「棘」カテゴリーアーカイブ

巻きついて締めつける/棘/ふとん

やめとけばいいのに、女だけの空間に飛び込んでしまった。

 

ヒップホップみたいなのはともかく、女子だけで踊るセクシーなダンスをやる人って自分のこと可愛いと思ってるに決まっている。そうじゃなきゃ踊れない。

 

私もそのひとりだ。

 

中学のときからニコニコで踊ってみてる人とかAKBにものすごく憧れて、夢中で振り付けを覚えた。

 

別に体を動かすのが楽しいわけじゃなかった。踊ってる自分が可愛いと思ってたから楽しかったのだ。アイドルになって男から声援を受けてるのを妄想するのが好きだった。

 

まあそんな感じの気持ちでサークルに入ったのだ。踊ったら目立てるかなと思ったから。
そしたらそこは当たり前だけど女子しかいない空間で、考えてみればずっと共学の私はそんな空間に長時間いるのはこれまでの人生で無かったことだった。

 
女子しかいないって、まず自分の立ち位置がわからない。仲良くなった女子ならいいけどそうじゃない女子ばっかりのなかでどうすればいいのか。

 

男子にこう思われたい、を中心に生きてきたのだ。べつに女子にどう思われようとかわりとどうでもいいはずで、それなら素を出せばいいんだけど、自分の素は女子の中で立ち位置がわからなくて困っていることくらいしかなかった。

 

練習きついしやめちゃおうと思いながら、でも公演に出て目立つのも悪くないと思いながら、一年間経った。

 

最初ぎこちなくなりまくりだった同期とだいぶ話せるようになって、そのせいで、女子しかいないし面倒だから行かないつもりだった清陵祭の打ち上げに、なんとなく行こうかなって思ってしまった。

 

自分をなめていた。練習中とかそのあとの雑談をやっとふつうに同期と出来るくらいのレベルなのに、打ち上げは先輩も後輩もいるし、しかもお話をするための時間を過ごさないといけないのだ。

 

基本みんな自分が1番可愛いと思ってる異様な空間。実際外から見ればこのサークルは可愛い子ばっかだ。バラの密集地帯。中にいるとちくちくする。

 

ビッチな先輩が何人かいて、ビッチな自分が好きでしょうがない。他の子に「この子ほんと男関係やばいんだよー」とか言われると嬉しくてしょうがなさそうにしながら「今は改心して清純だもんー」とか言う。

 

下品な話がぱっと通じない本当に純粋な後輩とかがいると、「ずっと純粋でいたほうがいいよー」とか言う。内心そう思ってるはずがない。むしろばかにしている。

 

これを批判すると思ったらそうじゃない。
いやめっちゃわかる。モテる自分をほかの女子の前で誇示できるのって嬉しいの、すごいわかる。

 

こう客観的なのが本心になってしまうと、反応にすごい困る。本当は純粋じゃないからなんにも驚かないのに、「えー先輩そんなことするんですか!?」なんて白々しく驚けないし、だからって「私もビッチなんですー」なんて言う意味がわからない。

 

いや、ビッチです、という単純な言葉で片付くなら言うのもありかもしれないけど、私は男好きで変態だけど処女だからビッチじゃないのだ。説明がめんどくさい。中途半端にさらけ出したら説明しないといけなくなるのが本当にめんどくさい。心を開いてもない先輩に自己開示する利益がない。

 
結局私は少し驚くふりをしてみたりうなずいてみたり1番当たり障りのない反応をするふりをしながらほとんど口を開かなかった。
時間と飲み代を無駄にしたと思った。
踊るのまあまあ楽しかったけど、もういいや。このサークルやめよ、とも思った。

華やかで目立つけど身動きがとれない場所に、無理していることはないのだ。

魔の言葉/棘/やきさば

「ごめん…熱出た…」

 

一番苦手な言葉である。わたしは友だちからのこの言葉が最強に苦手だ。特に遊ぶ約束をしていた日に突然こういう連絡が来たとき。

なぜかって?なんて答えればいいか全く見当がつかないからだ。

 

候補その1「まじか…大丈夫?」

→熱が出てるのに大丈夫なわけがない。聞いたところで無駄。しかもテンションが重くて相手が逆にやりずらそう。

 

候補その2「まじで!!??え!!なんで!どうしたの!?」

→驚きが過ぎて逆にうざい。なんで熱が出たかなんて本人が一番知りたいだろうし、それをわたしが知ったところで逆にどうすんだって話。だいたい発熱原因なんて今はどうでもよい。

 

候補その3「ひえ~どんまい」

→軽い、軽すぎる。絶対心配してない感じになってしまう。友情が軽い。どんまい以外にもっということあるやろ、わたし。あと相手も返事しずらい。

 

候補その4「大丈夫?何かできることある?」

→おせっかい。だいたい熱が出た直後にそんなこと考えられないだろう。それにそう聞いて本当に頼まれたら正直だるいと思ってしまう。本当に何かお世話したいなら何も聞かずにすべき。

 

候補その5「熱どんくらい?微熱?」

→一言めに体温を聞くのか。大丈夫?まじで?とか、何かワンクッション置くべき。しかも熱がどれくらいか聞いたところでなんだ、微熱って返事が返ってきたら、なんて答える?「ああ~そんくらいか、じゃあ一日寝てたら治るね」とか言える?言えない。じゃあ逆に38度とか、めっちゃ高温だったらどうする?「まじか…!辛いね、今日はゆっくり治してね、できることがあったら言ってね、お大事に」長い。言われなくてもゆっくり治すだろうし、できること言われてもやれる自信がない。せいぜい症状きいてその対処方法をぐぐるくらいか。家に訪問なんて絶対できない。

 

と、ここまで長々話したが、お読みのとおり、ベストな返答が全く思いつかないのだ。相手は病気の身、どんな精神状態になっているかわからないし、その分わたしの無神経な言葉で傷つけたくない、いや、こいつ全然心配してくれねーな…と悪いイメージを持たれたくないといった方が正しいか。

結局、自分が相手に(体調を崩した時でさえも)どう思われているのか気になって仕方がないのだ。だから、「ごめん、熱出た…」なんて言葉をかけられると「さあ、お前はこんな時どうする?」と試されているような気になる。「お前は友だちとして合格ラインに立てているかな…?クククッ…」とよくわからない神様か何かに問われているような。ばかばかしいんだけど。

 

優しさを繕う言葉はいつだって棘に変わる。

前から見れば丸い突起なのか、針のようなものなのか、本当に危ないのかどうかなんいてわからないけど、横から見てしまえば正体は一瞬でわかる。どれくらい長さでどれくらいの太さなのか、どれほどの凶器なのか。

わたしの言葉だってそうだ。真正面からから言葉の意味をとらえずに、違った方向から見られてしまえば、なんて返せばいいのかわからなくて戸惑いながら、結局本心から相手を心配できていないわたしの姿がばれてしまう。

 

こないだ、友だちからその魔の言葉が飛んできた。

「ごめん、熱出た…」

「ひえ~大丈夫?お大事にね…!」

「大丈夫、微熱くらいだからなんとかなりそう、今日は一日寝てるね…!家におかゆとか買いだめしといてよかった~(笑)今日はごめんね、心配してくれてありがとう!」

 

………今まで私が書いてきたことは全部考えすぎだったのかもしれない。

 

 

 

みかんじゃん/棘/さくら

棘と針の違いってなんだろう。

そう思っていつも通りGoogle先生に伺ってみました。すると予想通り、Wikipedia教授にかかることを勧められたので、お話を伺った次第です。

結果はまあ、自分が考えていたようなものに近い答えに辿りつきました。すごく詩的な言い方に変換すると、

棘は「刺さる」もの。
針は「刺す」もの。

なんだそうだ。何か針、という感じの金偏から漂うオーラみたいなのもあって、どうしても注射針とか、釣り針をイメージしがちな針だけど、よくよく考えるとハチの毒針って有機物だったなあ、と、そこで思い出しました。とはいえ、注射針や釣り針と同じく、能動的にぶっ刺しにいくものであるという点で共通してますね。

対して棘。棘と言うと、バラやウニなど有機的なものの例しか思いつかないですね。あの、無機物で棘のあるものがあったら教えてくださいね。というのも、もともと棘と名乗るものは基本的に防衛本能から生えてきてるものみたいで、無機的なものに防衛本能もクソもないですからね。

ん、

ところで、棘の生えたものを相手に向かって投擲したら……? 明らかに、その細長く尖った部分は相手を刺しに行ってますね。刺しに行くならそれは針なのかな? まあ、もともとそういう目的で生えてるものじゃないから、彼の生い立ちを重視して、それは棘ということにしておきましょう。

で、

今回もいつも通りの感じで文章書こうかなと思ったんですけどね、なんかこう、針だったら書けそうなものばっかり思いつくもんで、どうしても棘で書けるネタが浮かびませんでした。南無。ちなみに、針だったら書けそうだったのは、虚構新聞風に、「針無し○○発売」みたいな、本末転倒的な何かを書こうと思ってました。第一候補が針なしミシンだったんですが、既にありました。書かなくて良かった。

さあ、タイトルの「みかんじゃん」なんですけど、棘なし○○を考えた時に、最初に思いついたのがウニだったんですね。それで、トゲのないウニを調べてみると、みかんが出てきた、という次第です。(なんか著作権とか怖いので、各自で調べてみてください。造形が完全にみかんです)どうでもいいけど、みかんとウニって、中身両方オレンジ色だし、似てませんかね?

にしても、その写真、「ウニの骨格標本」だと。え、ウニって骨格あったんや。あったらしいですね。どうやら死骸になった時に、身ではない部分だけが残って、みかんになるそうです。造形こそみかんなんですが、これ、オレンジ色だけじゃないんですね。オレンジ色もあるんですけど、紫とか青とか緑とか赤とか、とにかくカラフル。いやー、海で見つかる綺麗なものといえば、貝殻かシーグラスと決まってるものだと思ってましたが、これめちゃくちゃ綺麗だ。是非調べてくださいな。

そういえば。

ウニの口の部分、なんとも中二病な異名がつけられておりまして、その名も、「アリストテレスの提灯」。そうでもないか。だとしても、これ一生物の口につく異名じゃないですよね。

残念ながら、僕ウニ苦手なんで、書いてても臨場感ないなあと、パソコンに向かいながら思ってましたよ。
着地点見失ったのでこの辺で。

目を閉じて地獄/棘/θn

好きな曲を延々と聞き続ける、みたいな地獄があるかもしれない。
感性の一番柔いとこを嬲り殺すみたいな地獄があるかもしれない。
「俺今彼女つくる気ないんだよね」
真尋くんからこの言葉を聞いたのは何回目だろうか。

駅前に響く下手くそなギター。前を通り過ぎる人々は、立ち止まるどころか眉間に皺を寄せて歩調を早めた。安っぽいメロディーラインはここ最近流行っているバンドの曲にそっくりだ。私みたいな素人でもわかる。

真尋くんの夢は二年前から、いや、もっとずっと前から変わっていない。

「将来ふつうに就職するとか、逃げだと思うんだよね」
音楽で天下をとる、だなんて本気で考えている人いるんだなという印象だった。
大学のサークルでも真尋くんは異例で。みんなは授業に適度に出席して、遊びに行って、そんな中で片手間に音楽をしていたのに真尋くんは違った。

「俺は自分の可能性を信じてるんだ。」

私の他に誰もいない部室で、真尋くんは静かにそう言った。
俺はあいつらとは違う。俺には信念があるんだ。

「なんでそんな自信があるの?」
「自信じゃない。当然のことなんだよ。」

真尋くんは私が聞いてもわかるぐらいには上手くなかった。それでも彼の目は自分を信じて疑っていないのだ。

それまでずっとくだらないと思っていたのに、その無知と無謀と、無垢さに私はいつの間にかやられていたのだ。大学一年生の夏のことだった。

「理子ちゃん、真尋と付き合ってるってホント?」
真尋くんと中高一緒だったらしい美国くん。付き合っているわけじゃないよと答えれば、ならいいけどと笑われた。本気で心配してる顔だったもんだからどうして?と聞き返すと
「あいつ人間のクズだからさ、絶対に心許しちゃダメだよ」
だって。あまりにもあまりにもな回答だ。真尋くんが人間のクズ。

そんなことわかってるんだよなぁ。

真尋くんは私と頑なに付きあおうとしなかった。
「俺今彼女つくる気ないんだよね」
彼には音楽しかないから。それ以外のことに時間を割いている暇はないから。

「マジで、世の中みんな腐ってんだよな。俺の才能に気づけない愚かな奴が多すぎる」
「……そうね」
真尋くんが路上で歌う曲は、随分昔に彼が気まぐれで私に贈った曲だった。
そこに特別な理由はない。彼への感情はいつの間にこんな醜い形になったんだろう。

もうやめようよ真尋くん、もうやめて普通に大学で勉強して就活して、幸せになろうよ。普通を見下した真尋くんにそんなこと言えないのは、それこそ私の逃げなんだろうか。

はじめから、彼の夢なんて信じちゃいない。
彼に吹く自由の風に一緒に当たりたかっただけ。

本当はこっちを向いてほしいなんて、もう口が裂けても言えないね。
緩やかな地獄の中で感性を静かに殺されて、それでも諦めきれずに彼の脆弱な夢の終わりを願ってる。

その言葉が、「お前には欲情しないよ」って意味だってこと。大丈夫、気づいてるから。
好きだなんて言わないよ。だからもう少しだけ、惰性で愛することを許して。

表記パニック/棘/仄塵

棘、トゲ、とげ、表記によって意味がどう変わるだろうと思った。ただ常用漢字ではないからカタカナ表記になったのかも知れないが、漢字の読み書きに苦痛を感じない私にとっては少し理解に苦しむことだ。そもそも常用漢字とは何か、「お前の顔が不細工すぎてみんな見るに堪えないからマクスをかぶってくれ」とその漢字に言っているみたいで不憫に思う。やがて社会の審美が変わり大多数の人に認めもらえたら常用漢字にようやく仲間入りを果たせる。その逆に、もう昭和臭い!と思われた漢字は情けなく「死語」のグループに行くしかない。歌詞の当て字の次に腹立たしい漢字の扱い方だ。

人、ひと、ヒト。ちゃんと違う意味を訴えてくれる表記もあるように思える。そもそも三つの文字体系を同時に使い文章を書くのが珍しい。

 

棘に戻そう。植物類の表記はカタカナ語の方が圧倒的に多い。これも業界で漢字だと読めない人が多いからを理由にカタカナ表記に統一したそうだ。そこで無学の私がまるで20年間植物のない世界で生きてきたかのような挫折感を覚えた話はどうでもいい。言いたいのはそうなると植物は文献の中にしか存在しない、学術的な雰囲気を纏っている印象が強くなる。

アジサイより絶対に紫陽花の表記が好きだ。ヒアシンスは知らないけど風信子なら小さい頃毎日大事に水やりをしていた。牡丹なんか「何のボタン?」って突っ込みたくなるようなひどい名前だ。私がそう思うのは微妙な文化の違いがあることを否定できない。しかし文字を見ただけで美しく感じるのは象形文字を使っている我々の特権だと思いたいのだ。英単語を発音規則に沿ってなんとなく読めるが、意味が知らないというモヤモヤ感しか残らないのに対し、漢字の単語は読めないけどなんとなく表している感情が分かる。そこだけは共通言語様に負けたくない。

「棘」という字を大きく書いて10秒間見つめる。そして刺々しい、痛々しいの感情が読み取れるだろう。それだけではなく、「朿」という元々トゲを意味する字を2回書いているところから、反復脅迫の狂気さえ感じる。

晶。森。姦。

 

そこからカタカナ語つながりで脱線して、化学を日本語で勉強するのはハードルが高いと思ったことが何度もある。中国語なら一番基本的な化学元素の名称も全部漢字一つで表記し、その字も親切に物質の状態、金属かどうかが分かるように、気へん、金へん、水へん、石へんをそれぞれ付けた。それに中国の漢字は音素文字だから元素周期表を暗記する時も楽だった。有機化合物も中国語独自の命名法があり、炭素の数を十干で表すところなどは英語の命名法をそのままカタカナにした日本語より工夫しているように思った、しかし逆にアメリカに留学した場合はカタカナ有機物の方が有利になる。

そのせいかも知れないが私の高校では学生の3分の2が理系というのが当たり前、そして日本の理系女よりも断然に人数の少ない文系男が聞いただけでキモい印象を与える差別用語になっていた。これを読んでいる男子諸君には非常に失礼だが。

 

論点のない、深い議論もない適当な文章になってしまったが、軽い気持ちで読んでいただけたら幸いです。

トゲトゲのワルいヤツ/棘/ばたこ

 皆さんはワルナスビという植物をご存じだろうか。元はアメリカ合衆国東南部原産の外来種であり、日本も含めて世界各地に帰化しているずいぶんメジャーな植物だ。とは言うものの実際僕がこの植物の存在を知ったのは丁度一年ほど前の事であり、東大に進学した高校の同期との他愛もない会話の中で聞かされたのがその初めてだった。

 このワルナスビ、漢字にしてみると悪茄子と書き、英語ではApple of Sodom(和訳して悪魔のトマト)となる。原産地でも我が国日本でもそのような扱いを受けるこの植物は、果たしてどれほどの悪事を働くやつなのか。今回はこいつについて語っていきたいと思う。

 まずこの植物の外見について述べよう。ワルナスビはナスやジャガイモに似た白や淡い青の花を咲かし、その花は春から秋までの長い間咲き続ける。また、球形で黄色く熟す綺麗なプチトマトに似た果実を実らせることも特徴である。ここまでを読んでみて、皆さんはどのような印象を抱いただろうか。長きにわたって美しい花を咲かせ、季節になればその身に美味しそうな果実を実らせる。なんて素敵な植物なのだろうか。しかしこれはワルナスビに残されたほんの一握りの良識なのだ。むしろこいつの作戦・罠と言っても差し支えない。以下で述べるヤツの悪行の数々を知れば、そのサイコキラーっぷりに青ざめることとなるだろう。

 こいつの一つ目の悪行はその茎や葉にある。ワルナスビは自身の身を家畜から守るために、茎や葉に多数の固く鋭い棘を有している。これをただの棘だと思って油断してはならない。その棘の鋭さは我々の想像をはるかに絶する。もし家の庭に生えてしまったら最後、我々は手の肉が削げ落ちるまでこいつを駆除することができないのだ。

 次は先述した果実だ。つい先ほど「美味しそう」などと表現したが、ゆめゆめ忘れないでほしい。こいつは猛毒を持っている。しかもその毒はソラニン、ジャガイモで有名な熱でも分解されない神経毒であるソラニンをこの果実は大量に含んでいるのだ。わらわれ人間は勿論、体の大きい家畜でさえ大量に摂取してしまうと死の危険がある。この果実を物もわからぬペットや幼児が口に含んだと考えたら…。やはりこいつを見かけたら、自分の手の肉を犠牲にしてでも引っこ抜こうと考えるだろう。しかしここでさらなる問題・こいつの最大の悪行が立ちはだかることになる。

 ワルナスビの最大の恐怖、それはその根にある。この根、なんとほんの1cm程度の破片が地面に残っているだけで、もものの一か月程度で完全に再生する。つまり我々が一つのワルナスビを命を懸けて抜いたとしても、それは奴らにとっては逆効果。地面に残された大量の根っこのかけらがそれぞれ完全体として成長し、その数を増やすだけなのだ。その上除草剤もあいつらにはほとんど効き目を持たない。これがワルナスビの全容だ。

 これまで長々とワルナスビのワルさについて述べてきたが、理解していただけただろうか。ボクが先述の通り友人から聞かされた際にも驚かされたものだ。しかしそれはワルナスビについてではない。なんとそいつは非公認サークル「東大園芸部」を作りこのワルナスビを東大キャンパス内に群生させようと策略していたのだ。他にも成長速度の圧倒的な竹を校舎地下に植えることで講義棟の破壊も目論んでいる。よく肝に銘じておいてほしい。東大に今後近づいてはならない、次にあなたがそこに足を踏み入れた時そこは既に地獄と化しているかもしれないのだから。

おっちゃんの棘/棘/きりん

2限の朝、向かい側のホームにいつも同じおっちゃんがいる。普通そんなこと気にしないものだと思うが、なんで気になるかって、その人がいつも赤いネクタイを締めているからだ。勤めているのかどうなのか、ネクタイ以外はラフな格好で、しかも赤だけで多分数種類を使い分けている。それがわかった時から正直もう気になってしょうがない。まだ寒さの残る春でも、いい加減蒸して暑い日でも、これはゆずれんナ、という顔でつけておられる。表情も厳しくて、どこか挑戦的だ。

今日のおっちゃんは赤いネクタイ、半袖の白シャツ、釣りにでも行くかのようなベスト。そして目深に帽子をかぶった完全実用仕様。いったいどこへ行くのか知らないが、ネクタイだけが刺々しく朝日を反射している。

いつか、まぁないとは思うがおっちゃんに理由をきいてみたい…。脳内で何パターンか解答予想をしてみる。

そのいち。「いや、妻が赤が好きでな。私に赤が似合うというものだから」
これはなかなかイカしたおっちゃんだ。はにかみながら、だったりしたら世の中の枯れ専はいちころだろう。おじさんに幸あれ。

そのに。「ネクタイといったらやっぱり赤だろう?」
これでもかというほど赤にこだわっているに違いない。例え青のネクタイを贈られても、決して箱から出そうとはしないだろう。率直に言って死ぬほど面倒くさい。が、こんなわけわからないようなこだわりが結構好きかもしれない。

そのさん。(怪訝な顔で見られる)
何言ってんだこいつ?あるいは、お前みたいな若造に俺がこの深い訳を話すと思ったかこのやろう。前者だった場合、常時赤いネクタイを締めていてもこのおっちゃんはその辺りのおじさん類と何ら変わらないちょっとした変異種であるということがわかる。後者だった場合、もう尊敬する他ない。

そんなことを考えていたら、どうやら電車を一本乗り逃してしまったようだった。おっちゃんの姿も既にない。残像のように赤い色だけが目の前を過ぎた気がした。

デスノート/棘/なご

誰しも1人はいるのではないでしょうか。しんでほしい奴が。

私は、そうですね、いますね。ハイ。1人じゃくだらない気がします。ただ自分の手を汚してまでころそうなんてさらさら思わないわけですから、そんな時は心のデスノートに名前を書いて満足しています。流石に中2全開だった私でも大学ノート買ってきて、それをマジックで黒く塗りつぶし、修正液で表紙に「DEATH NOTE」とか表紙裏に「HOW TO USE」とか書いちゃうような人じゃなかったんで安心してください。もしそんなのが今、机の鍵付きの引き出しの奥底から出てきたらもう……。

そんな心のデスノートというか俺的マーダーランキングぶっちぎりのトップのやつは中学高校の同級生のあいつですね。なんだか最近中高の思い出ばっかり振り返っている気がしてやまないのですが、これは迫りくる就活から逃げ出したいという深層心理の表れなのでしょうか?あのころに戻りたい気持ちがあるのでしょうか?黒歴史しかないのにね。とりあえず、就活しね。

話を戻すんですけど、そいつはとにかくウマの合わないやつだった。思っていたのは少なくとも私だけではないと思う。にも関わらず、なぜか同じタイミングで軽音楽部に入ることになり、なぜかバンドを組まされ、案の定衝突ばっかみたいな。そいつはそいつで考えがあったのかもしれないけど、仕切る力もないのに仕切りたがるというか、言ってることよくわからないというか、なんならもう思い出したくもない(というかもうあんまり思い出せないかも)。極め付けに許せなかったのは、急にバンドを抜けるとか言いだして、その時期が丁度幹部代が交代して私たちの代が幹部になるっていう忙しいときで、勝手な都合でコミュニティごたつかせるという人としてどうなの?という行動に走り、そんでもってバンドは抜けるけど部活には残りたいみたいな、いやいやお前邪魔なだけやん!1人で機材占拠しやがって!っていう。本当に意味がわからない。

さらに意味がわからないのが、脱退から3,4カ月経った頃にやっぱ一緒に活動しないか的なこと言ってきて、いやいやいやいやできるわけないでしょ!どの面さげたらそんなこと言えるねん!という。もちろんそんな提案秒で断らさせていただきましたけどね。

結局卒業するまでも必要最低限の会話しかなく、卒業してからなんて同窓会で視界に入ったぐらいで一回も話してないんじゃないですかね。

ここまでボロクソに言いつつも、彼はなんだかんだ要領いいし超絶頭良いし、おそらく順風満帆な人生コースを歩むというか約束された未来が見えてる感じなんで、どっかでコケてくれることを切に願っております。

 

私はこんな調子で、今日も今日とて心のデスノートに名前を綴っていくのでしょう……

 

私のとげ/棘/T

大学2年生。バイトもせず、毎日ぬるぬる生きている。日々に張り合いもなく、いろんなことを怠け、その結果結局自分が苦しむという悪循環。エネルギーをほとんど使っていないような生活なのに、それなりに疲れ、だるくなって眠る。なんかほんとずっと眠い。。

 

バイトで塾講師をしてる妹(私、男女の双子の兄なんです。)は、毎日忙しそうだ。塾講師はただ塾で教えるだけじゃなくて、受け持っている生徒一人一人の準備とか細かい作業が割と多いらしい。色んな作業があるなかでミスをしたり、他の講師や塾長との連携がうまくいかなかったりして、よく怒られるみたいだ。昨日も塾から掛かってきた電話でくどくど怒られていて、暗い顔をしながら、でも心はどこにもない感じで謝っている妹の姿を見て、お疲れっすーって思ったりした(他人事)。

働いてない兄は、働く妹のバイトの愚痴を聞く係になっていたりする。生徒が宿題やってこないだけなのに、私が親に怒られたりすんのよーみたいな話を、そうなんですか…毎日大変なんですね。。みたいなことを言って、ヘラヘラ相槌を打つ。働かない兄は働く妹の感情のはけ口くらいにはなっとこうと、その吐き出す毒を受け止めるけれど、しょせん働かない兄は仕事の話に対して適当な相槌しか打てないため、さらに働く妹の怒りを倍増させたりする。そしてお前も早く働けよ、クソがって糾弾される。(…ごもっともです。。)

理不尽なことで怒られたりとかあるけど色んなことに簡単に屈しなくなるし、まあ強心臓にはなるよね、バイトやってるとって妹はよく言う。お金もまあそれなりに入るしって。たしかに妹は服買ったり、ギター買ったり、北海道行ったり、仕事は忙しいけれど、働いた分ちゃんと毎日充実してるように見える。謎の精神的成長も遂げたし。(最近、口喧嘩で勝てなくなったぜ…)

 

 

4分だけ母の腹から先に出てきたってことで、双子だけど俺が兄だ!ってずっと言い張ってきたけど、よく考えると、というかずっとわかってたことだけど、妹の方が人間としての基本能力値が高い。昔から向こうの方が勉強できるし。だから通っていた高校は違ったはずなのに(偏差値の差)、なぜか同じ大学の同じ学部に入ることになったけれど、それでも向こうは前期試験でサラッと受かり、俺は後期面接をゲロゲロ言いながらやっと受かった。あと、背丈も負けてるし…etc。色々思うところがあるのです。

そして一番感じるのは、行動力の差だったりする。バイトを先に始めるとかもそう(?)だけど、優柔不断でグズグズしてる私より、直観と度胸で突っ切ってくパワーがあるよなあと思う。一歩前に踏み出す力みたいな。

 

基本は俺は妹とは違う人間だと思いながら生きているけれど、常に一歩先にいってるのを見ていると、カッコよく言えば「刺激になっている」とかいうのだろうけど、俺何やってんだろうっていう感情と妹の存在に心がチクチク刺される感じがしていやだ。特に人間的な成長の差が開いてんなって感じるときは。(自業自得なんですけどね。)

 

…とりあえずこの怠けた生活とイヤな感情から抜け出すために、来週バイトの面接に行くことにした。何か変わるかな。