすぐ優しい女刑事さんに助けられ、そしてユウヤくんは逮捕された。しかし彼は、殺人容疑を否認した。

そして警察は彼の部屋から隠された覚醒剤を発見し、ユウヤくんは覚醒剤の使用を認めた。

「俺はただクスリやってるのをバレたくないから、彼女たちが警察呼ぶのを止めただけだ」

そして翌日、法医鑑定の結果からいせちゃんの死因は食中毒であると判明した。おでこの傷はおそらく吐くに急いでトイレへ行く途中に転んで、床に置いてあった辞書にぶつかっただけだ。

毒が入っていたのは、あの日彼女が晩御飯に食べた胡麻豆腐で、警察の捜査が進み、いせちゃんのお母さんが実家から送ったと思われるダンボールの中からまだ未開封の同じものが見つかった。

しかしいせちゃんのお母さんは最近荷物なんて送ってなかった。警察は福井県に行き、彼女の実家付近のコンビニで防犯カメラ映像を調べることにした。

 

「森田さん、ありました。伝票に記載している発送日に、いせさんの部屋にあったのと同じようなダンボールを送ったのは一人の若い女性で、特徴としてクマのぬいぐるみのスマホケースを持っているのを確認できました」

 

 

 

#その二    byいせ

『某日某所にて 仄塵氏 死亡確認!』

死因は中毒死であることが判明し、警察は自殺と他殺の両方の可能性があるとみて捜査を進めています。

***
【やってはみたが…】
はい。冒頭でいきなり仄塵さんが死んでしまいました、という設定を述べただけでございます。今回のテーマは共同制作でパートナー相手が死ぬ状況を記す「殺し合い」です。普段は主に自分自身の経験にまつわる話題をエッセイ風にまとめることで文章をなしている私は、これを機に小説を書けるようになろう!と意気込んでいたわけです。

――ごめんなさい。自分なりにかなり奮闘してはみたのですがどうしても人様にお目にかけられるようなストーリーは作ることができませんでした!悲しいかな、アイディアが浮かんでもクソつまんなくなる予感しかしないんです。当たり前と言えば、当たり前なのかもしれませんがまたもや自分の読書量の少なさや経験値の低さを思い知らされました。これも良い勉強だと思って精進します。

【タッグパートナーのこと】
ですが“共同制作”という協力者(パートナー)の存在が不可欠なありがたい企画を自分の無力故に棒に振るわけにはいかないのです。このテーマ設定は「互いを殺人事件の被害者に見立てて文章を書く」こと、またその構図を生かして「相手のバックグラウンドなどを想像する」ことを想定してのものです。幸い私は後者についてはできることは少なからずあるように思えました。
私のタッグのお相手を仄塵さんがつとめて下さることになったのも、きっと何かのご縁です。ただ数回だけ顔を合わせた方について、第一印象やお話しした内容だけでそのひとの後ろにあるものを想像し、表現すること、さらにその行為が相手に容認されていることなんてなかなかないと思うのです。仄塵さん!共同制作にかこつけてあなたのことを考えました。

【仄塵さんはこんな方?】※独断と偏見
初っぱなのWSで同じグループだったのを覚えています。そして、今回の企画で接点をもつのは二回目くらいでしょうか。一回目と二回目では向き合って話した印象はずいぶん違うものでした。
最初はWSで淡々とグループの進行をされていたことや、初めて読む文章の雰囲気から『どう親しめばよいか分からない』と感じていました。今から思えば、スタジオに入って初めてのWSで緊張したことも多分に影響していたのでしょうね。しかし、その仄塵さんに対する親しみがたいという先入観が再び会話することで真逆の方向に変化します。
彼女は今回私と共同制作のタッグを組むということで、話し合いをしたところ、仄塵さんはまず、

「最近どうですか?」

と質問されたのです。WSの文章のことですか、と私が聞き返すと、そうではなく最近の私の生活についてのことだと言います。そこで印象ががらりと変わりました!仄塵さんは相手が「どういう人間なのか」について知ろうという意図があるのだと感じ、自分に興味を向けてもらえた嬉しさがこみ上げました。私に足りない「目の前の人に対する興味関心」が相手に自己重要感を与えるものだと改めて気がつきました。
その後の会話でも彼女は「私の考え」を何度も引き出そうとし、また私は彼女の出身地や経験をいくらか知りました。

最終的に私の仄塵さんのイメージは『堅実な家庭で育った優しいリーダー格』っていうところに落ち着きました。

【あとがき、というか保険】
まずは「殺し合い」のテーマと小説形態そっちのけで好き勝手に書いてすみません。土壇場でいつもの形に変えてしましました。なんだか、テーマ「気になるあの子」みたいになってすみません。
ちなみに冒頭にある仄塵さんの幻の殺害報告ですが、死因を中毒死にしたのは、もし私ができるとしたらコーヒーに毒混ぜることくらいだろうなと思ったからです。
どうでもいいですが補足までに。

とまあそんなところで、最後まで読んで下さってありがとうございました。

いい人図鑑/自分大好き/仄塵

正直しっかり者の自覚がある。
もういい人でいるのやめたい。

 

自分自身に対して結構適当なところがあるけど、友人はもちろん、たとえ赤の他人でも、高い確率で無理してもいい人で居ようとする傾向がある。これはもしや相手が得して、自分が損ばっかりするパターンなのか?!

この前友たちと旅行に行った。集合場所は羽田の出発ロビー。それはもう大きな成長だった。前ならバスで行く自分が方向音痴の彼女を京急線の改札前まで向かいに行ったのかも。無事に合流した後、私は小さい袋に入っているヘアアクセサリーを彼女に渡した。

「前一緒に買い物に行った時オレンジのシュシュが売ってなかったよね。その後たまたま可愛いの見かけたから買っておいた〜」

「わーありがと。いくらだったの?」

「いいのいいの、そんな高くないから、クリスマスプレゼントということで」


もちろん私のクリスマスプレゼントなんて彼女が準備してなかった。

そして二人は保安検査場に向かった。搭乗券代わりのQRコードは事前に私がLINEで彼女に送ったもの。当然のことで飛行機とホテルを予約したのは私。今やネットで予約することでかなり便利になったが、それでも旅行会社に頼らず時間帯のいい飛行機と、値段と立地のバランスが取れたホテルを見つけるには時間と体力がかかる。それと比べお金を出しただけで旅行会社よりも周到なプランが用意されている彼女は非常に涼しい顔。

無事に目的地に到着。今回もやはりガイドさん役は私。ホテルへのアクセスはすでにアプリ中の「ルートメモ」に保存済み。それでも「市内に行く電車は1000円弱かかるけどsuicaの残高大丈夫?」と彼女に気を配る。そしてそして、ホテルに到着遅れの電話をかけたのも私で、チェックインの時代表者になるのも私。

荷物もホテルに置いたところで、どこに行くか、どこで夕飯を食べるか。それも心配無用であり、なぜなら来る前に私が3日間のスケジュールを組んで、すでに手帳に書き留めてある。改善点があるとしたらスポットを詰めすぎて移動時間と彼女の写真撮影時間を考慮に入れてなくて全部回れないところかな。

正直言うと地方都市はあんまりいい観光スポットがなく、特に車移動ができなくて郊外に行けない場合。それでも旅行情報サイトの記事をいっぱい読んで、行き甲斐のあるところをピックアップしている。そしてこれらのスポットから離れすぎない評判のいいお店を事前にチェックして、この土地のグルメをちゃんと堪能できるように計画してある。

ここまで読んで、相手が何も文句をつけないし一緒に遊べるからそれでいいじゃないって思う人はきっといる。しかしこれは文句つけないじゃなくてただの無能だと悟ったのであった。彼女がそもそもじゃ○んを知らないことが最近判明し、観光スポットやお店の情報はどこで得られるかもさっぱりのようだ。もし自分が以上全部の手配を彼女に任せたら、無事にホテルでチェックインできるか、コンビニ以外食べるところが見つかるのかも危くなるじゃないかとよく思う。

相手が出来ない子だからコミュニケーション取らないで自分が全部やるのが一番早い。さらに二人で行くよりむしろ一人の方が消費エネルギーも少ないしよりクオリティの高い旅ができるから一人で行った方が断然にいい。頑張って友たちと遊ぶようにはしているけど本音はとっくにぼっちに退化している。

両親にそれを相談したら、「自分より能力のある人と遊びなさい。無能な友たちは捨てろ」とアドバイスをもらった。やはり現在考えている男性のタイプーー「とにかく年齢も学歴も能力も全部自分より上の人」が間違っていないようだ。さもなければ結局辛いのは自分である。

こんなこと言ってるけど本当は色々世話を焼いている自分が大好きなんじゃないかって?!ここに少しでも意識というものがあるのなら絶対に「万能なお姉さんキャラ」が嫌だと思っている。

とにかくもうこれ以上に いい人にならないように注意しなくちゃ。

厄介な/あったかい/仄塵

ごく普通の1日だった。すべての面において。

 

12月22日、目覚めたら微量な日光がカーテンの上から差し込んで早朝を知らせている。枕の横に置いてあるケータイを手で探り当てる。ホームボタンを押し、強い光線と戦いながら時間を確認→6:50分。設定したアラームの10分前か。相変わらず正確すぎる体内時計。次は同じ枕横のリモコンを「ビー」と、就寝中の乾燥防止で消したエアコンをつける。そうしないと寒すぎて布団からは出られない。

結局起きたままアラームが鳴るのを待っていた。ベッドの上にいる時間はすべて睡眠時間としてカウントされるといった感覚で。それにトラウマ感満載のいつもの音楽が鳴ったら、1秒以内で消せるように。

テレビをなんとなくつけたら、ちょうどWSの天気コーナー。「今日も雲空が広がり、やや強い北風が吹き、例年並みの寒さとなる予想です」ってファーの耳当てをつけてるお姉ちゃんが言う。そうかそうか、心理的ダメージを与える雲空と物理的に衣服のガードを破壊して体を襲う北風の名コンビが今日も晴々に登場か。

やがてWSも朝の飯テロコーナーになり、お湯を沸かしたら素早くコーンスープを作る。はいすぐに20秒混ぜてーー、はいしばらく放置ーー。その時間を利用して着替える。コーンスープを作りながら今日のコーディネート構想を固めるのが職人技。いつものニットとミディアム丈の黒スカートだけれども。

テーブルの前に戻り、コーンスープを一口飲む。あっ、まだ暑くて飲めないや。時間がないから先にメイクを済ませちゃおう。リップを塗らなければなんとかセーフだ。

 

 

……
……
……

 

 

「ただいま」って部屋を占領している冷たい空気に言う。

「ビー」
またエアコンをつける。引っ越しの時に面倒とか言って暖房道具はこれだけだ。あったかい空気が回るまでコートを着たまま買ってきた野菜や牛乳などを冷蔵庫に入れる。そうだ、クリームシチュー、今年まだ食べてないじゃないか。

もう寒くなくなったのかな?じゃ着替えよう。コートをハンガーにかけて、タートルネックのニットをリップが付かないように脱いて…あれ、なんかむやみにあったかい物体が…そうだ、今日はユニ◯ロのヒートテクのインナーを装備していた。しかし特にあったかく感じなかったような…その熱量を私が分け合えてもらわなかったということか。

8時を回った頃、約束通りクリームシチューを作って食べ終わった。リップを落としたからか、唇がもう乾燥している。あったかくなりたければ水分を犠牲にしないといけない。まあとりあえず食器をキッチンに運んでからリップクリームを塗ろう。

「ギクッ」
あっ、腰が…おかしいぞ。帰りの満員電車で2駅の間変な姿勢で浮いたから、やっぱり腰にきちゃったか。手を後ろに回り腰に当たってみると、なんか温かみを感じる。そういえば負傷している時に、いつも患部があったかくなるんだよな。

 

冷感湿布を探さなくちゃ……

げんまい/食レポ/仄塵

玄米生活をはじめてみました。

以前から発芽玄米を白ごはんに混ぜて炊いていたが、10キロのコシヒカリがようやく食べ切ったタイミングで、ネットで5キロの玄米を注文。発芽じゃなく本格的な玄米ですから普通炊きでは無理なわけで、幸いなことにニトリで買った3合炊きの炊飯器が玄米炊き機能が付いていた。

さっそく炊いてみようと。。。おっと、行けない。玄米は今すぐ食べたいと言って、簡単に炊かせてもらえるような軽いヤツではない。まずは機嫌を伺うことから始めなくちゃ。たっぷりの水につかせて5時間、ようやく頬が膨らんできて、美味しい玄米ごはんになる心構えができているようだ。水を捨て軽くとき、水位線どおりに天然水を入れる。ようやく炊飯ボタンが押せた!あとは炊き上がるのをじっくり待つのみ。今までずっと早炊きを使ってきた自分にとってはなかなかの修行である。

2時間近くは待たされ、ようやく炊飯ボタンが消灯し保温ボタンに切り替えた。いざ、オープン!水蒸気が天井を目指しまっすぐ飛んで行って、炊き立てのご飯がここにあった。ぬか層が多く残されている特に黄色いヤツらが一番上に来ちゃっているが、全体をほぐすと、白っぽいお米も姿を現し、美味しそうな玄米ご飯ができあがる。お茶碗いっぱいによそって、残りは一食分ずつに分けて冷凍保存する。

さぁさぁ、食べよう食べよう、心にも体にもいい玄米ごはんを。ちゃんと味わうためにいっぱい入れすぎないで、適量を口に運ぶ。まずは軽く噛んでみる。うんうん、非常にやわらかい、白米との区別がつかなくなるくらいだ。やっぱり玄米ちゃんを優しくしてあげることは大事。そしてしっかり噛むと、玄米の粒々の食感が分かってくる。確かに白米よりは少し硬いが、その固いぬか層を突破したら、中のもちもちが白ごはんより強い甘みで味蕾を刺激する。時間をかけて噛むことが必要となる玄米ご飯が早食いを防ぎ、胃にやさしいことはもちろん、噛む回数を増やすとダイエットの効果もあるらしい。

この玄米ごはんをじっくり味わうために、濃い味のおかずは避けた方が良い。今夜のおかずは野菜たっぷりポカポカポトフ。しかもいつもの手抜きポトフじゃなく、ちょっと本格的に作ってみた。まずオリーブオイルで具材を炒めてから水とコンソメを入れ、蓋をして煮込む。キャベツが柔らかくなったらウィンナーを入れ、塩と黒こしょうで味を調える。コンソメの優しい味と黒こしょうの辛みがマッチして、一口飲んだら体が温まる。そしてお待ちかねのウィンナータイム。噛むと肉汁がはじけだし、肉のうまみとスモークの香りが口の中に充満する。ポトフは全体的にあっさりしているからこそ、このウィンナーの豪奢の美味しさが際立つ。

行けない、ポトフばっかり食べてごはんが全然進んでいない。玄米ごはんが冷めてしまうと固くなっちゃうから、やはりおかずが美味しくなりすぎるとだめということだ。

泥試合/夢の対決/仄塵

◯タカテレビ  スタジオ1

司会者がステージ奥から登場、演台にたつ。

白「みなさんこんばんは。今夜の『シロとクロ』にようこそ。わたくしは司会の白でございます。どうぞよろしく」

司会者がお辞儀をし、観客席から拍手あり。

白「今夜みなさんと議論したいのは、色の問題です。最近は気温も下がり、すっかり冬となりましたね。今年は例年より厳しい寒さとなるようですが、みなさんはいかがお過ごしでしょうか。たとえ外に雪が降っていても、電球色の明かりで照らされた部屋でクッキーを食べながら紅茶でも飲んでいると、暖かく感じるが、わたくしは庶民なままです。(笑い声)今の季節になると、ますます暖色の有り難さを感じますね。ですが今夜の主役は、寒色です。『ただの色名が気分を表す形容詞になるなんてアイツ調子乗るんじゃないよ』と暖色のクズ共がこたつを囲んで愚痴を言ってます。今日はそのような人たちに集まってもらって、彼らそして我々の不満を寒色にぶつけてもらいましょう。それでは、寒色代表、青さんの登場です」

紹介VTRあり。観客席の一番後ろの列の端っこで座っていた青がステージに上がり、右側のパイプ椅子に座る。

白「青さんこんばんは。またお会いできて光栄です。今回はパイプ椅子しかご用意できませんでしたがあなたにはお似合いだと思いますのでどうぞおかけください」

白「それでは今夜寒色に突っ込んでもらう方々をご紹介しましょう」

カメラはステージ左側の雛壇を写す。

白「まずは青永遠のライバル、赤さんです。あなたの熱量のおかげでわたくしのドリンクに入ってた氷はもう溶けちゃいました。もし今日その怒りの炎がスタジオを燃やしてしまったら弁償してもらいますよ。どうぞよろしく」

オーバーリアクションをしている赤の様子をカメラが抜く。

白「続いては今年流行りのジェンダーレスカラーでよく青とコンビを組まれていたピンクちゃんです。正直あなたみたいなお花畑さんはこの番組のスタンスにあっていない、可愛い顔だけで視聴率が取れると思うなよ!今日はよろしく」

カメラがダッフィーのぬいぐるみを持って手を顔の横で振っているピンクを写す。

白「最後はグレーさんです。寒色の仲間だと思われていることが大嫌いみたいなので出演を熱望していました。しかし我々無色彩のグループでもこんな優柔不断なヤツは要らないので、早く居場所を見つけると良いですね。どうぞよろしく」

紳士的な微笑みを見せるグレーをアップで写したカメラマンが体調不良になる。

白「青さん、今日のメンツは期待できますね。…あれ?あなたは青さんではないよね。もうしかして紫さん?もう3分くらいここに座っているのに気付きませんでした。なんであなたがここにいるの?」

紫「こんばんは紫です。実は青さんはですね、今日の出演を引き受けた直後から意欲の低下と食欲不振の症状ができて、昨日から心療内科に通うことになりました。今回の出演辞退はドクターストップを受けたということです。緑のヤツは自分が中性色だって言い切っていて絶対出ないと言っていたから、今回は僕が寒色代表になりました」

白「あら、そうなんですね。最近青さんは多忙だって聞いているからストレスが溜まったのかも知りませんね。まあこんなことどうでもいいので、紫さんは今日しっかり寒色代表として活躍してくださいね」

白「それでは早速参りましょう。まずは赤さんです」

白が雛壇の隣に座り、赤が演台に向かう。

赤「みなさんこんばんは。我々暖色はもう耐えられません。寒色共はいつまで被害者ヅラを被るつもりですか?暗いだけじゃなく、冷静、信頼のもお前たちのイメージなんだろう。官公庁や工業系企業のイメージカラーとして愛されているのに、自分たちが不憫で暖色の方が優遇されていることを二度と主張しないで頂きたい。最後におい紫!あなたの色に俺様の血が入ってることを忘れてないよな!」

赤は雛壇に戻る。

白「続いてはピンクちゃんです」

ピンク「皆様おきげんよう。ピンクでございます。ジェンダーレスカラーが嫌いです。一見私は可愛い女の子代表なんですが、自由に生きることが夢です。女だからとか、言われたくないのに、ジェンダーレスカラーでピンク=女にされて耐えられませんでした。私はその理由を必死に考えて、やっぱり青さんなどの寒色のキャラが強すぎたからと思った。あなたとコンビを組まれたら私は一生小娘なままです。どうにかしてください」

白「相変わらずの頭の悪さですね。最後はグレーさんです」

グレー「こんばんは。私を見てなんとなく都会的、冷たいという印象を思い浮かぶ方が多いではないでしょうか。僕はただこの場を借りて弁駁したい。僕がこのような薄情な人間ではない。元々我々無色彩は暖色でも寒色でもありません。ただ僕グレーは、白黒と違い色味を帯びることが可能になっています。ということは、僕は暖色でも寒色でもなれるのです。みなさんが僕を冷たく感じるのは、寒色たちが僕に紛れ込んでいるからです。僕が言いたいことは以上となります。暖色と寒色のみなさん、今後もこのおしゃれ代表格な僕と仲良くしてください。損にはさせませんよ。」

グレーが雛壇に戻り、白が演台に立つ。

白「グレー、あなたはまだみなさんに嫌われている理由がわからないの?もういい、番組の時間も迫ってきていますので、最後は今回代打でお越しくださいました紫さんに一言お願います。」

紫「そうですね。我々寒色が今回の出演を引き受けたのは、出演料を日本うつ病学会に寄付するためです。今後もその変わらない、変えられないアイデンティティを持って生きていきます。」

白「ありがとうございました。次回の『シロとクロ』は太陽光さんにお越しして頂き、今日のような争いの根源を探ることにします。それではまた次週お会いしましょう。さようなら」

出演者たちは笑顔で手を振る。

 

 

(パロティのつもりだったのですが全くできませんでした。リンクを貼っておきます。)

http://www.bilibili.com/video/av2143934/

 

ディズニーデート大作戦/大作戦/仄塵

一ヶ月後の今日、何の日だと思いますか?そう、クリスマスでございます。今年のクリスマスの過ごし方、何を考えておられますか?

子供の時、イブはお父さんお母さんと家近くのデパートへぶらっと行き、広場の大きいクリスマスツリーとイルミネーションを見て、そのデパートの高級スーパーでおやつを買ってもらった。割と充実した満足感の高いクリスマスの過ごし方だった。

一人暮らしになり、食だけのクリスマスになった。10月のうちに横浜駅の高島屋でホールのクリスマスケーキを予約して、イブの日は学校帰りに受け取ってからスーパーでローストチキンを買う。それもそれで幸せだった。

しかし今年のクリスマスは、ディズニーに行きたいという願望がむやみに心を平穏を乱す。三年目のイブぼっちケーキはもう耐えられない!って心の中の人が抗議してるらしい。

クリスマスのディズニーはよし行こう!って言ったらリュックを背負って舞浜駅で降りられるもんじゃない。絶対条件はなんと言っても、「一緒に行く人がいる」こと。別に女友たちと行っても変ではないが、その肝心の友たちは今年彼氏ができた。クリスマスは彼氏をほったらかしにして自分とディズニーへ行くわけがない。それなら3人で…いや何を考えてるのかお前は。

自然的に一緒に行く彼氏的な存在が必要ということに気づいた。ダブルデートとか最高に浮かれてるじゃん。しかし時限は一ヶ月、12月25日を過ぎたら意味がないんだ。今から作戦をしっかり立て、少しでも成功率を上げたいところ。題して、「クリスマスのディズニーデート大作戦」

 

1st STAGE あの人と出会う

恋愛に踏み出す第一歩である。自然にできないのなら、こっちから積極的に出会いを求めるしかない。その際は勉強でも計算でも何でもする。

(以下ネット記事から抜粋)

  • 自分磨きをする、見られている意識を常に持つ
  • 下向き禁止。常に周りの男をしっかり見る
  • 誘いを断らない、勉強も就活も後回しとりあえず行く

以上の事項を徹底的に守れれば、2週間見込みでディズニーへ行く人に出会い、お互い一目惚れするあの0.1秒が訪れてくるはず。

 

2nd STAGE ディズニーへ行く約束をする

ファーストステージをクリアできればあとは簡単だ。付き合ってから2週間も経っていない二人はまだ一目惚れの感覚が残って、しかも相手のダメなところを発見する時間もないから、ラブラブのピークだと予想できる。ここで「クリスマスどこ行きたい?」と聞かれ、「二人のはじめてのクリスマスだから一生忘れない思い出を作りたい」、「今年まだディズニーに行けてないの」とかで匂わせ、ディズニーデートの約束をする。

 

3rdSTAGE フルな女子力を出す準備

 クリスマスまで2週間切っているので、急いでデートの準備に取り掛かる。

  • ヘアサロン、ネイルサロン、美容エステを通う
  • 黒、灰色、茶を避けて服を選ぶ
  • 揚げ物を避け、早寝を心掛け、ニキビを予防する
  • 「初デートの注意事項」「異性がキュンとする仕草」などのまとめ記事を読み込む

 

Last STAGE 舞浜があなたを待っている

準備万端で迎えるリア充デビューの日。4時に起きてナチュラルメークをしっかりする。そしてバスで家の最寄り駅に着き、ちょっとおしゃれした彼がそこで待っている。実は3日前のラインで

20:12

「当日どこで会う?」

「舞浜駅でも新木場駅でもいいよ」

「そう」

20:17

「でもお互い家近いし、やっぱり俺が仄ちゃんの最寄りで待ってるから一緒に行こう」

「え、いいの?」

「嬉しい❤電車の時間退屈だから」

なんて来ちゃったから、電車で話す話題も一応考えとく。そういえば音楽の趣味が合う人がいいな、そうしたらイヤホン半分こにして音楽を聴くのも◎

いざ夢の王国についたら、もう何も考えず楽しむ。「目標達成おめでとう」のくす玉は、自分の中でこっそり割ることにしよう。

 

 

 

 

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【現実見るPlan B】その一 レンタル彼氏を借りる

彼氏が出来る目処が全く立たず1週間を切り、それでも「デートらしき」ことがしたい場合は、レンタル彼氏に手を出す。でも時期的には空いている「タレント」がいるかどうかは不明であり、そして繁忙期追加料金が発生する恐れがある。

 

【現実見るPlan B】その二 クリスマスぼっちディズニーを敢行し、有名になる

浮かれたカップルとグループに混ざって堂々と歩き、気分によってミニーちゃんのカチューシャも着用しディズニーを満喫する。終電で帰り、次の日に「一人でクリスマスのディズニー行ってきた」と題するブログを投稿し、一時間で閲覧数2万を超え、ツイッターにもリンクが貼られ、1日経たないうちに超有名人になる。

言い訳/片付け/仄塵

「ただいま」

もちろん真っ暗な部屋に返事をしてくれる人なんていない。この凍りつくような暗闇をもう1秒も耐えられないかのように、恭子はすぐに玄関の照明をつけた。少し暗いけど暖かみのあるオレンジの光だ。スーパーのレジ袋とポストに入ってた下着のカタログをとりあえず玄関先の床に置いて、ブーティのサイドジッパーを下ろす。脱いた靴を雑に足で揃え、靴箱に入り切れないパンプス2足とムートンブーツをさらに隅に寄せ、このワインレッドのブーティを並べるスペースを確保した。

レジ袋を拾い、再びリービングの暗闇に向かう。ドアのすぐ横に電気のスイッチがあって、それを押して、シーリングライトがつけるのをしばらく待つ。4本の直管型蛍光灯がまず一本、そしてもう一本、最後に残りの二本が同時に灯る。スイッチを押してから最初の一本がつけるまでの所要時間は5秒、この5秒間は部屋のどこを眺めても一面の漆黒であり、失明しているかのように身動きも取れずにただドアのところに立ち尽くす。

パッと蛍光灯から光の合図が聞こえて、と同時に自分のため息が耳に入る。1日が終わり帰って来たマイホームは散らかしている。それ以上に悲惨な生活体験はあるまい。恭子はイケアのショールームに暮らすのが夢だったため、ダイニングテーブルもソファもワークデスクも部屋に取り揃えている。そのどれもこれも今や侵入窃盗の事件現場のようだ。

ドラマに出てくるようなOLの部屋は自分の世界には存在しない、友たちを招いてホームパティーをするなら一週間の掃除期間がないと無理。そんな自分の部屋はもうしかしてゴミ屋敷、なんて考えたことなくも、問い詰められても否定し続ける。「ちゃんと片付けられる側の人間なんです」って。

只々、時間がないだけなんだ。

ダイニングテーブルに置いている洗っていない食器は、昨晩久々に自炊しようと思って、それなら綺麗に加工してインスタに載せようと、本気出し過ぎて家にある食器の半分以上を使っちゃった。そして一人で黙々食べ終わった後の空虚感で片付けるモチベーションが消えた。

デスクの上にフタも閉めていないファンデーションが置いてある。それは今朝今日のコーディネートに悩まされて、最終的に15分しかメイクの時間がなく、それでも粗末してはならないと、メイク完了したらすぐ家を飛び出したからだ。

あとソファに積み重ねている脱ぎっぱなしの服。最近は会社の仕事が忙しくて残業が続き、家に帰ったらとりあえず横になりたい一心だった。気付けばお気に入りのピンク色のブラウスも床に落ちていた。

「自分の時間が欲しいな」

恭子は再び12月の冷たい空気に話しかける。人に見られるところは身だしなみをきちんとしていて、おしゃれな業界で働き、仕事もまあまあ出来る今時のイケてるOL。しかし誰に見られることもなく、自分の住み心地だけが関係している部屋の片付けが引かれるくらい手を抜いている。でも見られてないから、セーフだ。

新年が近づいている。この時だけは綺麗なお部屋で温かいお雑煮を食べたい。残りの半月間は、友人誰一人からも旅行やイベントの誘いが来ないように。

思い出せるような、彼/気になるあの子/仄塵

今までの人生の中で、私は何人とすれ違ったのか。また何人と会話を交わし、何人の心をちらっと覗くことが出来、何人の心に痕跡を残したのか。

↑あまりにもクソみたいな文章だね。締め切りも迫ってるし、とにかく何かを書かないと、という一心で書いたヤツは。

人という対象はあまりにも重い。できればモノだけを身の回りに置いておいて欲しい。しかし人相手のやり取りをやらないとーーたとえ他人に見せ付けるためだけにやっているとしてもーー地球という文化圏では障害者扱いされてしまうから嫌だ。

しかも一人の異性について文章を書く。これは告白文の公開発表のほかに何があり得ると言うのだ。悩ましい。いつもこのような葛藤に悩むから人間関係の処理に手こずってるのだなと思った。この文章の意義は書くという行為自体、あるいは手がキーボードに伸ばす以前の時間にある。

↑なんて早々保険を掛けたりして、もういい加減に本文に入らないと。

 

誰かに似てると言われたことある?新しいものを認識する時は、知っているものから類似なのを探すのは自分の慣用手段だ。しかし有名人とかじゃなくて自分の世界に存在していた人と似ているなんか思ったら、そこにはすでに取り込まれた私がいる。

彼は高校のクラスメイトだった。教室の後ろに座る人たちはいつも何かの共通点がある。その「席の近い人たち」の男女グループに彼も自分もいた。ちなみに卒業のひと月前にその中からカップルが成立した。女の子は自分の親友だった。放課後の帰り道に相談もされた。

同級生とはいえ、彼の性格が子供っぽいからみんなに愛されていた。しかし「子供っぽい」について本人は否定し続ける。男の友たちからも「お前仕方ないな」と甘々に扱われていた。当然好きとかは思わなかった。むしろ妄想の対象ならいつも彼と一緒に行動するあの身長の高い、顔立ちが欧米人みたいな男の子だった。

似てるのはなんとなく顔、客観的に見れば違うかもしれない。だが一度成立した結び付きは心の中に確かなものとなって、それを原因に特別なプログラムが発動する。気になるってもう普通の気分じゃないのかもしれない。さりげなく振舞っても、本当は何かを狙っている。

急に誰なのか種明かししたくなくなったから、ここら辺にしときます。